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2008年09月21日

スタジオジブリ・レイアウト展

[アート--art ]

080920-ghibli.jpg

台風が一気に去っていってしまいましたので、朝から快晴の青空となった昨日の土曜日。これはチャンスと「スタジオジブリ・レイアウト展」に家族で行ってきました。
さて、どこでやっていたかなと思いネットで調べると、なんとチケットは予約制。日付と時間が指定されたチケットを前もってローソンで購入しておく必要があります。
やれやれ、せっかくの思いつきも実現しないかと半分あきらめながら電話で予約してみましたら、なんと当日の朝なのに12時からのチケットを購入することが出来ました。
これから行かれる方、あきらめないで電話やネットで予約してみてください。意外と当日でも大丈夫な感じです。

というわけで、展示されている「レイアウト」ですが、その密度の濃さに圧倒されるばかりでした。

ところで、「レイアウト」とはなんでしょうか?
パンフレットに記載の解説によれば、アニメーションの制作過程のなかでとても重要なものとのこと。

アニメーションは、まずは企画があって脚本があって「絵コンテ」がつくられます。ここまでは、わりと個人的な作業です。作業に加わるメンバーも数人というところでしょう。その後、背景を描いたり動きを作画してセル画に写していったり、場面によってはCGで制作したりと、膨大な作業が待ち受けています。もちろん関わるスタッフの数も多い。たぶん数百人。そうした大勢の人が関わる共同作業で、完成されるアニメーションの制作意図、イメージがぶれないようにするのは大変なことです。
そこで重要なのがこの「レイアウト」。「レイアウト」というのは、「絵コンテ」からさらに一歩進めて精密に描かれたものでアニメーションとしての最終型を共同作業に関わるスタッフと共有するためのもの。「レイアウト」をしっかりしておくことで、その後の膨大な作業を同時進行で進めることが出来るというわけです。

この解説を読み、「レイアウト」というのは、建築設計で言う「実施設計図」や「施工図」に近いのかなと思いました。
この場合「絵コンテ」は「基本設計図」になると思います。

我々も「実施設計図」をしっかり描けば描くほど現場の段取りはスムーズになり、より完成度の高いものが生まれます。
この場合の「実施設計図」とは、未だ我々の目に見えていないものを作り手に伝えるものです。「実施設計図」を描くとは完成型をどれだけリアルに思い描けるかということになります。まさにアニメーションでいう「レイアウト」も完成型をどれだけリアルに思い描けているかということだと、展示されている「レイアウト」の数々を見ながら思いました。
建築もアニメーションも複数の人との共同作業という点で共通しています。共同作業でいかに完成度の高いものを作れるか。ここにこそ、作者としての力量が試される。つまりは、いかに「レイアウト」を描けるか、いかに「実施設計図」を描けるか、ということこそ、共同作業における作者の作家性を裏付けるものなんだと思います。

ちなみに、「レイアウト」はそのシーンを担当するアニメーターが描くそうです。中には数枚、宮崎自身が描いたものもあるそうですが、どれがそれなのか、私が見た感じではわかりませんでした。それほど「レイアウト」の絵の完成度はどれも高く、スタッフの素晴らしさとそれをまとめる宮崎・高畑の意思の力の強さを感じることが出来ました。

今回の展覧会で、宮崎駿と高畑勲の思いの詰まった「レイアウト」の数々を見ることが出来て、もの作りにおける、とても大切なものを、あらためて教えてもらった感じがします。

スタジオジブリ・レイアウト展


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2008年09月21日 15:30

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トラックバック時刻: 2009年08月29日 09:27

コメント

私は今日(日曜日)、MOTに行って来ました。ただし、ジブリのほうではなくずっと観たかった「パラレル・ワールド」のほうだったんですけれど...。でも、ジブリの会場からの熱気は、こちらの展示にまで伝わってくるほどでした。会場の外(=@トイレ)で、お母さんと小学生くらいの女の子が「レイアウト展」のチケットのこと、やはり話していましたよ。どうやら、その2人はまったく予約していなかったので、あきらめつつも『来てみた』らしいのですが「入り口で普通にチケットが買えた」のでラッキーだった...そうです。みんながそのつもりで押し掛けたら困るのでしょうけど、混雑具合によってはなんとかなるのかもしれませんね。

投稿者 kadoorie-ave : 2008年09月21日 20:42

kadoorie-aveさま
ジブリは、美術展というよりもジブリファンが、今まで見た映画のシーンを回顧する感じで見ていましたので、なんとなく美術展という感じではなかったのが、かえって面白かったですよ。
ジブリを楽しみながら、私は併設展示されていた「パラレルワールド」がそうとうに気になっていました。
でも、梯子して見るほど集中力もなし。というか、それほどにジブリの方の密度が高かったのですね。でも、常設展はせっかくだから見てきました。現代美術をまとめてみるのは久しぶりだったので、楽しかったですよ。
ジブリ展は今週いっぱいなので次の日曜日は大変な混雑になるでしょうね。
行かれる方は、その前を狙っていかれたほうがいいでしょう。

投稿者 fuRu : 2008年09月21日 23:05