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1995年10月。
僕らはシルクロードとチベットの旅から帰ってきた。
なにぶん、僕は初めての海外旅行だったものだから、
驚くようなことの連続と
旅立つときは予定に入っていなかったチベットに行けたことへの満足感で一杯だったわけで、
そんな僕は発熱していた。
その熱の冷めないうちに旅行記を書いておこうと思ったのだ。

旅行中にショックだったのは、ネパールで見かけたインターネットカフェ。
まだまだ、インターネットそのものが、日本では普及しておらず
インターネットカフェなるものを、僕はネパールで初めて知った。
実は、現地では、そこがいったいどのような場所なのかまったく理解できなかった。
欧米の若者が大勢出入りし、パソコンに向かって電子メールを送っている姿を
不思議な気持ちで見ていただけだった。
それが、いったい何だったのかは、日本に帰ってきて知ることになる。

「インターネット」

その言葉の響きに導かれるままいろいろ調べるうちに
なんだか途方もないものだと言うことが少しずつわかってきた。
パソコン通信にはなじめなかったけれども
これは良いかも、そんな直感。

当時、マックの話で言えば
Mac/TCPという機能拡張は、まだ標準装備されていなかったし
通信速度だって、驚くなかれ、28800bpsで、今時のADSLのMB単位に比べてKBであるから1000倍も違う。
料金だって使い放題もなく、時間ごとに課金され、電話代も合わせて請求されるという状況。
信じられない時代だった。

でも、やはり、インターネットという言葉の響きは美しく
解説書を買ってきて読んでみれば、ホームページというものを作って公開すれば
世界の人とコミュニケーションができるというではないか。

というわけで、旅行記をホームページとして公開してみようと思い立ったのである。

テキストエディタでhtmlタグを見よう見まねで書いてみる。
ブラウザで確認する。
リンクをチェックする。
サイトにアップロードする。
そうした、一つ一つの作業は、今だったらDreamWeaverなんかでほとんど自動で出来てしまうようなこと。
それを全部手作業でやっていたのだね。
我ながら根気があったと思う。

思えば、生まれて初めて買ったMac、PowerMac-6100/60AVが
重い腰を上げて初めて成し遂げた仕事だったんだよね。

七転八倒の苦労の末、最初に公開できたのは
2ヶ月の旅行のうちのチベット編だけ。
今は自分の仕事を紹介する、アトリエフルカワのホームページになっているけれども
最初は、恥ずかしながら
「Yasushi And Harumi FURUKAWA HOME PAGE」という名前だったんだよなあ。

その頃は、ホームページを個人で持っているということ自体が珍しかったということもあり
全国の方、世界の方からもメールをいただいた。
もう、その最初から、インターネットの力を感じることが出来たのだ。

そのチベット編は、その後追加されたシルクロード編とともに
今も、ほぼ10年前と同じ内容とレイアウトで公開している。

○チベットとシルクロードの旅行記

ホームページの技術もどんどん進化しているんだから
ちゃんと手直しすればいいのに、原始的なレイアウトのままであったりするのは
なんだか、10年前の苦労の痕跡を残しておこうと無意識に思っているからかもしれない。

そんな僕も、今ではブログの方が主流になっているし、
そのブログも、4月で2年を迎える。

さて、これから10年、インターネットの世界はどのように変貌してゆくのだろう。
いや、10年といわず2年か、いやいや1年か。
この世界の変化は日進月歩、どうなってゆくのか、とても楽しみだ。