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2005年08月22日

金閣寺--八月納涼歌舞伎

[映画・ドラマ・舞台--movie/play ]

「金閣寺」と「伊勢音頭」が観たかったので、八月納涼歌舞伎(歌舞伎座)に行ってきた。
僕は「金閣寺」なるへんてこりんな芝居に心惹かれている。
それは、やはり、舞台いっぱいに舞い散る桜吹雪のなか
木に縄で縛られたお姫様(雪姫)、というラストのシーンが観たいからに他ならない。
それはそれは、きれいなシーンであります。

雪姫に降り注ぐ桜吹雪は尋常な量ではない。
お姫様が見えなくなるくらいにふりそそぐ。
その瞬間、舞台は花びらのうす桃色一色に染まる。
その美意識。
そこにはリアリズムの片鱗もない。
日本の伝統には、そもそもリアリズムというものはなかったのではないかと、そう思える瞬間。

舞台は福助の雪姫がとてもきれいだった。
大役の松永大膳は三津五郎さん。
こちらもしっかりとした役所を押さえている。

で、ちょい役で勘三朗がでてくる。
ほんとに舞台にでている時間はわずかで、右奥から登場して
花道へ消えてゆく。
しかし、そのわずかな時間に観客の心をとらえちゃうんだね、この役者は。
お父さんも生の舞台は観れなかったけれども記録された映像では
たしかそうだったなあ、そんな記憶。
こういうのを役者に花があるというのだろう。
でも、三津五郎さんに花がないということではないのですよ。
三津五郎さんにもちゃんと花があるんだけれども
多くの観客に見えていないなあ、とそんな感想を持ちました。
やっぱり、世間はテレビによくでてくる人の方に反応しちゃうんだよね。

そして、花吹雪。
むかし、観た時よりも花びらの量が減っているような気がした。
気のせいだろうか。
それとも、資源のムダ使いなんていうつまらない理由で減ったなんてことはないと思うけれども、
こんな花吹雪ありえないよ、というくらいに観客を圧倒しないと
あの場面は生きてこないと思うんですよね。
リアリズムではないもう一つの表現。
それも日本でむかしから続いている、そんな表現を、忘れないでほしいと思っています。

で、伊勢音頭。
三津五郎さんの貢は音羽屋型。
誰がどう見ても音羽屋の香りがする。
型というのはとても大切なもの。それを大切にしている三津五郎さんの姿勢がよく分かる。
でも、大和屋の香りだってうまくブレンドしてくれても良いんじゃない、と、そんな気分もある。

どんな役でも、中村屋の香りでぷんぷんさせる勘三郎と
歌舞伎の世界の型を純粋に我が身に受け止めようとする三津五郎。
とても対照的な二人の役者。
そして、どちらも歌舞伎の世界ではとても大切なことなんですよね。

ふたつの異なる歌舞伎へのアプローチ、それがひとつの舞台で共演されて、新たな歌舞伎の世界のエネルギーとなる。
これからの歌舞伎界を背負うお二人の、今後の活躍にも期待です。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2005年08月22日 09:20

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コメント

これって、3階席から?それとも幕見をダブルで見たのかな?
私は雪姫観たことないんだけど、紙吹雪、けちっちゃ、いかんですな。
串田和美演出のコクーン歌舞伎「三人吉三」、ラストの5トンだか10トンだかの
紙雪は、まさに、あの芝居のカタルシスでありました。
最近、うちの娘が国立に「高校生のための…」で狐忠信を観に行ってきたけど、
客席(前の方だったらしい)に降り流れる紙花には、やはり魅了されたらしく、
ハンカチに包んで持ち帰ってきた。
「伊勢音頭」はね、むかし、孝雄時代の仁左衛門で観たのが印象に残ってます。
万野は誰だったかな?玉じゃなかった。あ〜、ちっとも思い出せない(泣)。

投稿者 tad : 2005年08月27日 03:05

tadさん こんにちは。
雪姫、良いですよ。芝居がへんてこりんなのがもっと良い。
この金閣寺は幕見です。4階席ということにないrますね。
40分くらい前に行ったら、定員最後でぎりぎり。
最近は消防署もうるさいらしく、幕見席も定員を定めています。
むかしは、入りきれないくらいに詰め込んでいたのにね。
で、幕身の人気は獅童さんが歌舞伎座で踊るらしく
そちらの方が人気でしたね。
ちなみに、伊勢音頭は暑い中並ぶのも嫌だし
八十助時代からの大和屋さんのフアンでもありますので
2等席の当日券を買いました。
3部構成の場合こういうときにチケット代が割安で良いですね。
ちなみに、孝雄時代の伊勢音頭は僕も観ていると思います。
たしか万野が大和屋だったと記憶していますが、僕の記憶も確かでない。

投稿者 fuRu : 2005年08月27日 20:16