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2009年07月26日

ツールドフランスと風景の意思

[風景--landscape,cityscape ]

日本人選手の活躍で盛り上がっているツールドフランス。
残すところ、本日の最終ステージ。
私も、今回、ツールドフランスを少しかじり始めました。面白い。自転車競技、それもロードレースの楽しさに少しはまりかけています。
先日も、別府選手が7位に入りましたね。レース後半で上位に入るなんてとんでもないことだと、このレースをみていると思います。
3週間にわたる長期戦。総合順位は走行時間で決まりますが、優勝者の走行時間で85時間以上。平均時速40キロ以上。強烈な登りでの反則とも言えるスパート。競技の駆け引き。みていて感激していました。
というわけで、ロードレース観戦の楽しさは、チームプレイの妙であり、人間というものが持つパワーの底知れなさを感じることが出来る、と、いろいろあります。
が、でも、やはりレースの背景である「風景」の素晴らしさを堪能しているのは間違いのないことですね。
ジロデイタリアもツールも、自転車が走り抜ける風景がとてつもなく美しい。日本にこんな風景はあるのか?ないとは言わないけれども、虫食い状態でありましょう。
こういうヨーロッパの風景の強さというのは、そこに住む人々の強さなんでしょうけれども、同じ人間ならばどうして日本では風景はぺらぺらの軽薄な様相となってしまうのでしょうか。

今日も、署名の紙が回ってきて、小石川にある銅御殿周辺の環境と風景を守るために高層マンション建設を中止して欲しいという要望書でした。少し前には目白駅前に98mの高層マンションの計画があり、どうしたら中止に出来るかと、相談を受けたことがありました。

敬愛する建築家の泉幸輔さんが、先日、彼自身の代表作である「泰山館」について話してくださいました。
「泰山館」は当初、オーナーが連れてきたデベロッパーがいて、その人が主導で建ぺい率目一杯の計画で進んでいた。しかし、それでは良好な住環境はつくれないと、泉さんがオーナーを説得したのだそうです。泉さんは知り合いの不動産屋さんや弁護士さんとチームを作って、新たな収支計算書を作成。自分たちのプランで損失は出ないような裏付けをとった。こうした泉さんたちの努力が実り、誰も損失を受けることなく、「泰山館」は完成。今では入居待ちのウエイティングリスとができるほどの人気賃貸物件となっています。

建築家は風景を作ることが出来るのでは。
いろいろなことを考えさせられる話です。

日本の古い宿場町の美しさというものがあります。
保存運動も活発です。
しかし、その日本の古い宿場町の風景も自然発生的にできたものではない。
そこに住む人たちがその時代その時代を生き抜いてきた強い意志の力で、その風景は生まれたのだと思います。

自転車のロードレースを観ながら、フランスのあの風景をつってきた人々のことを考えます。あの風景を今も作り続けている人々のことを考えます。
そして、日本にも風景を作ってきた強い意志があったことも忘れない。

強い意志。
その土地で生きる意思と言い換えても良いかもしれない。

ロードレースが僕をとらえて話さない大きな魅力の一つは確かにそこにあります。
建築に関わるものとして、無関心で入られない大切なものがそこにはあります。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2009年07月26日 01:25

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