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2007年01月16日

「世界一美しい村に住む人々~イギリス コッツウォルズ~」

[報道・TV--topics ]

NHKプレミアム10「世界一美しい村に住む人々~イギリス コッツウォルズ~」を観ました。

イギリス・コッツウォルズ地方、“宝石”と呼ばれるほど美しいチッピング・カムデン村の風景と人々の暮らし。春から秋、女性3代に渡って守られてきた庭を中心に訪ねる。(NHK番組案内より)

という番組の説明の通り、画面にはすばらしい風景が広がっていました。
もちろん、私は行ったことがありません。手持ちの写真もありません。
というわけで、まずはその様子を見ていただくためのリンクです。
チッピング・カムデン

そして、舞台は「キフツゲートガーデン」へ。
ヘザー・ミュアー夫人が1918年に館を含むこの土地を購入されてから始まった庭造りは、娘さんのダイアニー・ビニー夫人、そしてお孫さんにあたるアン・チャンバーズさんへと現在も引き継がれています。
親子三代による庭造りというのが凄いなあと感心することしかり。その庭の広さも東京ドームの半分ほどというのですから驚きは三万倍です。

私は、イングリッシュガーデンに熱心でも、感心が大きいとかでも何でもありませんが、長い年月にわたり愛されてきた場所というものは、本当に魅力的だと思います。もちろん、その魅力を維持するためにどのくらいの努力が惜しまなく注がれているかは想像に難くありません。ただ、そこに住む人々の姿を見ていると、そうした苦労がごく普通の日常的なこととして行われているということに驚きます。そんなの、観光目当てのやらせにすぎないんだよ、なんて野暮な詮索はこのさい止めましょう。

それにしても、どうして、日本にこうした魅力的な場所が残されていないのでしょうか?里山の風景というのがそれに近いと思うのですが、現代の日本で里山を維持するのは大変なことになってしまっています。

番組では、18世紀から始まるイギリスの産業革命で、コッツウォルズ地方では石炭が産出されなかったことがこの地方を昔のままの姿に留めたのだと説明していました。
近代化から取り残されたのが不幸中の幸いというところでしょうか。

番組では、主に中高年の方々ばかりが出演されていたのも気になるところです。近代化された生活が普通になっている若い世代はどう考えているのでしょうか?

アン・チャンバーズさんのお嬢さんは現在大学で文化人類学を学ぶために家を出ています。時々帰ってくると庭の手入れをお母さんから教わっている。でも、将来どうなるかは今はわからないと言っていました。今の自分にはこの庭を維持するということの価値がわかっていないからだということです。

さて、私は番組を観ていて、この地方がこのように取り残されたのは、近代化から落ちこぼれたためだとは思えませんでした。そこに住む人々の表情には、取り残されたというようなネガティブなものは一切感じられなかったからです。彼らの表情は一様に豊かで満ちあふれていました。それは、とりもなおさず、その場所を愛し続けてきたということの自信の現れなのだと思います。

場所を愛し続けることのすばらしさを教えられた番組でした。

NHK番組表
AMAサポーターズ倶楽部活動日記さんの旅行記


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投稿者 furukawa_yasushi : 2007年01月16日 14:30

コメント

観ました、観ました!本当に映像が美しいかったですね~。
人々の表情も素晴らしかった。皆、愛と喜びを持って花や野菜に接しているのですよね。もちろん大変な苦労はあるのだそうけど、それ以上の喜びがある素敵な表情をしてましたね~。なんとか今後も受け継がれるとよいですね。 私も若い頃、イギリスは旅行に行きましたがその頃はコッツウォルズ地方などへは興味もなく…ロンドン、ロンドンってバカの一つ覚えのような旅でした。今だったら間違いなく、コッツウォルズ地方、行くのになぁ~。気付いた時には、暇と金なし…。(^^;

投稿者 yukiりん : 2007年01月17日 13:19

yukiりんさま
やはり観ておられましたか。
いやああ、すばらしい風景と街並みでしたよね。
一軒一軒の家が、その風景と一体化していて、すばらしかったです。
やっぱり、愛と喜びを感じられましたか。
良い番組でしたよね。

ところで、yukiりんさん
昔はパンク野郎(?)で、聖地巡礼でロンドンに行ったとか?

投稿者 fuRu : 2007年01月17日 13:39

ええ、昔はパンツ野郎でして…(^^; 違います!でも一時、周りの影響で The who や ピストルズ、クラッシュなどのパンツじゃなくてパンクを聴いていた時期もありましたよ~。学生の頃、銀座の山野楽器の特販課って所でバイトをしていたのです。色々なコンサート会場でCDを売る仕事で、周りにヘビメタファンやパンクやクラシックオタクが沢山おりました。(^^; フルさんは何系かしらん?ジャズですかね?

投稿者 yukiりん : 2007年01月17日 15:09

yukiりんさん
実は、あちきは高校生からジャズだなんて言っていますが
実は熱烈なクラッシュのフアン、つまりはパンク野郎だった、のですね。
パンクとジャズが共存していた不思議な年頃でありやんした。

投稿者 fuRu : 2007年01月17日 15:22

あ~、やっぱりパンツ野郎だったんだ~。(^^; クラッシュはいい曲、沢山ありましたよね。
しかっし、fuRuさんの身長でピンの沢山突いた革ジャン着ていたら、あまりも…で皆、近寄らないだろうなぁはは~"#$%&'(()~...#$''&)(=~ ここにも雪女の魔力がぁあ…スイマセン、本日雨にてお店暇なんです(^^;

投稿者 yukiりん : 2007年01月17日 16:47

あああそうそう。
うちの夫婦はジャームッシュとクラッシュで一緒になったようなものです。
人が聞けば、なんてパンクな夫婦なんだと思うでしょうね。(^^;)

ちなみに、高校の時はお金がなかったので本革ではなくて合皮の黒い革ジャンでした。

投稿者 fuRu : 2007年01月17日 16:53

fuRuさま。ご無沙汰をしております。
その番組は残念ながら観られませんでしたが、チッピング・カムデンも周囲の他の村や街も、いわゆる「観光地」という雰囲気はまったくありません。住んでいる人たちも「ここは観光地だから」といった気合いの入った生活はしておらず、ほとんどの人が「外から勝手に人が来る」と思っています。ですから、行ってみるとわかるのですが「普通の村」なのです。表通りで観光客相手にモリスダンス(イングランドの獅子舞みたいなやつ)のショーをやっているくらいなもので、横断幕も「なんとか銀座」みたいなアーケードもありません。羊ものんびり草をはんでたくさんフンをしています。

コッツウォルズにかぎらず、イングランドの田園地帯はどこも同じようなものです。それは住んでいる人の精神というか意識が「若いときはしっかり働くけど、いい歳になったら田舎に引っ込んで庭でも造るか」という理想的な生涯を描いているからで、多くの人がそういうもんだと思っています。乱暴に言ってしまえば「国民性」みたいなもので、どっかの国みたいに流行にかぶれてナチュラルだのロハスだの外面的なことばかり追いかけているのとは、根本が違います。その象徴が「Heart of England」とよばれているコッツウォルズ地方であり、イングランドの人が憧れる生活になっているというわけです。

もうひとつは産業革命と相反して(産業革命への対抗、という視点もありますが)、ナショナル・トラストの活動が盛んになり、イングランドの人たちが無意識に持っていた「古いものを大切にする」(そして、その良さが活きるような使い方をする)という生活信条が、コッツウォルズに代表されるカントリーサイドに現在も反映されているということでしょうか。

長くなりましたが、ご興味がありましたらぜひ一度行ってみてください。建築的にもおもしろいものがいろいろありますし、あの地方はライムストーン(コッツウォルド・ストーン)という石を産出しているので、それを活用した家もたくさんあります。まあ、教会に行って「この墓はずいぶん新しいね」なんて言うので見てみると17世紀の人だったりするようなところなので、唖然とすることは多いです。イングランドにおいて「カントリーサイド」(コッツウォルズ含む)というのは場所でも風景でもなく、精神(または「イングランド魂」)なのです。

投稿者 at.yamao : 2007年01月17日 17:16

at.yamao さま
こちらこそ、ご無沙汰しております。
イギリス、というよりも「イングランド」ということで山尾さんの専門は音楽ではありますが、
音楽だけでなく、といいますか、生活を含めた文化としての音楽を、境界線無く語る山尾さんらしい、すばらしいコメントに、番組を観て感じたことを、今、よりリアルなものとして受け止めることが出来ました。
本当に、私はこの番組を観て「Heart of England」というものに、心底まいってしまった、というのが正直なところなのであります。
海外といえばアジアにしか行ったことがありませんので、ぜひに(いつかは)行ってみたいと山尾さんのコメントを読ませていただき心に強く思いました。

投稿者 fuRu : 2007年01月17日 17:55