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2005年08月24日

Forest Flower---Charles Lloyd

[ジャズ--jazz ]

Forest Flower---Charles Lloyd
1966年9月18日(Live at Monterey Jazz Festival)、9月8日
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チャールズ・ロイドの最初のひと吹きから
夏の終わりをつげる、夕暮れの、ちょっと湿っているけれども、ひと肌な温度を持った風が、僕の顔の横を吹き過ぎる。
これほど季節感を感じるレコードは少ない。
夏の終わりが近づくと、この音が恋しくなる。
そして、ジャック・デジョネットのドラムス。

60年代に入りジャズは変質してゆく。
それは、ビートルズのデビューとその熱狂に代表されるような
ロックミュージックの華々しい成功と、それにともなって、商業音楽自体が変質してゆくこと、
それは、商業音楽を消費する世代の若年齢化ということをベースとしているんだけれども、
その商業音楽の変質により
ジャズという音楽も変質していったのだ、と語られる事が多い。
すでに、若者の音楽はジャズではなくてロックだったのだ。

ジャック・ケルアックの「路上」を読むと
ビ・バップが40年代終わりから50年代の、ごく一部のではあるのだろうけれども若者の心をとらえていた様子がよく分かる。ビ・バップという音楽と若者の文化が一体となっていた。

1966年9月のモンタレイ・ジャズ・フェスティバルでチャールス・ロイドのカルテットは熱狂的な支持を受ける。
しかし、それはジャズという音楽が、まだ若者に支持されていたという事ではないような気がする。

それは、デジョネットのドラムス。

冷静になって彼のドラムを聴けば、明らかにいままでのジャズのドラマーとは異なったグルーブ感を持っていることがわかる。もちろん、当時からこうした音楽はジャズ・ロックとして、ロック風味のジャズとでも言うような分類をされていたのだが、デジョネットのドラムは根本的に他のドラマーがロックのふりをしていたのとは異なっていた。多くのジャズフアンの誤解を恐れずに言うならば、彼は、本質的にロックのひとなのだ。

マイルスグループでのトニー・ウイリアムスとジャック・デジョネットを隔てる大きな壁がここにはあると思う。

マイルスがデジョネットをチャールス・ロイドのカルテットから引き抜いた、その必然性もここにはある。

その後、ロイド・カルテットを離れたデジョネットは、同じくロイド・カルテットから引き抜かれたキース・ジャレットとともに、マイルスグループに参加。ビッチェズ・ブリューをはじめ、異種格闘技の世界を超えて、ジャズの歴史を大きく切り開いてゆくことになる。

<蛇足>
トニー・ウイリアムスがマイルスの世界を緻密な方へ、微分化してゆく方へ強く方向づけたとすれば
デジョネットは、マイルスに既成のジャズからの脱皮をもたらしたのだといえる。

○「音楽好きBlogger集合!JMB連携TB企画はついに50回目!Music For Sunset!」参加エントリー


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投稿者 furukawa_yasushi : 2005年08月24日 10:17

コメント

af_blog経由で購入したCharles Lloydが今日、届きました。
まだ外の林が見える時に聞き始めてEast Of The Sunの頃にはすっかり真っ暗、Forest Flower'69を聞きながらの冷たい風が気持ち良かったです。

投稿者 nOz : 2005年08月30日 20:14

nOzさん
那須の夕暮れ時の優しい風に吹かれている時に
このレコードはすてきに輝くような気がします。
キースジャレットのピアノも神がかっていますよね。

投稿者 fuRu : 2005年08月31日 09:09

こんばんは、TBありがとうございます。
ディジョネットの解釈、興味深く読ませて頂きました。
音楽はDrummerによって変わるのですよね。
Milesも目指すSoundからその時々のDrummerを選んでましたものね。
このalbumはジャケットも素晴しい。
これからもよろしくお願いします:)

投稿者 JM : 2005年11月01日 01:03

JMさん いつもながらの楽しい企画
参加させていただけてとても楽しいです。
次回の企画も楽しみにしております。
こちらこそよろしくお願いします。

投稿者 fuRu : 2005年11月01日 09:44

アトランテック・レーベルの廉価版Jazz1500シリーズが始まってますね。

投稿者 iGa : 2005年12月28日 12:00

iGaさん こんにちは
フォレストフラワーも仲間に入っていますね。
http://wmg.jp/atlantic_jazz/top.html
iGaさんは、何を買いますか?
僕はMJQのヨーロピアンコンサートをねらっています。

投稿者 fuRu : 2005年12月28日 12:21

MJQは良いですね。渋めにRay BryantのAlone At Montreuxもお勧めです。
逆にジャズに縁のない人にチャールス・ミンガスの「直立猿人」や
オーネット・コールマンの「ジャズ来るべきもの」を聴いて欲しいですね。
きっと、訳分からなくて嫌いになるか、嵌まるかのどっちかですね。

投稿者 iGa : 2005年12月28日 13:24

iGaさん
コルトレーンの「アセンション」や
アイラーを聞いちゃうよりも良いかもしれませんね。
聴く音楽によってはトラウマになっちゃいます。
でも、アイラーだったら、ゴスペル歌っているやつだったら
勘違いしちゃうかもしれません。

投稿者 fuRu : 2005年12月28日 14:21