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2009年02月09日

「誰のためのデザイン?」---D.A.ノーマン

[books ]

「誰のためのデザイン?」
著:D.A.ノーマン 訳:野島 久雄 出版:新曜社
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「アフォーダンス」という言葉があります。
もともとは認知心理学者のJ.J.ギブソンの言葉なのですが
この本ではデザインという世界での「アフォーダンス」の重要性についてふれています。

「アフォーダンス」というのは、ギブソンの言葉によれば

環境のアフォーダンスとは、環境が動物に提供する(offers)もの、良いものであれ悪いものであれ、用意したり備えたりする(provide or furnish)ものである。 アフォードする(afford)という動詞は、辞書にあるがアフォーダンスという名詞はない。この言葉は私の造語である。アフォーダンスという言葉で私は、既存の用語で表現し得ない仕方で、環境と動物の両者に関連するものをいい表したいのである。この言葉は動物と環境の相補性を包含している。(生物学的視覚論)

「afford」という言葉には「〈ものが〉〈便宜などを〉与える」という意味があります。
動物が生きている時に環境との相補正の中で生きているわけで、我々人間も環境から様々な情報を得て生きています。
デザインのアフォーダンスを考えるとは、そのデザインが使う人を正しく導くことが出来るかを考えることになります。

D.A.ノーマンは世界の様々な例を取り上げて、そのデザインに適切なアフォーダンスが取り込まれているか検証します。本のタイトルの「誰のためのデザイン?」というのは、使う人のためにデザインすることの基本はどこにあるのかという問いであり、そのためにはアフォーダンスという考えが重要だということなのですね。

本書で厳しく批判されるのが建築家です。
使う人のことをちっとも考えていない・・・。
建築家は芸術家である前に、優秀なデザイナーでなくてはならない。優秀なデザイナーは使う人のことを考える。デザインのアフォーダンスを考える。

とても大切なことです。

私もデザインのアフォーダンスを考え実践してゆくことをライフワークとしゆきたいと考えています。



※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2009年02月09日 09:30

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コメント

プチ自慢になりますが、わたくし、ノーマン先生にサインして戴いたことがあります。

インターフェース・デザイン
http://madconnection.uohp.com/mt/archives/000347.html

投稿者 iGa : 2009年02月09日 14:38

iGaさま
サインですか!?
すごいですねえ。

それよりも、iGaさんの記事でリンクしている野島さんの記事が興味深いですね。
実際に「アフォーダンス」という概念もギブソンからノーマンにわたり、そのニュアンスを少しづつ変えている感じがします。
この辺は言葉の難しさということでしょうか。

投稿者 fuRu : 2009年02月09日 15:14