« sayuri_House 杉の建具(BlogPet) | メイン | 「静かな音楽」---つのだたかし »

2006年06月12日

「アホウドリの糞でできた国—ナウル共和国物語 」---古田 靖

[books ]

「アホウドリの糞でできた国—ナウル共和国物語 」
著:古田 靖 出版:アスペクト
amazon

アホウドリから宝物をもらった
ひとつの島の物語。

アホウドリが珊瑚礁に落とし続けた糞が島になりました。
糞は燐鉱石という宝物になりました。
燐鉱石はお金に化けるのです。
海の向こうの大きな力が島を狙うようになります。
世界の戦争が終わり、宝物は自分のモノとなりました。
そうして、遊んで暮らせる、夢のような国が実現したのです。
でも、燐鉱石もいずれは枯渇するのです。

これまでナウル人は 自給自足の生活 労働を強いられる植民地生活 働かずに遊ぶ生活 しか経験していません。 信じられないことですが、 働いてお金をもらいながら生きていく という発想はなかったのです。

さて、どうなるのでしょうか、ナウル共和国。

驚くべきことは
ナウル共和国が国籍を売りに出したことです。
そして、インターネットバンクを展開したのです。

ナウル島に住んでいない人が
簡単にナウル共和国民になれて
パスポートが作れて
つまり身元を保証してもらえて
税金の安いメインバンクが持てること。

そうすると、どうなるでしょうか?

たとえば、ロシアマフィアの大量の資金が
ナウルの銀行に流れ込んでくるわけです。

世界に翻弄され
そして、世界を翻弄する、ナウル共和国。

なんだか、カフカの小説が持っている
不思議なおかしみと共通するものが、ここにはあると思います。

いきる、ということを根源的に問いかけてくれる
そういう本。
悲観しすぎるのでもなく、他人事の笑いでもない
不思議なおかしみ。

そして、ナウルの物語は今もなお続いているのです。

最新のナウル情報は
この本の著者である古田靖さんのブログ「適宜更新」にあります。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2006年06月12日 13:55

コメント

お取り上げ頂きまして、ありがとうございます。
カフカだなんて恐縮ですが、
いや、あの、やっぱり、うれしいです。

名前がちょっと似ているから、
というわけではなくて、
いつか好きなかたちの家に
住みたいと思っているので
これからもまた遊びに来させていただきます。

投稿者 古田靖 : 2006年06月13日 21:48

古田さま
ご本人からのコメント、とても嬉しく思います。
でも、あの感じの「おかしさ」を書けるって
さすがにプロだなと、そう思いました。
文章が上手な人にはいつもあこがれます。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。

投稿者 fuRu : 2006年06月13日 22:46