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2009年01月29日

「停電の夜に」---ジュンパ・ラヒリ

[books ]

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「停電の夜に」
著:ジュンパ・ラヒリ 訳:小川 高義  出版:新潮社
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停電の夜に何が起こったのか?
夫婦の絆を問う表題作が印象的な短編集。

別れ話をもちだす。
停電の夜に。
ロウソクの灯りの中
二人の意識は重なるかのように揺らぐ。
読者も一筋の閃光を見たような気がする。
しかし、それは思い過ごしでしかない。

二人の結論は最初から決まっていたのかもしれない。
でも、決まっていたのならばどうして語り合うことが必要なのか。

語り合うこと。

停電の夜のロウソクの灯りのもとで。

夫婦とは決して交わることのない他人でしかない。
他人でしかないから夫婦なのだ。

語り合うこと。

そこに待っている結末は
最初からわかっていたこと?
その喪失感は耐えられなく寂しく悲しい。
涙は流れない。一瞬にして大気となり空に消えてゆく。

決してハートウォーミングなお話ではない大人の童話。
日常に潜む寂しさを描くジュンパ・ラヒリ。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2009年01月29日 17:35

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コメント

文庫本ですが05年に読んでいました。
シラジラ・・って雰囲気を覚えています。

投稿者 いちよう : 2009年01月30日 09:27

いちようさま
二人の関係が白々という感じと
停電の夜の何ともいえない白々とした感じが
とても精緻に描かれていると私も感じました。

投稿者 fuRu : 2009年01月30日 10:23

こんにちは~!偶然にもこの短編を先日、私も読んだばかりです。
停電の夜に少し溝のある夫婦がロウソクの灯りでお互いたわいもない秘密を打ち明ける…
普通はその溝が埋まるという話になりそうなのに、溝は深まるばかりでしたね。
人間味あふれるお話しで一気に読み終えました。
作者のジュンパ・ラヒリさんってすっごく美人なんですよね。それだけで興味そそりますよね。

投稿者 yukiりん : 2009年01月30日 12:12

yukiりん さま
私がこの本を読んだのは
作者が美人だったからです、というのは冗談として
この作者のことなど全く知らなかった私にすすめてくれた人がいたからなんですが
女性が描くこういう世界、なかなか良いなあと思って読みました。
溝が深まるばかりというところ淡々と描いている。
こういう表現、男性には難しいような気がします。

投稿者 fuRu : 2009年01月30日 12:45