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2005年08月26日

「アウシュビッツ」---NHK夏の特集

[報道・TV--topics ]

NHKの夏の特集番組「アウシュビッツ」を観た。

第二次世界大戦中、ナチスによってユダヤ人を中心に大量虐殺が行われた収容所。
番組では、発見された設計図を元にCGで施設の様子が再現されていた。
しかし、何よりも怖かったのは、設計を担当した建築家がそこで目指したもの。
「より多くの人をより効率的に虐殺することの出来る施設。」

建築の設計に関わる僕にとって、その言葉は戦慄以外の何ものをももたらさない。

建築の設計は住宅であれなんであれ、ある建物に対して、そこに求められる機能をいかに合理的に、かつ経済的に実現させるかを考え、それを実現させることだ。

住宅であれば、そこに住む人がいかに快適に暮らせるかというようなことを考えて、それを実現することになる。
そこでは、人と空間の優しい関係が模索されることになる。決して、人に恐怖を与えたり死に至らしめたりするような、そういう人と空間の拒絶した関係など、考えることなどない。

「ある人種を絶滅させるための建物」
その実現のために尽力した設計者。その設計への意志。

この平和な時代に生きている今だからこそちゃんと確認しておかないといけないことがあると思う。
設計者として、「そのような立場」に立った時にどうするのか?
僕らには何が出来るのか?
大いに考えさせられる番組だった。

<蛇足>
番組中、東欧の作曲家 アルボ・ペルトの曲が繰り返し流れていたのが印象的だった。
「Spiegel im Spiegel」という曲は、このCDに収められている。

Alina - Arvo Part
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<蛇足-2>
イギリス軍とアメリカ軍の活躍が印象深く描かれているとおもったら
BBCとアメリカの制作会社の共同制作でした。
しかし、もとゲシュタポの生存者がインタビューに答えているのは説得力ありました。
我々日本人でいえば、たとえば「南京大虐殺」については、いったいどれくらいの情報を受け取っているのでしょうか。
そんなことも、考えさせられました。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2005年08月26日 09:16

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コメント

 アウシュヴィッツには、99年夏、妻と中欧旅行に行ったおり、目的地の一つとして行ってきました。多くの人はクラクフからツアーバス等で行かれるようでしたが、私たちはポーランド国鉄のローカル列車に乗り、アウシュヴィッツ収容所の残る街、オフィシエンチムという駅で下車し、街の北側にあるさらに大きな収容所であったビルケナウの跡地と一緒に見てまわりました。ビルケナウは強制労働等も行われる収容所で面積がたいへん広く、不毛の地をイメージさせられました。反面、アウシュヴィッツは面積的には思ったよりも広くはなく(殺戮施設が破壊されて数分の1しか残っていないことも関係しているのですが…)その分、テレビのコメントにもありましたが「狭い面積でいかに効率よく殺戮し、死体を処理するか」という目的を明白にした施設になっていて、人間がここまで悪魔になれるのかと気分が悪くなりました。ガス室から焼却炉につづく動線がとくに効率的にできており、ぞっとしました。
 8月の初旬でしたが、周辺各国からは多くの人が訪れており、神学校の研修で必修項目として来ているとか、夏のレポートを作るために訪れたギムナジウムの学生とか、積極的に過去から学ぶということをしているなあと感じました。
 私たちは、もっとポーランドをまわるつもりでおりましたが、その日の夜行でプラハに出国してしまいました。やはり強烈な印象を受けたには違いありません。

投稿者 H.Suzuki. : 2005年09月05日 10:03

H.Suzukiさん 御無沙汰しております。
実際に見てこられた方のお話は違いますね。

>人間がここまで悪魔になれるのか
確かにそうですね。
でも、当時の方々は自分が悪魔になっているという自覚がなかった、それが一番の悲劇かもしれません。

投稿者 fuRu : 2005年09月05日 11:16