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2010年04月01日

SGT.-mono

[音楽--music ]

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mono box。
いまさらながら一番驚いたのはこれでした。

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一般に「音がいい」というのは、音の響きにノイズが入っていないということと、同時に演奏している楽器の音がクリアに分離して聞こえてくる、ということになります。
今回のビートルズは丁寧なリマスターの作業で、録音時の音の響きがよみがえっています。
そして、音がクリアに分離しているということであればモノラルよりもステレオに軍配があがるわけです。このSGT.Peppersも、CDで最初に出たときからモノラル盤ではなく、ステレオ盤のみが発売されました。今回も単独で発売されたのはステレオ盤のみです。
しかし、このレコードの制作に深く関わったジョージ・マーティンが、モノラル盤こそがビートルズのメンバーと作り上げたSRT.Peppersだと、かねてから明言していましたように、1969年当時、録音の技術もリミックスの技術も、はたまた家庭用音楽再生機の技術でも、ステレオの表現は確立されていなかったのです。

私がビートルズを聴き始めた中学生時代。今から30年以上前になりますが、何度目かのビートルズブームが「ハリウッドボウル」でのライブ盤の発売とともにやってきた時でしたが、その時に店頭で売られていたSGT.Peppersはステレオ盤であり、モノラル盤を聴くことは叶わぬ夢でもあったのです。

というわけで、今回のリマスターで生まれて初めてモノラル盤を聴くことが出来たのですが、ぐいと引き込まれる世界がそこにあったのですね。特に、ステレオ盤も買って聴き比べてしまうと、その差は歴然としています。

確かに、ステレオ盤は一つ一つの音がクリアに聴こえてきますが、音楽は「そういうこと」ではない。複雑な音の固まりが渾然一体となって再生機の向こうからやってくる感覚、これはモノラル盤にしかないものです。その圧倒的なパワーに仰天してしまった私です。

使われているテイクが違うとかそういうことではない、何かもっと根本的に違う音のあらわれ方がここにはある。逆に、それはステレオ盤がさらにクリアになってしまったことによってこそ、私の耳に届いてきたものなのかもしれません。

実は、モノラル盤のなかで「Rubber Soul」にも、同じ感覚を持ちました。

音楽の不思議、録音されたものの不思議が、ここにはあります。

<蛇足>
Revolverの名曲「Eleaneor Rigby」のステレオの音の左右の位相を逆転したアイデアについて、あたりまえですが、これはステレオでしか実現できないものです。SGT.Pepperのモノラル盤への力の入れ方を考えると、ポールのアイデアとされるこの件も、ビートルズにしてみればただの遊びだったのかもしれません。まあ,その遊びが重要なこととして音楽の歴史に刻まれて行ったのがビートルズだということも出来るのですが。



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投稿者 furukawa_yasushi : 2010年04月01日 11:35

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コメント

SGTのLPは僕にとって宝物です。
傷だらけですが、今でも大事に持っていますよ。

投稿者 kozy : 2010年04月02日 18:03

kozyさま
やっぱり、そのLPはモノラル盤なんでしょうね。
私もステレオ盤ならばLPを持っていました。

投稿者 fuRu : 2010年04月03日 13:34