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2004年09月29日

Thelonious Monk Straight,No Chaser

[ジャズ--jazz ,音楽--music ]

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Thelonious Monk Straight,No Chaser
「セロニアス・モンク ストレイト・ノー・チェイサー」

ジャズピアニストのセロニアス・モンクの記録フィルムを中心に構成されたドキュメンタリー。

もうずいぶん前に、WOWOWでセロニアス・モンクのドキュメンタリーを放映したことがあった。
たしか、ニューヨーク公演の様子を記録したものだったろうか。

Jazzに関心をもって、いろいろ聴いてゆくと セロニアス・モンクには絶対に突き当たる。
そこで、ぐっと心引かれるかどうか。
僕はセロニアス・モンクの音楽は、何だか試金石のような存在だと思っている。
好きだから偉い、とかそういうことではない。
Jazzという音楽の世界観が、モンクを好きかどうかで違ってくるような気がするだけだ。

調子外れのピアノ。
ただ、たんに鍵盤をひっぱたいているだけのように聞こえるかもしれないそのスタイル。

WOWOWで放映された映像は、レコードでは今一つピンときていなかった
モンクが鍵盤をたたくと言う行為そのものを見せてくれたので
僕に強烈な印象を残した。モンク再発見の瞬間だった。

こういう経験は、なかなか忘れようがない。
それは忘れた頃に
摩周湖に沈むマリモのように日の光に当たろうと浮かび上がってくる。忘れた頃に。

その日僕は秋葉原を歩いていた。
僕の目に飛び込んできたのは、1260円(税込み)のワゴンセールにまぎれた
このDVDだった。僕にはWOWOWの映像が沸き起こっていた。

家に帰ってさっそくDVDを観た。
モンクはやはり、鍵盤をたたきまわり、身体をくるくる回していた。

僕の頭の中では、モンクのピアノが
ジョン・ケージのプリペアードピアノのように見えた。

世の中の、あらゆる音楽の調和の中にたたき出される「存在」というノイズ。

確かに、モンクの音楽はノイズなのだ。
それにしても、あまりにも美しいノイズ。

それを別の意味ではっきり浮き彫りにしているのは
「mulligan meets monk」ではないか。
西海岸でビックバンドを率いるジェリー・マリガンとモンクの共演。
その演奏は、決して交わることのないふたつの世界を
それぞれくっきりと浮かび上がらせている。
多くの人にはモンクの音楽がノイズと聞こえるのだろうけれども
モンクにしてみればマリガンの音楽の方がノイズだったのかもしれない。
そこで生まれたのは調和ではなくて、実は心地よい緊張だったというのも面白い。
よって、このレコードはまれに見る名盤となっている。

と、ここまで書いてきたけれども
僕はモンク狂ではない。ぼんとうに、たまーに、モンクが聴きたくなる。
しかし、その時に聴く音楽は モンクの音楽でなくてはならない。
僕の音楽人生でスパイスのような存在のモンクの音楽。
人生に欠かせない。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2004年09月29日 16:09

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コメント

僕も値段につられてそのDVDを買いました。
映像としてのモンクは1958年ニューポートジャズフェスティバルを記録した映像作家バート・スターンの「真夏の夜のジャズ」を超えたものはないような気がします。この映画を初めて観たのは70年代に京橋の国立近代美術館フィルムセンター、その後、80年代に自主上映もされたと思いますが、「真夏の夜のジャズ」のビデオが発売された時に、どうしても欲しくて買いました、しかもベータを。(既にデッキは壊れてしまって、、、)
映画はモンクによるブルーモンクの演奏とニューポートの沖で行われているヨットレースの映像が印象的。「真夏の夜のジャズ」にはレコード会社との契約の関係でマイルスやコルトレーンは出演していないけれど、たぶんバート・スターンの私的なコレクションには残されているのでは、、と想像すると、いつか御宝映像が、、、。
という事で、僕の場合、たまに聞きたくなるのはブルーモンクですね。

投稿者 iGa : 2004年09月29日 21:41

18のとき、どこかの駅の構内のワゴンセールで、はじめて買ったジャズのカセットテープがセロニアス・モンクでした。たしか1000円くらい、触れたことのない音楽を聞いてみたくて、ただ偶然手にしたテープでした。イチゴのマークがついていて、真っ黒い厚紙のカバーにモンクの顔の、振るとかちゃかちゃ軽い音のするカセットテープを、紙が擦れて白っぽくなるまで、何度も聞いて、ブルーモンクという曲が大好きになりました。
あれは何と云うタイトルのアルバムだったのでしょう。探しても、そのカセットテープはどこに紛れたのか見つかりません。
ブルーモンクを、他のアルバムでもいくつか聞いたけど、やっぱりあのカセットテープに収められていたブルーモンクがもう一度聞きたい、今もそう思っています。
huruさんとiGaさんの間に交されるジャズの会話は、私にとっては憧れです。
店ではもう何年もジャズをかけているのに、いまだに手元のアルバムさえよく覚えられないでいる、ほんとに鈍い私ですが、これからもお二人のお話を楽しみにしています。

投稿者 noz : 2004年09月30日 00:24

iGaさん、毎度どうも。
「真夏の夜のジャズ」は
確か、高田馬場の小さな映画館のオールナイトで観ました。
記憶では、BBキングが最後に登場、あれっ、チャックベリーだったかな???
ともかく、ロックンロールのリズムでエンディングだったような・・・・?
ちょっと、もう一度観ないといけませんね。

投稿者 古川泰司 : 2004年09月30日 15:48

nozさん、こんにちは。
iGaさんといいnozさんといい「ブルーモンク」なんですね。
ちなみに、僕は「ミステリオーソ」です。
それも、ソニーロリンズのブルーノート第2集にはいっているの。
このレコードもエントリーしたい一枚です。
ハードバップのジャムセッションの楽しさがいっぱいに詰まっています。
nozさんもぜひ。

投稿者 古川泰司 : 2004年09月30日 15:51

エンディングはマヘリア・ジャクソンのゴスペルです。
あの、チャックベリーを見て、エルビスやら白人のロック歌手は収入の半分をチャックベリーに捧げなければいけないと思いましたね。

投稿者 iGa : 2004年09月30日 16:22

iGaさん、チャックベリーでしたか。
チャックベリー登場で
いままでまったりしていた会場が俄然盛り上がった、
そんな印象がとても強くて
映画を観終わった僕は、この映画はジャズからロックンロールへと
時代が変わってゆくことを記録したんだな、などと感じました。
たぶん、今観ると全然違う感想を持つんだろうな。
やっぱり、もう一度観なくては。

投稿者 古川泰司 : 2004年09月30日 16:46

いえ、チャックベリーはエンディングではなく、エンディングはマヘリア・ジャクソンです。
チャックベリーについては、そのときの感想です。クリックしてから誤解されるかなと思ったけれど、とき既に遅し。

投稿者 iGa : 2004年09月30日 17:29

iGaさん
エンディングがチャックベリーでなかったことは伝わっています。
ご心配なく。

投稿者 古川泰司 : 2004年09月30日 17:45