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2010年03月13日
「IMPORTED FROM EUROPE」---Stan Getz
[ジャズ--jazz ]
「IMPORTED FROM EUROPE」
Stan Getz 1958年
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1950年から59年まで「ダウンビート」の読者人気投票で連続首位だったほど、スタンゲッツのアメリカでの人気は抜群でした。
その人気はヨーロッパまで届き、1951年に初めて北欧の地を訪れた時の歓迎振りはなかったといいます。そして、現地ミュージシャンと録音まで果たしたゲッツ。
1955年のスウェーデン女性モニカとの出会いは偶然ではないでしょう。
北欧とアメリカを行き来するゲッツ。
そして、1958年にモニカと北欧で永住する決意をします。
1950年代のゲッツは向かうところ敵なしという感じで素晴らしい。
その一種憂いを帯びた陰影のあるトーンが唯一無二。
もちろん、泉のごとく溢れ出る、柔らかく優しメロディラインは誰も真似が出きないものです。
この時期に数多くのレコードを吹き込んでいて、そのどれもが聴かせてくれる。
その中でも、北欧での永住を決意した時のこのレコードは異色といえば異色の存在。
かなりのハードな味付けが施してある、ハードバップ中のハードバップ。
でも、よく聞くと面白いことに気がつきます。
ゲッツ以外のミュージシャンは現地の北欧のミュージシャンなのですが、北欧のミュージシャンの演奏の方が熱いのですね。その熱さに照らし出されるように、ゲッツの演奏の陰鬱なトーンは北欧の熱く垂れ込めた曇り空のように鈍く光り輝く。
ハードバップとは、アメリカの熱狂だと思うのですが、このレコードの中の「熱狂」を演奏しているのは、アメリカ人ではなく北欧の人たち。一方、唯一のアメリカ人であるゲッツこそが、北欧の憂鬱を表現している。
現地ミュージシャンは海の向こうの張るかかなたのアメリカを想い、アメリカ人のゲッツは北欧の空気の中にたたずむ。
その視線の交差、想いの交差、憧れの交差。このレコードの中にはその屈折した人々の想いが、図らずも記録されているのです。
だからこそ、ゲッツのレコードの中でも異色の存在となっているのでしょう。
だからこそ、興味ぶかく、われわれの耳に届く。演奏も悪くない。
ゲッツの数多いレコードの中でも、私のお気に入りの一枚なのです。
※新しいホームページで情報更新中!!
投稿者 furukawa_yasushi : 2010年03月13日 21:15
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コメント
ジャズのことはよく分らないのですが、ゲッツは時々聴きたくなります。
するとお酒が飲みたくなります(笑)
レコードというところがいいですね。
投稿者 友造 : 2010年03月15日 16:51
友造 さま
ゲッツ、良いですよね。
一種独特の愁いを帯びた感じが好きです。
40年代終わりから50年代のゲッツは無敵ですが晩年のゲッツも枯れた味わいで良いですよ。
投稿者 fuRu : 2010年03月15日 17:10