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2005年04月10日

「沖縄の神さまから贈られた言葉」--照屋林助

[books ]

「沖縄の神さまから贈られた言葉」
著:照屋林助 (構成:藤田正)
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Lucha Libre ShowのLucha?さんから教えていただいた本を読んだ。

照屋林助の父、照屋林山は琉球古典音楽の最大流派、野村流の幹部。
息子、照屋林賢は「りんけんバンド」をひきいている。
そんな音楽一家の照屋林助(通称てるりん)の残した言葉をまとめたのがこの本だ。
だから、沖縄の音楽のことが書いてあるかと期待するが、沖縄の音楽についてはほとんど触れていない。てるりんが生きてきたなかで大切だと思うことが語られている。

本の冒頭で老人の話を聞くことが出てくる。
そこを読んだときに、僕は大江健三郎の「「自分の木」の下で」を思い出した。
大江の本の舞台は四国の山の中。てるりんは沖縄。まったく違う世界なのに、そこには強い共通点が感じられる。
それは、世代を超えてつながることの大切さと、戦後の世代間の断絶への危惧。
それは、年老いたものから次の世代へとそそがれた優しい眼差し。
戦後60年という時間が生々しくここにあるのではないか。

この本には、沖縄独自の風土や習慣も出てくるが、そんな異国情緒を楽しむだけではなく、そこにしっかりと根付いている、年老いた者からの懐の深いメッセージを感じる。

語り継がれてきたというだけで正しい


この言葉がすべてを語っている。

大江健三郎の本と合わせて読まれることをお勧めしたい。

2005年3月10日 照屋林助 持病の糖尿病が悪化 永眠。一つの死は次の生につながる。

沖縄漫談 平成ワタブーショウ


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2005年04月10日 00:00

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» 沖縄音楽の巨星、照屋林助さん亡くなる from Lucha Libre Show
また、訃報です。テルリン大統領が亡くなりました。ショックです。 「戦後の沖縄音楽において多大な足跡を遺したミュージシャン、よろず漫談家の照屋林助さんが、2005年3月10日早朝、具志川市の沖縄県立中部病院で亡くなった。75歳だった。林助さんはここ数年、以前... [続きを読む]

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コメント

トラックバックありがとうございます。てるりん大統領は息子と違って、とっても人なつっこい、へんてこりんなオジィらしいです。てるりん館でゆんたくした友達が言ってました。オキナワの映画で「ウンタマギルー」だったか「パイナップル・ツアー」だったか忘れてしまったのですが、てるりんが出演していて、そう散髪屋のおっさんの役でした。散髪をしているとそのお客の頭に、魔女の水晶玉のように、違う場所で起こっていることや、未来の映像が浮かび上がってくるのです!!てるりんには、そんな事もあるかもしれないねって思わせる魅力があります。ワタブーショーでも嘘ばっかり言ってますもんね!もう少し生きてて欲しかったです。

投稿者 Lucha? : 2005年04月12日 10:59

Lucha? さん こんにちは
これは、ほんとに良い本ですね。
沖縄の戦後を通して日本の戦後が語られている。
なにか、言葉以上のものが伝わってくるような、そんな本です。
そんな本はめったにないですね。
生きているうちにめぐりあえなかったことは、本当に残念でした。

投稿者 fuRu : 2005年04月12日 11:19