2008年05月21日
「イカの哲学」---中沢新一・波多野一郎
[books ]
「イカの哲学」
著:中沢新一・波多野一郎 集英社新書 0430
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「大助君は無数のイカの実存を直感した。」
建築家の秋山東一さんが持っていた本。
タイトルが不思議な本ですね、と、その場でちょっと見せてもらって、面白そうな本だと感じました。
こういう直感には素直に従う方が良いでしょう。
波多野一郎さんという哲学者が書いた「イカの哲学」という本。
埋もれてしまっていたこの本に再び光を当てる試みです。
「戦争」と「超戦争」。
相手に壊滅的な打撃を与え、全滅させることもいとわない、このごろの戦争は
人類がその誕生以来、分かちがたくつきあわされてきた戦争と決定的に違うということ。
これは、中沢新一さんのフィールドである文化人類学の研究文献がベースになっているにちがいないでしょうが、裏付けをつぶさにとるのではなく、平易な言葉で語っています。
その決定的な違いを強く認識すること。
その大切さが、波多野さんの「イカの哲学」にはっきりと書かれているのです。
波多野さんは生命の「実存」といいます。
中沢新一は、そこにこそ「超戦争」を越える「超平和」が見出されるとしています。
心強い響きがそこにはあります。
多くの人に読んでいただきたい本です。
平和を志す本です。
<蛇足>
この本は、中沢新一さんと太田光さんの対談「憲法九条を世界遺産に」の続編として書かれたことが、後書きで触れられています。
○ イカの哲学(aki's STOCKTAKING)
※新しいホームページで情報更新中!!
投稿者 furukawa_yasushi : 2008年05月21日 15:00
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コメント
読んだ後、なんともいえない気持ちになったです...。「憲法九条...」もあわせて拝読することをお勧めいたしますです...。
投稿者 たかさん : 2008年05月22日 11:59
たかさんさま
「憲法九条を世界遺産に」も熱のある書物ですよね。
投稿者 fuRu : 2008年05月22日 23:30
furuさま
そうですね。
大田さんと中沢さんの掛け合いがとても「あつい」ですね。
確かに一国の法律としてこのような「部分」が存在するということは「世界遺産」だなぁ、と
あらためて考えさせられる内容となっている本でした。
投稿者 たかさん : 2008年05月23日 09:06
たかさんsama
やはり、中沢新一は、ただの平和主義ではなくて
戦争をやってきた人間というものを根本から見つめ直そうという視点から発言しているので説得力があるのだと思います。人間が抱えてしまった「悪」の部分からも目をそらさない知恵と勇気が大切ですね。
この「イカの哲学」には、知恵と勇気がつまっていると感じました。それが、エネルギー、「あつさ」の源だと思います。
投稿者 fuRu : 2008年05月23日 15:16