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2005年01月30日

「スルメを見てイカがわかるか!」--養老孟司、茂木健一郎

[books ]

「スルメを見てイカがわかるか!」
著:養老孟司、茂木健一郎 角川oneテーマ21
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「スルメをみてイカがわかるか」とは、
死体を見て生きている人間のことがわかるか、ということで
死体=スルメ、生きた人間=イカとたとえて言ったこと。

科学は情報しか相手に出来ない。情報とは止まったもの。それは生きているものではない。
動いているものと止まっているもの、生きているものと死んだもの、その対比が面白くて分かりやすい視点を切り開く。

本書は、養老孟司さんが書いた第一章と、それに続く養老氏と茂木健一郎との対談が3章ぶんあって、その後に茂木氏の書き下ろしの第5章がつづくという構成。
それにしても、ここに収められている対談はぶっ飛んでいる。話がかみ合わないとかはともかく、話題にしているテーマがあちこち飛びまくり。そのはみ出しっぱなしぶりがまた面白い。同一性、デカルト、発生、流通、都市、原理主義、・・・・。人間ってそもそもはみ出しっぱなしなんだとおもうけれども、この対談は、はみ出しっぱなしだから、まとめられない。でも、ともかく面白いからこの対談は読んで欲しいですね。
特に「アメリカ」については、一刀両断。すごい!

さて、茂木氏の書く最終章は「心をたがやす方法」。
この章は整然としていて面白い。
「エピソード記憶」と「意味記憶」という言葉を使って、ひとが出来ることについて語っている。
「エピソード記憶」とは、日々のいろんな出来事のそれぞれについての記憶。
その「エピソード記憶」を人間の脳は無意識のうちに編集し、あるまとまった意味を紡ぎ出す。これが「意味記憶」。
われわれは、この「意味記憶」に照らし合わせて世界に意味をあたえている。
これなんかは、「ジャズ」という言葉について僕が考えていたこととおんなじではないか。
ものすごく共感。
そして、われわれの意識は、この「意味記憶」の編集に手を出すことが出来ない。
われわれに出来るのは、自分の脳が無意識にやっている「エピソード記憶」の編集を信じること。そして、自分に必要な「エピソード記憶」を手に入れること。それを茂木氏は「無意識を手入れする」と表現する。
最後に茂木氏の言葉を引用しておこう。

現代人は、ついつい、意識こそが自分だと思いがちである。しかし、実際には私たちの脳で中で肝心なことの多くは無意識に起こる。意識にできることは、その無意識を手入れすることだけである。自分が意識的にコントロールできないからこそ、自分の無意識は意識にとって無限の可能性を秘めているのだということを悟るべきである。

良い言葉ですね。

・「心を生みだす脳のシステム」--茂木健一郎

投稿者 yasushi_furukawa : 2005年01月30日 12:02

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コメント

はじめまして、トラバありがとうございます。
養老先生のファンなのでこの本を読みました。
自分で何を書いたのか、すっかり忘れていて
改めて読み直してみました。(苦笑)
ああ、そうだった、わたしには難しい表現も
結構あったのでした。(^_^;)
アメリカの話はおもしろかったですね。

投稿者 まあこ : 2005年02月23日 19:59

まあこさん
こんにちは
まあこさんのブログは読書三昧ですね。
アメリカはだめだけれどもアメリカ文学は面白いと、ばっさり切っちゃう養老さんてかっこいいですよね。
TBさせていただいたまあこさんのエントリーはこちら
http://www.mypress.jp/v2_writers/markosyosai/story/?story_id=807743

投稿者 fuRu : 2005年02月24日 00:19

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