« yagen_House---寒風に吹かれて | メイン | 良いお年を »

2008年12月29日

ベルイマンを観る

[映画・ドラマ・舞台--movie/play ]

ベルイマンの映画を映画館で観たのは
1985年の「ファニーとアレクサンドル」だけですが、
たしか上映時間が5時間超で一日がかりで観たと思います。
でも、その映画の奥深さに私は完全にノックアウトされてしまいました。
岩波ホールでの上映だったと記憶しています。
それから、レンタルビデオで借りて他の作品もかなり観たと思いますが
何しろ多作な監督ですからその四分の一も観ていないでしょう。
それでも、映像に独特の木の香りというか土の匂いがして
その感覚が好きでした。

昨年の夏になくなってリバイバルがあるかと思いきや実に静かなものですが
日本での劇場未公開の3本が発売されていて、中古で安く手に入ったので購入しました。
年末にベルイマンを観るというのはなかなか良いものです。

ベルイマンの映画を観ていて、やはりすごいなと思いながらも
こういう映画は、今の時代では生まれないなあと思ってしまいました。

映画に流れている時間がまったく現代とそぐわない。
時間が違うのですね。

いけいけどんどん。
30秒で勝負する。
極端な話、そこで勝たなければ存在しないのに等しいのが現代社会。
とすれば、ベルイマンの映画はその対極に存在する。
はるか離れた彼方に存在する。
考古学者が遺跡を覗き込むように我々の目の前に存在する。

遺跡は残念ながら死の世界です。いかなる生命もそこにはありません。
博物館の陳列物にもいかなる生命はやどりません。

ベルイマンの映画は死んだ世界のもの。
死者のもの。

私は死者の世界に魅せられている。

遠く離れた彼岸に、ぽつんと一人でたっている恐ろしいほどの孤独。
その孤独を感じさせるのもベルイマンの映画の力なのでしょう。

ベルイマンの映画はとても孤独な映画。
年末にベルイマンを観るというのはなかなか良いものです。



※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2008年12月29日 22:30

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://af-site.sub.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/1771