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2008年12月22日

yagen_House---外壁下地-求められる性能

[0805---yagen_House ]

土曜日は「yagen_House」にて現場打ち合わせ。
外壁の色など建て主さんとサンプルを見ながら検討。
同時に今回、外壁の下地に使わせていただいた「Moiss」が張り終わったというので確認してきました。

外壁に求められる性能とはどういうものでしょうか?
もちろん、すきま風が入ってきては寒い、しっかりと断熱がされていないのでは寒い。
これは冬ばかりではなくて、夏も外の暑さを断熱性と気密性でシャットアウトします。
断熱性と気密性は外壁に求められるとても重要な性能です。

ここで考えておかなくてはならないのは
外壁の内と外で温度の差があるということです。
そして温度の差があるところには結露が生じるということです。

暖かい空気は湿気を含みやすく、冷たい空気は湿気を含みにくい。
湿気を含んだ暖かい空気が冷たいものに触れるとそこで結露が起こります。
冷えたグラスに水滴がつく、あれです。

外壁は暖かい空気と冷たい空気が隣り合わせになるところですから基本的に結露が発生する。
どこで発生するか。
壁の表面で発生する場合。これは目に見えるので結露がひどければ拭き取れば良い。冬の窓ガラスと同じです。
もうひとつは、壁の内部で発生する場合。これがやっかい。見えませんからね。
でも、湿気を含んだ空気が壁を通過しなければ壁の内部で結露は発生しない。
だから、結露が発生しないように湿気を含んだ空気が壁を通過しないように気密性を高める。
けれども、その気密性は絶対ではない。
湿気はわずかな隙間から壁の中に侵入して温度差のあるところで結露します。
この結露を完全に防ぐことは、ほぼ不可能と考えた方が良い。

とすればどうすれば良いのか?

結露が発生するのは、冬場ならば外部が冷え込み室内を暖房する夜。夏場ならば外部が暑くうだり室内を冷房する日中。その逆、たとえば冬場の日中は実は太陽さえ照っていてくれれば外壁の内外で温度の差は大変少なくなる。夏場だったら夜間、温度差は少なくなる。
この一日の変化をうまく使って壁の中で発生した結露水を逃がしてあげる。これが外壁通気の考え方。

外壁の内部での結露は完全には防げない。でも、しっかりと気密性は高めておく。それでも発生した結露水は、時間差で外部に逃がしてあげる。

壁は呼吸していないといけないのです。

さて、現在、建物の構造用剛性を得る手段として外壁面に構造用合板を張ることが多くなっています。それで、先の外壁内部で結露の発生する場所はこの構造用合板のところになります。
つまり、この構造用合板は結露で湿気て、そして乾いて、また結露で湿気る、これを繰り返すことになります。どう考えても、構造用合板がこのような繰り返しの状況におかれて大丈夫だとはいえません。
ですから、構造用の剛性を構造用合板でとるという考えは大きな問題を抱えていることに、常々頭を悩ませてきました。

外壁面で構造用の剛性をとるための素材は耐湿性に優れていないといけない。
また、壁内の湿気を逃がしてあげる必要がありますから透湿性にも優れていないといけない。

そこで出会ったのが「Moiss」という素材です。
耐湿性、透湿性に優れた素材で構造剛性も優れており
さらには防火性能もある。
はたまた、完全に自然に帰る素材。

来年早々に上棟する「S.H._House」でも外壁の下地に「Moiss」を使う予定です。

その結果が出るのは、10年後でしょうか。
100年後に自然に帰る姿を想像しながら使ってゆきたいと思います。

Moiss


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2008年12月22日 17:45

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