« TIMEDOMAIN light | メイン | 初春大歌舞伎@歌舞伎座 »

2007年01月21日

NHKスペシャル「グーグル革命の衝撃」

[ウエッブ--web ,報道・TV--topics ]

NHKスペシャル「グーグル革命の衝撃」を見ました。

Googleでの検索結果に命をかける人々。
検索順位を上げることが商売になり、
検索結果から除外された企業が倒産の危機に瀕し、Googleを相手に訴訟を起こす。
Googleの上位15位にはいっていないホームページはこの世に存在しないも同じだ、などというコメントがでてくる。
なんだか、そんなことを見ていると背筋が寒くなるばかり。恐ろしい限りです。

ところで、私のブログでも、いくつかのキーワードでGoogleの上位にランキングされています。

「アフターダーク」--11位
「わたしを離さないで」--1位(なんと!)
「ガルバリュウム鋼板」--1位(なんと!)
「コマ基礎」--2位

「アフターダーク」と「わたしを離さないで」はそれぞれ小説のタイトルで、私がブログに書いた記事がヒットします。しかし、その記事を訪れてくださった人が、私が建築の設計を生業としているということに気がつくことはないでしょう。気がついたとしても、それがきっかけで私に設計を頼むと言うことは、まあ、考えにくい。

「ガルバリュウム鋼板」も「コマ基礎」も、それぞれの素材や工法に興味がある方が検索してきているわけで、設計事務所のことなど意中にありませんから、こちらも広告機能としては無きに等しいと思います。

では、たとえば「住宅設計」というキーワードで上位にランキングされたらどうでしょうか?
確かに、きっかけのひとつとはなるのでしょうが、上位にランキングされているからといって仕事を依頼されることにはならないと思います。

それは、やはり、住宅の設計というものが、まずは設計者の作り出す世界の魅力によって成り立っているからです。魅力とは、美しさであり、機能性であり、あるいはコストに関すること、などなど。そして、そうした魅力ある空間をいっしょに作り出すことが出来るかという、設計者との「相性」が、家づくりにおいては大切だと、多くの人が考えているからだと思います。

そういう点では、番組で紹介されていた、機械化と自動化がすすんだ一部の医療の世界とはずいぶんと違うのだと、私は感じました。

つまりは、私のとってGoogleはひとつのきっかけとしては大切な役割を果たす可能性をもっていると思うのですが、私の生業に最終的な影響を受けるとは考えにくいのです。

こういう立場から、今回の番組を見ますと、ひとつのことに気がつきます。

それは、Googleの扱っている情報は、確かに世界を網羅しそうな勢いで拡大していますが、それは「情報」でしかないということです。ようするに、記号的な世界でしかない。
たとえば、amazonも同様の拡大をしていると思うのですが、amazonでも、顧客の注文リストをデータベース化して、過去の購入履歴から判断された商品の紹介メールなどが我々利用者に届けられます。しかし、紹介される商品のどれもが、というと言い過ぎかもしれませんが、的はずれだったりします。
本やCDというものは、著者や演奏者、あるいはジャンルといった分類で情報化されているのでしょう。しかし、我々が本やCDを手にしたときに、それを読み、それを聞いて感じたこと、感じることまでをも「情報」としてすくい上げることは、amazonには出来ない。同様に、Googleでも検索結果までです。検索の結果、人がどのように行動してどのような結果になったかは「情報」としてすくい上げることは出来ません。
もちろん記号的な情報が支配的な力を有している世界もあるのでしょうが、世界はそればかりではないのです。

最近、便利だと思ってGoogleカレンダーを使い始めています。
登録したIDでアクセスして、自分の予定を書き込めます。パソコンとブラウザ、インターネット環境があればどこからでも確認できる予定表です。とくに便利なのは、その予定を携帯電話にメールで知らせてくれる機能です。30分前とか3時間前とか、知らせるタイミングも設定できます。私は自分の携帯に届いたGoogleカレンダーからのメールで、今日一日の予定が確認出来るというわけです。もちろん分刻みの予定で動かれている方は、そんなことをしていたら携帯電話はメールで溢れかえってしまうから使い物にならないと思いますが、私のような大ざっぱな予定で動いているものとしては大変にありがたい機能なんですね。おまけに、無料です。

私はGoogleカレンダーを通じて、Googleに自分の情報を預けています。
自分の行動の一部を預けていると言っても良い。自ら監視の目にさらされているという言い方も出来るでしょう。しかし、そこは使い方だと思っています。監視されたくないことはGoogleカレンダーに書かなければいいのですから。

私たちはすでに、インターネットに自分の情報をその一部であれ公開しないですますことは難しくなっていると思っています。すでに、私はamazonに自分のクレジットカードの情報を預けていますし、そのリスクを越えて、便利さを享受している。メールのやりとりをするにしても、自分のメールアドレスは明記する必要があります。電子メールの便利さは、ずでに仕事からも私生活からも切り離せなくなっている。インターネットはすでに我々と深くコミットしているのだと思います。コミットすることによって、我々の生活はある種の自由を獲得しているのだとさえ、私は考えています。

そして、そこには、インターネットが、ただの道具以上でも以下でもない、という事実があるだけなのだと思うのです。

<蛇足>
一般的なキーワードで検索された上位ランキングに何の意味もないことは常識なのではないだろうか?


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2007年01月21日 23:20

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://af-site.sub.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/1120

コメント

番組を見ながら、世の中すごいことになっているのねぇとビックリ。情報収集から収入までGoogleに頼っている青年にも驚きました。
わたしのHPやブログには訪れるかたもそれほど多くないので、ランキングもなにもあったものじゃありませんが、仕事でお会いした方が、あとで私の名刺を見て検索し、こちらの趣味趣向、ライフスタイル全般を知っていただくには良いものだと思っています。納得していただいた上で仕事の依頼をいただくと、「ほんとに私でいいのかしら」なんて思わず安心して描けます。

投稿者 kadoorie-ave : 2007年01月22日 03:24

この世からGoogleがなくなってしまったら、
わたしは今の仕事ができないだろうなと思います。
わたしはGoogleに依存していると思うけれど
それは必ずしもわたしの好みに沿って残っている軌跡ではない。

わたし自身はもっと複雑に組み合わせて検索してるし、
番組が言うような上位5位だけではなく、奥まで探ってます。
探らざるを得ないような環境なんですけどね。
それでも、オーバーに言えば番組のような時代なんでしょう。
ただそれは、海底ケーブルだとか通信回線だとかいう
比較的脆弱なものの上に乗っていて、
「情報産業」というもの自体がかなり不安定なものだと思う。
錯覚のようなものではないかと思うときがあります。

自分のblogが、喫茶店のノートに書き散らした駄文と
同じような程度のものだとは知っているのですが
それをきっかけにリアルに知り合う人もいて。
ゴミと宝と、どっちにするのかはその人しだいなんでしょうね。
番組は、マネーの側面が強調されていて、
いっそうインターネットというものが不安定なものに感じられました。

投稿者 りりこ : 2007年01月22日 09:18

kadoorie-aveさんや私のような
個人的なコミットメントのきっかけとして、そしてそれが仕事を潤滑に進めてゆく上で大切なことですから、そういう点ですでに私にとっての「af_blog」も、kadoorie-aveさんの「ONE DAY」も欠かせないものになっていますよね。
ブログというのは、やはり運営している人がそのまま出てくるし、出てこないブログはつまらないと、多くの人は評価していると感じていますから、自己表現、自己紹介としてはかなり良好なメディアになっているのだと思っています。
インターネットの普及で、詐欺や犯罪が増えたというばかりでなく、人と人がつながって新たなものが生み出される可能性も大きく広がっているという点は大切にしたいですよね。Googleも批判ばかりされるんではなくて、そこから生まれる新しいコミュニケーションとネットワークの豊潤さをも語らねば、片手落ちだと思ってこの番組を観ていました。

投稿者 fuRu : 2007年01月22日 09:49

りりこさま
上位五位に入る記事は、逆に私の場合にはあえてアクセスしないときがあります。
それは、経験的に上位に入っている記事が実は内容が貧弱である場合が少なくないからです。情報をシンケンに求めている人というのは、りりこさんや私と同様に検索結果の奥の方に豊かなものが潜んでいて、それを掘り起こす楽しさにも目覚めているのだと思います。
kadoorie-aveさんへのコメントでも書きましたが、インターネットが生んだ新しいコミュニティの形として、ブログなどが果たしている役割について、もっと前向きにというかその有効性について、もっともっと議論されるべきなんだと思うのですよね。
これは「ブログの力-その後」というようなことだと思います。

投稿者 fuRu : 2007年01月22日 09:56

fuRuさん、拙ブログへのコメント、ありがとうございます。
「ようするに、記号的な世界でしかない。」とお書きになっている点、重要ですよね。Googleだけでなく、様々な情報を駆使しながら、主体的に何かを創造していこうとする人間観と、情報を単に記号のようにただ受動的に消費するような人間観を対比的にみたとき、Googleの「発展(?)」にとって重要なのは、後者のような人たちかもしれません。Googleの示すランキングや情報にもとづきなにかの判断をする人びとが、従来の巨大企業が独占してきた市場の秩序とはまた異なる形で(ロングテール)新たなな市場の秩序を形成するとともに、そこに包含されていく。もっといえば、個々人は自分は前者のような人間ではない思っていても、結果として社会全体として後者のような人間を生み出す方向にシフトさせていく、という問題でしょう。以前、拙ブログで書評した『Googleグーグル』では、著者の佐々木俊尚さんは、Googleが結果として、「すべてをつかさどる強大な『司祭』になろうとしている。それは新たな権力の登場であり、グーグルにすべての人々はひれ伏さなければならなくなるかもしれない」と危惧されていました。まだ、「グーグル革命の衝撃」の録画を見ていませんが、そのあたりに注意して見てみたいと思います。

投稿者 わきた・けんいち : 2007年01月22日 11:06

わきたさま
あの番組を見たあとでいろいろ考えています。
インターネットの検索で得た情報を自分の言葉として活用しようとするのか
その場限りの情報として「コピー・ペースト」で十分なのか?
インターネットや情報に対する我々の態度のこの違いが今後の展開を大きく左右する。
この違いがGoogleなどによって加速的に我々に影響を与えて、人間とか人というようなものの概念さえも変質させていってしまうのではと考え始めています。
ちょっと、自分でも今の段階ではうまく言葉に出来ませんね。
もう少し時間が必要です。

投稿者 fuRu : 2007年01月22日 12:01

すごいですね!
「私を離さないで」なんてキーワードで・・・
と思ったら小説のタイトルなんですね。
でも、ほんとグーグルは凄いけど、ドンドン商業性が増してくるとグーグルの検索使わない人も増えてくるんじゃないかなぁと思うのです。

ヤフーよりグーグルなのは無作為検索(ロボット型?)の方がより知りたい情報に直結と思っていたのに・・・
コレだけ手が入ってくると純粋に情報を信じられませんよね。
まいりました~~~

投稿者 akatuki : 2007年01月22日 16:01

グーグルカレンダー便利ですね。
我が家の場合、夫のスケジュールを妻が監視しています。
恐妻でしょ~。
夕飯の有り無し、子供の風呂当番の確認に役立ちます。

投稿者 りぼん : 2007年01月22日 17:39

akatuki さま
そうそう、何事も過信しちゃうことがいかんのですよね。
ほどほどに、コミットしすぎず、デタッチもしすぎない、ほどよい距離感が大切な時代ということだと思います。

投稿者 fuRu : 2007年01月22日 22:58

りぼんさま
おお!夫婦共有の連絡帳みたいなことですね。
離れていて同じ予定表に書き込めるわけですから使い勝手が良いですね。
そうかあ、そういう夫婦もいるんだなあ。どんどん増えてくるでしょうね。
とっても、面白いです。今後の展開も期待しちゃいます。

投稿者 fuRu : 2007年01月22日 23:02

僕もとぎれとぎれながら観ていましたが、検索も昔ほどの感動がないですね(NHKさん盛り下げてスミマセン)。
明日の24:00からNHK総合で再放送があるみたいです。

投稿者 Anonymous : 2007年01月22日 23:42

スミマセン、PowerBookのHDを交換したのですべて初期化され、名無しのゴンベイで投稿してしまいました。
それにしても本件は別ですが.macは便利であります。

投稿者 カーク : 2007年01月22日 23:46

カークさんでしたか
無記名でも投稿できるようになっているのも、こうなると問題ですね。
そうそう、「.mac」興味があります。
願わくば、もう少し利用料金が安ければと思います。

投稿者 fuRu : 2007年01月22日 23:52

遅ればせながらではありますが、一応プロなので、コメントをさせていただきます。
仕事で、アクセスログの解析や、ブログの書き込みデータの分析に関わっているので、
そういう立場からの、意見と説明をちょっと。
(ただ、番組を見ていないので重複があったらゴメンナサイ)

グーグルなどの検索キーワード、
企業側には「ホームページに来た人が、どんなキーワードで検索してきたか」が
分かるようになっています。

つまり、「○○」で検索してきた人は物を買ってくれて、
「△△」で検索してきた人は物を買ってくれないということが分析次第でわかるんですね。
そうすると、リスティング広告とかP4Pとかいわれる、
検索連動型広告のあり方も大分変わってきます。

ところで、インターネットがごく普通に使われだすと、
TVなどとは違った、広告のあり方が問われ始めます。
バナーという看板をむやみに出すことは効果が薄いことが判ってきていますから、
上位15位に入っていないと・・・という議論が本気で必要な人たちがいるのも事実です。

で、誤解を恐れずに言うならば、
世の中に電話がなかった時代に、電話が出回り始めたように、
イメージしにくければ、FAXや携帯電話を皆が使うようになったときのように、
インターネットの、とくにグーグルなどのサービスは、
皆が有効な使い方を試行錯誤している状態なのかなぁと思うんです。
インターネットに使われてしまう人もいれば、有効に使いこなす人もいる。

まだまだ発展途上で奥が深い、その分「可能性」も「落とし穴」も多くって、
沢山の人が興味関心を持っているっていうことなんでしょうね。
否定するも肯定するもなく、安易に流されることなく、
充分理解したうえで素直に受け止めていくことが大事なのかなぁと思います。

参考~検索と情報収集に関する調査結果(特に16ページがわかりやすいです)
http://www.interscope.co.jp/company/pdf/060613.pdf

投稿者 Tomy : 2007年01月25日 02:09

Tomyさま
ようこそ!
>否定するも肯定するもなく、安易に流されることなく、
そうです!まさにそれが、私が言いたかったことです。(^_^)v
一方、番組ではイタズラに恐怖心を煽っている感じもあって
その辺に違和感を感じてしまったのであります。
どちらのしても、インターネットと我々の生活が、情報家電といわれているものたちの展開も含めて、今後どうなってゆくのか、とても興味深いですよね。

投稿者 fuRu : 2007年01月25日 09:23