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2004年04月06日

「建てどき」-藤原和博

[books ]

「建てどき」
著:藤原和博 発行:情報センター出版局
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著者である藤原和博さんは「よのなか」とか面白い本を書かれている。
このエッセイの原文はホームページにずいぶん前に載せたのだけれども、
ある日、藤原さんから直接メールをいただいた。私のような個人が勝手に書いた書評に本人からメッセージが届くとは!これぞ、インターネットである。
というわけで、ホームページの書評をblogに転載する。

藤原さんは家をつくった。

読んでいて心に残ったいくつかのポイントを箇条書きにしてみよう。

土地の探し方、定期借地権での土地取得は都市近郊で家づくりを考えるときにはとても現実的な方法だと思うが、いかんせんその手の情報は球数が少ない。

家のイメージに振り回されないようにいましめている。雑誌のグラビアの写真に憧れても自分の生活とかけ離れていることが多いのではないかという。まさにその通りで、私も設計を依頼された方とお話しするときには依頼人の憧れのイメージとは慎重に接する。ただし、僕は憧れのイメージを否定しない。また、逆に肯定して依頼人の言いなりになって設計したりもしない。

家をつくる人にはその人に背丈にあった憧れのイメージがある。それを浮き彫りにしてあげることが大切だ。でなければ、夢もなにもない家になってしまうでしょう。

業者の選定に二段階方式を採用している。これが悪いとは言わないし、この方式が最適であることもある。しかし、家づくりは金額に反映しない「心意気」みたいなものが重要だったりする。だから、金額だけ比較することは大きな失敗をもたらすことになる。ただし、見積書をみればその業者がどのくらいしっかりしたところかもおおよそ想像できるから、業者選定の手段として見積書の果たす役割はないわけではない。

でも、それだったら見積書なんて作ってもらわなくても話を聞きにでかければわかること。それから、家づくりは結局は人と人の関係だ。だから自ずと相性というものがある。安くて(見積もりの工事費が予算内におさまって)信頼できても相性が合わないとこれまたいけない。僕は相性が一番だと思っているから、見積もりを作ってもらう前に十分な会話を工務店と持つことをおすすめしている。金額は後からついてくるものだ。

住まい手も参加できることにはどんどん参加する。家づくりを成功に導く大きな要素だと思う。藤原さんの現場でうらやましく思ったのは何回か行われた子供のための大工教室。これは是非自分が関わる現場でも提案してゆきたい。

家づくりの先人として、先輩として、これから家をつくる人に書かれた本だ。読み始めた最初の部分で、自分の経験をひけらかすような印象もあったが、読み終えてみれば僕の考える家づくりに結構近い考えの人だと思った。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2004年04月06日 19:19

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