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2008年06月05日

「ル・コルビュジエのインド 」---写真:北田英治

[books ]

「ル・コルビュジエのインド 」
写真:北田英治 出版・編:彰国社
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先日、ドーモ・アラベスカで拝見した
北田英治さんの写真の多くは、こちらの写真集に収録されています。
あらためて、この写真集を見ていていろいろ考えました。
コルビュジェにとってインドとはいったいなんだったのでしょう。

スライド会の席で北田さんが言っていたことですが、コルビュジェの建物は世界中で世界遺産への指定をうけるために申請中だそうですが、インドにあるものだけはインドが申請するのを拒否したのだそうです。
インドには世界遺産に指定された古代遺跡が数多くあります。そうした古代遺跡に比べて、コルビュジェの建物はその年月の経ち方が決定的に違います。古代遺跡に比べればまだまだ若造のコルビュジェなんて取るに足らないものなのでしょう。
私も、近代建築が世界遺産に指定されることについてはいささかの違和感を感じてしまう方ですので、コルビュジェの建築が世界遺産に指定されることについても懐疑的です。
その違和感は「近代建築」というものに対しての限りなく根の深い懐疑に端を発しているように感じます。

そして、この写真集を見ていて私が感じた「違和感」。
北田英治さんがインドで撮影してきたコルビュジェの写真には「違和感」が写っていると思いました。あきらかにインドという大地で孤立してしまっている近代建築の違和感が写っていると。

いやいや、写っているというのではなく、インドという大地がその違和感をあぶり出してしまっているのだと思います。
それだけ、インドには自分の時間がちゃんと残されている。近代に掻き回されていない自分たちの時間が残されている。
北田さんの眼差しはその時間をちゃんと見つめていると。
そして、それはきっと、日本で見つけるのはとても大変な時間なんだと思いました。

<蛇足>
北田さんの写真を見ていて村田賢比古さんの写真集「時差ボケ東京」をすぐに思い出しました。
北田さんはインドの街中の人々の姿も写真集におさめられています。その人たちがもっている時間をその写真はしっかりと見つめています。「時差ボケ東京」でも、東京という街を行き交う人々の時間が見つめられています。そこで浮かび上がる、人間の時間。
近代というものが我々の生活に深く入り込んできているのは、まさにその「時間」においてでしょう。
私は「時差ボケ東京」に近代が抱えてしまった矛盾の時間を見ているのです。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2008年06月05日 10:30

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コメント

同感・同感・・です。
インドで見たわけではないけれど、そんな気がします。

投稿者 いちよう : 2008年06月05日 19:06

いちようさま
でも、コルビュジェは凄いですよね。
インドはもっと凄いということなんでしょう、きっと。

投稿者 fuRu : 2008年06月05日 19:37

インドに反応しました。

数十年前に3ヶ月ほど滞在しておりました。

いろいろな意味ですごいところです、寺院などの建造物の存在感は圧巻です。
すべてが混沌としている世界があります。

投稿者 モイチ : 2008年06月06日 10:47

モイチsama
パキスタン、ネパールは行った事がありますが
実は私、インドに行った事がありません。
私の家内は10代で一人インドに行ったという強者ですが
最近、また行きたいなあと、ぼやいています。
子供を連れて家族旅行も良いかなと思っています。

投稿者 fuRu : 2008年06月06日 11:34

いい意味で年齢不詳のfuRuさん、^^ こんにちは~!
私も22歳の頃、インドに呼ばれて行ってきました。たった1週間ですけど(^^;
大きなカルチャーショックを受けたのを覚えています。
必ずまた行こう!と心に誓ったのに未だ実現ならず…。
fuRuさんの奥さんは10代で一人インドですって~!つ、強い。(^^;
コルビュジェの建物は気にしなかったなぁ~、残念。写真集はみてみよっと。
インドには不思議な魅力が沢山詰まってますからねぇ、いつかまた行きたいな。

投稿者 yukiりん : 2008年06月06日 14:46

yukiりんさま
インドに行かれたことがあるんですね。
>呼ばれて・・・
なるほど、そういう感じ、よく分かります。
良いなあ。
わが家は家族旅行でインドへいつかは行きたいと思っているんですが
LG家はどうでしょう?ぜひ家族旅行で行かれてください。
同じくらいの時期にして、向こうで偶然あうというのが良いですね。

それはともかく、私が年齢不詳なのか、カークさんが年齢不詳なのか、ですけれども、やはりカークさんの方が、年齢不詳ではないかと、そんなふうに思うのですが、いかがでしょうか?

投稿者 fuRu : 2008年06月06日 14:57