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2006年05月13日

43

[いろいろ--misc. ]

いやあ、43歳である。
誰がなんと言っても、43である。
赤子が泣いても、43である。
猫が昼寝をしていても、43である。

藤原和博さんは、45までに家を建てろ、と言った。
はたして、あと二年で家は建つのだろうか?
ちょっと、難しい、かな、と、思いつつ
ともかく、40代は自分を鍛えたいと最近は考えている。

設計の仕事を始めたのは20代。
20代で、一通り仕事は覚えた。

30代になって、急に周囲の視線が変わったのを感じた。
直接、建て主さんと話すことも増え、現場も少しずつコントロール出来るようになった。

そして、工務店での2年の経験と独立。

30代は実り多い時間だったと思う。
しかし、一方で、歳を重ね経験を重ねて得た信頼に対して
どう答えてゆくのかを、問われていた。
責任の取り方、というものが、まだ地に足がついていない状態だったのだ。

そして、40代を迎え、初めて、責任という駆動シャフトで
社会と繋がっている手応えを感じることが出来るようになった。

建築の設計というのは、大変責任の重い仕事だ。
その責任の所在について、いま、とてもリアルに感じることが出来る。
年を重ねないとわからないものが世の中にはあるのだ。

責任というものを、ちゃんと見ることが出来るようになると
逆に、自分に足りないものがよく見えてくるようになる。
足りないものは足りないままではいけない。
ここで言う、足りないものとは
技術的な知識でもコストをコントロールするノウハウでもない。
そういうものは、すでにしっかりと身に付いている自信がある。
足りないのは、その先にある何かだ。
その何かを求める自分がいる。
だから、40代は自分を追い込んで鍛える時期なのだ。
それが、僕にとっての40代だ。
今、自分を追い込まなければ、実りのある50代はやってこないだろう。

日々、その思いはどんどん強くなっている。

他流試合のご指名に、積極的に参加しているのも、自分を鍛えるためだ。

そのためには、最善を尽くす。どこまで、自分を追い込んでゆけるか、と、きりきりとやる。
そこまでやって、選ばれなかったら、それはやはり悲しいのではあるが
こちらが最適だと考える案を提示することは
それだけで、その住まい手の家づくりに大いに役立ってもらえることだと考えている。
役だってもらえたら、それは大変嬉しいことだ。
ただ、選ばれなかったときの見返りは
経済的には決して恵まれていないのも事実だ。
仲間のなかには、経済的な見返りの点で、他流試合を敬遠する人もいる。

でも、僕にとっては、経済的それ以上の見返りがあるから参加している。
それは、設計というプロセスに関わる
あらゆる点での、自分の力を鍛え、試すことが出来るということだ。

たとえば、同じ条件が与えられているわけだ。
そこには具体的な人物がいる。面談もやって、その人物の持っている空気も感じることが出来る。
それをもとに、自分の方法論で計画を組み立てる。
しかし、やはり、どこかで、今までやってきた方法論に頼ってしまっている部分がある。
それは、手癖のようなものだ。手癖だけで自分の家を設計されたら住まい手はたまったものではない。
そうした、手癖が、自分を追い込むことで出てくる。出てきた手癖は、他の人の案を見ることで、はっきりと僕の前にその姿をあらわすのだ。
他流試合で、僕が得るものが多いのは、自分を適切に見ることが出来る鏡として、その場が機能してくれるからなのだ。

さらに、他流試合が良い経験になるのは
住まい手の様々な価値観と出会うことが出来ること。
そこでは、その価値観を、動物的な鋭さでかぎ分ける力が求められるのだ。
臭覚の善し悪しは、僕らの仕事にとってとても大切だ。
僕は他流試合を重ねることを通して臭覚を着実に鍛えている。

僕は40代にやっておかなくてはならないことを考える。
これをやりのがすと、大変なことになる、そういうことが見えてきたのも40代だ。
だから、40代は自分を鍛える時代にあてようと心を強くしている。
43歳は、そうした40代を飛ぶための滑走路から離陸する瞬間だと感じる。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2006年05月13日 01:00

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コメント

おめでとうございます♪
43は若いってことにしといてくださいね。
そのうち追いつきますので。

最高のテイクオフを。そして飛翔を。

投稿者 some ori : 2006年05月13日 09:23

おめでとうございます。

43歳・・・働き盛りですな〜〜。

投稿者 kazoo : 2006年05月13日 10:47

おめでとうございます。
43才、僕にとってどうだったか......辛かったような、楽しかったような......でした。
その翌年、OMソーラーが始まります。

投稿者 AKi : 2006年05月13日 12:03

わたしが43歳だった頃、わたしは自分を見失っていてつらかった。
そんなに古いことではないのに、なんだか懐かしいな。
もうすぐ50が見えてきて、まだまだ何かできそうな気がしているわたし。

お誕生日おめでとう。
最近、5月生まれが身の回りに多いな。
キレイな季節に生まれて、たくさん祝福されたでしょうね。
いい季節だ。重ねておめでとう。

投稿者 りりこ : 2006年05月13日 18:04

おめでとうございま〜す♪(^-^)

自分をふと振り返り、先へ進まなきゃと思わせるような文、
僕の43はどうなってるんだろうか?と考えると
まだまだ学ぶ事が多そうですね…。
これからもいろいろな事をおしえてください。

投稿者 ひなよし : 2006年05月13日 19:39

43歳、おめでとうございます。
ものつくりとして、意識を高く持つ続けることですよね・・・。
今の状況であと10歳若ければと時々、思うのです。
20台の頃、もっとがんばっておけば良かったとも思う・・・。
それを今の糧にするしかないですね。

投稿者 伊礼智 : 2006年05月13日 20:37

なんだか、独り言のような記事に
みなさんにおいでいただき、気恥ずかしいような感じがちょっと。
でも、とても嬉しいです。
ありがとうございます。

some oriさんの「仕事」に対する視線
kazooさんの「社会」を見る視線
AKiさんの「もの」への視線
りりこさんの「日常と創造のはざま」への視線
ひなよしさんの「前」に向いた視線
伊礼さんの「自分が立っているところ」への視線

すべて、僕にとってはかけがえのない糧とさせていただいております。

これからも、みなさん、どうぞよろしくお願いします。

投稿者 fuRu : 2006年05月13日 20:54

fuRuさん、みなさんよりちょっと遅れましたが、
お誕生日おめでとうございます。そうですか、
fuRuさんよりも、私は5歳だけ年上なのですね。
私が43歳のとき・・・5年前ですが・・・、単身赴
任中で、なんだかさえない生活でしたね〜。
fuRuさんは、家を建てよう!!という皆さんたちと一
緒に、光輝いていらっしゃるようにみえます。

投稿者 わきた・けんいち : 2006年05月14日 00:25

お誕生日おめでとうございます。

ブラームス: 交響曲第1番
ドビュッシー: 交響詩「海」, 映像第1集

確か、彼らが43歳のとき完成された作品です。
ブラームスにしろ、ドビュッシーにしろ、それまで培ってきた経験の集大成的作品で、ここからまた新たに自分の語彙を編み出していった感があります。

fuRuさんにとっての43歳が実り多い年でありますように。

…どうでもいいことなのですが、43歳は、私と夫の丁度真ん中(?)の年齢です。
本当にどうでもいいことですみません(笑)。

投稿者 kompf : 2006年05月14日 00:57

おめでとうございます☆
私は5月が大スキです。実は私も5月生まれなんですヨ。
素敵な歳の重ね方をしていきたいです☆

投稿者 ヘルミーネ☆ : 2006年05月14日 08:28

fuRuさん

ちょっと出遅れました。
「お誕生日おめでとうございました」
12日でしたか?_φ( ̄ー ̄ )メモメモ

「手癖」っていうのすごくわかります。
私も自分のコピーを作っているのではないか、と思うときがあります。
しかし、いつも違うものにすると個性とか特徴がなくなるのではないか、
というようなジレンマもあります。

依頼主の住まいへの思い、どういうライフスタイルでどんな家にしたいのか
100の人に100の家なんでしょうが、いつでも、「実験台」になります。

素晴らしい40代になりますように。
40代ってなかなかいいですよ〜。

投稿者 reirei : 2006年05月14日 11:17

引き続き
コメントをくださったみなさま、ありがとうございます。

わきたさんの「つっこみ」
kompfさんの、音楽の世界で自分が立っている場所への距離感の取り方
ヘルミーネ☆ さんの、文学空間への愛
reireiさんの、ご自分の世界を柔らかく表現している姿

皆さん、素敵な方で
ほんと、良い刺激をもらっています。
ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。

追伸
reireiさん、えーっと、12日ではなくて13日です。はい。
それと、人様を「実験台」になんてしてはいけません。
「実験台」というのは、失敗したということですから。
僕らは失敗は許されないです。
プロの厳しさはそこにあるのですし、
それ故のプロなんですから。
reireiさんも「実験台」になんてなってはいけません。
するほうもされるほうも、人身御供なんて不届き千万、です。

それから、思うのですが、
個性というのは、そうなりたいと思って到達できるものではないですね。
いくらそうなりたいと思っても、そうはならない。
それは、ようするに、創作というのは超個人的な作業でありながら
それゆえ、個人を超越したところに生まれるからだと思うのです。
そこが面白いところです。
「実験台」になっちゃうと失敗だというのは
「実験台」というのは、あるレベルに到達していないということだからです。
それは、やっぱり、プロとして、やってはいけないと思っています。

投稿者 fuRu : 2006年05月14日 17:45

誕生日の日にち、間違えてしまいごめんなさい。
13日ですね。

投稿者 reirei : 2006年05月14日 21:52

そうです。13日ですよ。
と、自分の誕生日を宣伝している僕って何??

投稿者 fuRu : 2006年05月15日 21:18

わああ。遅ればせながら、おめでとございます。
43ですか。私よりも13年も多く生きてるんですか。改めて数えるとすごいですね・・・

誕生日と言えば、古さんが村上さんと出会うきっかけを作ってくれたことを思い出します。あの、オレンジの本の続編が出ましたね、今読んでますが。
本当に、あのとき村上さんのことを知ってなかったら、私は今何を読んで何を考えて生きているんだろうと思います。多分、違う人になってただろうな。

出会った事に、感謝。これからも、かっちょいい人で居て下さい。

投稿者 コメイノチ : 2006年05月17日 00:41

コメイノチさん
どうも、おいでやす。
>私よりも13年も多く生きてるんですか。
まあ、もうしばらくすると、10年くらいに縮まるかとは思いますが・・・。
でも、ということは、○○歳ですか。
ふーん。ちょっと、感慨深いものがあります。
結婚して子供がいて、小豆玄米粥ですから、月日の経つのは早いものです。
お互いにがんばりましょう。

投稿者 fuRu : 2006年05月17日 14:37