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2008年06月11日

T.K.M._House---屋根工事完了

[0704---T.K.M._House ]

「T.K.M._House」の役所中間検査は5月20日に合格していましたが
天候の様子を見て屋根工事だけ少し遅れて数日前に完了しました。

屋根はガルバリュウム鋼板の縦はぜ葺きです。
なかなか格好良い仕上がりなのですが
当初は瓦棒葺で仕上げる予定でした。
それが、なぜコストもかかる縦はぜ葺になったのでしょうか?

順を追って説明しますと、

「T.K.M._House」は木造三階建てなので許容応力度による構造計算が必要です。
構造計算は建築確認申請の時に審査されます。
耐震偽装事件以降、その審査項目が厳しくなり、その中に「建築基準法施工令第39条」もはいっているのですね。

第39条

屋根ふき材、内装材、外装材、帳壁その他これに類する建築物の部分及び広告塔、装飾塔その他建築物の屋外に取り付けるものは、風圧並びに地震その他の震動及び衝撃によって脱落しないようにしなければならない。

この中の屋根葺き材に関することが建築確認申請でチェックされるようになったというのです。
実は、役所によってはそこまでチェックしないというところもあり、足並みがそろっていないようですが、北区役所では検討するように指導されました。

ポイントは風圧力による引き抜きに対する検討が必要ということです。

当初予定していた瓦棒葺きという工法は釘で留める工法ですから、構造計算上は引き抜きに対する力はゼロになります。(釘留めは引き抜きに対する力はゼロなんですね。)それでは、瓦棒葺きは出来ないのか、と、いろいろ探していましたら、釘留めの瓦棒葺きでの引き抜き力に対するデータが「社団法人日本金属屋根協会」にありました。

社団法人日本金属屋根協会

しかし、そのデータによれば、木造三階建ての屋根面に必要な強度を得るためには、瓦棒の心木の間隔を24cmにする必要が有り、心木の下には垂木が必要とのことで、工事としても大変なことになってしまいます。

一番簡単なのは、メーカーのシステム屋根で風圧力に対する検討がされているものを選ぶことなのです。しかし、今回は屋根が留まっていればいいだけではなく、屋根面で太陽熱を集熱するパッシブソーラーも行いますので、屋根面での気密性も大切になってきます。調べてみますと段葺きという葺き方ではリーズナブルなものはあっても、段葺きでは十分な気密性を確保するのは難しい。
そこで、探して探して探して、見つけてきたのがこの縦はぜ葺きです。

はぜの間隔は垂木の間隔と合っていませんが、はぜの部分に付ける金物は構造用合板の野地板にビス留めでO.K.だったので垂木の間隔と合わせる必要がないことがポイントです。

段葺きよりも若干金額はアップしましたが値段もそこそこ。太陽熱を利用するという点では性能はしっかりと確保されることになりました。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2008年06月11日 14:00

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コメント

経緯は伺っていましたが、文章にして頂くといっそう理解できました。

ご苦労して頂いた甲斐?があり屋根のカッコ良さに惚れぼれしています。

あのような鋭利なフォルム好きです・・・

有難う御座います。

投稿者 モイチ : 2008年06月11日 17:35

モイチさま
木造三階建ということもあり建築確認は混沌としていて
いろいろご迷惑をおかけいたしましたが、
中間検査も無事終了。
あとは、完了検査です。
完成まで気が抜けません。

投稿者 fuRu : 2008年06月11日 20:22

furu さま

こういったところも、「大切」ですね。
たいへん勉強になりました。
完成まで頑張ってください。その雄姿を楽しみにしておりますです。

投稿者 たかさん : 2008年06月12日 09:15

たかさんさま
今回の法改正は振り回されっぱなしです。
役所の担当者も振り回されているのでしょうから、一方的に責めるわけにもいきませんね。
しかし、そのしわ寄せは一般ユーザーのところにまでおよんでいルというのが、一番の問題です。

投稿者 fuRu : 2008年06月12日 10:58