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2007年06月20日

彼は何を探していたのか?

[アート--art ]

彼はその男が水たまりを飛び越えるのを待っていた。
少女が階段を駆け登るのを待っていた。
少年たちが右を向き、左を向き、後ろを振り返り、笑い転げるのを
砲火で空いた壁の穴から待っていた。

待っている彼の元に、その瞬間はやってきた。
それは誰かの意思でだろうか。いや誰の意思でもないはずだ。
人はそれを偶然と呼ぶ。
しかし、その瞬間を見せられた我らは、それを偶然と呼ぶことは出来ない。
それらが、あまりにも魅力的だからだ。
そんな魅力的な瞬間が
誰の意思でもなく、そこにやってくるとしたら
人はそれを奇跡と呼ぶにちがいない。
我々の目の前に並べられた奇跡のようなひとコマひとコマ。
彼は奇跡を探していたのだろうか?

6月19日から竹橋の近代美術館で始まった
アンリ・カルティエ=ブレッソンの回顧展にいってきました。

ブレッソンの写真を見る楽しみとはなんでしょう?

今回の回顧展を観て、偶然から奇跡をたぐり寄せるまなざしの力に圧倒されました。

純粋に造形的な魅力をもったイメージたちは、すでにタブローとして我々の意識の中に存在しているのでしょう。
それが、ただの造形ではすまないのは、カメラへ向けられる人々のまなざしがそこに写っているからでしょう。

写真というメディアが持っている奇跡を。
偶然を必然にたぐり寄せるまなざしの力を。
奇跡の力を。

ブレッソンは我々に「なにか」を信じさせてくれます。


私が持っている小さな写真集。

アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2007年06月20日 10:40