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2016年06月01日

シェアする家、開かれた住宅

[00-空き家対策 ]

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住宅という枠組み。物理的には屋根や壁に囲まれた空間。その中の人。人と人のつながり。家型に囲まれた人と人の集まりは家族。家族はある一方で、構成員それぞれが家という枠組みを超えて人と人のつながりをもつ。それはコミュニティ。

マイホーム主義が席巻し、自らの土地の囲い込みが加速して、場所を共有している感覚が薄れたここ数十年。同時に、住宅の乱立と都市部への集中で、地縁コミュニティが解体されてきた。住民がある程度若いうちは成立していたマイホーム主義も、高齢化が進むと成立するのは難しい。自らの土地の囲い込みによるマイホーム主義の価値観から、地域で共有してゆくシェアの価値観への転換が迫られている。若者たちはその変化に気づいている。

とすると、住宅とは何か?

新たなコミュニティを育む場所として、住宅は機能し始める。

私が設計した家の中でも、住まい手は自らの住まいを外に対して開いてゆこうと家づくりをされた方が少なくない。

友人が多く、20人以上呼んでパーティが出来るような広いリビング。主婦仲間とお互いの持っているスキルを教えあう場所。子供会の世話役としてみんなを呼ぶ場所。ご近所の奥様方と一緒にパンを作ったりクッキーを焼いたりする場所。仲間とショップが出来る場所。アートギャラリーとして時々開放されるリビング。時にはミニコンサートも出来る音楽スタジオのある場所。合唱団のパート練習が出来る場所。

どれも、今までの住宅の概念を超えて、しかし、地域のつながりを、人と人のつながりを育む場所を、住宅の中に作っている。それはすべて、囲い込みではなく、シェア。自らの場所をシェアしながらコミュニティに開放してゆく。

住宅が家族を超えたコミュニティを受け入れる場所になってゆく。

住宅とは住まい手の生活の場所である。住まい手の生活は家の中だけにとどまらない。家の中にそれを取り込む事で、もっともっと楽しい生き方が待っている。

(初出 Facebook 2016年5月9日)


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投稿者 furukawa_yasushi : 2016年06月01日 15:18