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2009年02月23日

「自分でわが家を作る本」---氏家誠悟

[a-家づくりについて---house_making ,books ]

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「自分でわが家を作る本」
著:氏家誠悟 出版:山と渓谷社
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セルフビルドで自宅を建設した氏家誠悟さんが自らの体験をわかりやすく紹介した本。
著者は基礎工事から軸組(木の骨組み)の加工、屋根、外壁、もちろん室内の仕上げ工事を行い、電気配線工事をするために資格も取得しています。
氏家さんを筋金入りのセルフビルダーとよんでも良いでしょう。
でも、筋金入りというと敷居が高い感じがしてしまいますが、家づくりは実はそれほど敷居が高いわけではないというのが本書のメッセージ。
この本を手にして、セルフビルドで家を建てることに希望を抱いたも少なくないはずです。

プロの世界には口を挟むな、というのが日本の社会。
もちろん、口を挟まないから、つまり信用するから、その信用に見合った仕事を、いやいや信用以上の仕事をしてもらうというのが、昔からの頼む側-頼まれる側の関係です。
ただ、この関係は、性善説にもとづいたものでしかない。
世の中には、口先だけの信頼で仕事を請け負い、それに見合った結果を出さないで涼しい顔をしている人もいる。その極端な例が、数年前に社会を騒然とさせた姉歯設計士の耐震偽装です。
そういう輩が出現すると、昔ながらの性善説にもとづいた、作り手と依頼者の関係というのは、正直、難しくなる。疑いだすときりがない。もちろん、依頼者の信頼を得るために大変な努力をしてがんばっている作り手もたくさんいる。その事実と努力は、多くの人に知っていただかないといけない、まじめな家づくりの運動もどんどん広めてゆかなくてはならない。
一方、もっとフェアで、お任せではない家づくりのあり方を模索してゆく必要もある。
そのためのキーワードが「セルフビルド」です。

家づくりにどれだけ住まい手がダイレクトに関われるか。

それは、納得のゆく素材で料理を作ることに似ています。

シックハウスによる被害者が社会問題となる。
それは、建築に使う素材に問題があった。
問題は、住まい手のことを考えずに素材をつくってきた背景だと思います。
そこでつくられた「新建材」と呼ばれる素材の多くは、作業効率を上げるために開発されたと言っても良い。つまり、作り手の利益に直結する機能が「新建材」に求められたという事実。住まい手のことなんて考えていなかった。

だから、住まい手は、消費者は住まいづくりに声を上げた。

ブラックボックスになっていた家づくり、建材のこと。
セルフビルダーは自らの目で確かめることが出来るのです。

同じく料理で例えるならば、自分が食べたいものを食べること。
食べたくもないものを口に押し込まれることのないようにすること。
自分に本当に必要なものを自分で選んで食べるということ。

家づくりで、不要な部屋を押し付けられないようにする。
不要な器具を押し付けられないようにする。

家は必要最小限のシンプルなもので充分なはずです。
それぞれのご家族に必要なものが必要なだけあれば良い。
「セルフビルド」は設計から始まります。
家を考えることが設計です。それは家づくりの原点。
家づくりの原点に住まい手が参加すること。

消費者主導、住まい手主導の家づくり。
その究極のかたちが「セルフビルド」です。

「セルフビルド」について考えることは
家づくりの原点を考えること。

その素材、作り方、なにが家には必要か。

いま、「セルフビルド」をキーワードにして
家づくりの原点を考えることが求められていると思います。

ただ、その観点からいうと
この本は「セルフビルド」の良きガイドブックではありますが、とても残念なことがあります。

素材の選び方です。

外壁がサイディングになり、コーキングまみれになること。
屋根がコロニアルになってしまったこと。
室内ドアが工業製品の既製品になってしまったこと。
フローリングも工業製品の既製品、いわゆる「新建材」になってしまったこと。
断熱材がグラスウールになってしまったこと。

もちろん、それらの素材が選ばれた経緯、理由がちゃんとあるとは思うのですが、せっかく骨組みを国産材の無垢の木でつくりながら・・・と、この本を読みながら感じた方は少なくないのではないでしょうか。

ですから、この本についてひと言うとすれば、素材選びから「セルフビルド」を考え実践してゆく必要があるということ。「セルフビルド」には素材選びのバランスがとっても大切だということ。その点がちゃんと伝えられていない。そこをちゃんと伝えてゆく必要があるのです。

私も参加させていただいている「あたり前の家ネットワーク」では、自宅のセルフビルドを考えておられる方を対象に講座を行うことになりました。すべてをセルフビルドでと考えておられる方から、プロといっしょにつくるハーフビルドという可能性までお話ししてゆきたいと考えています。

正式な第一回の講座は4月15日ですが、その前にプレ講座も企画したいと考えています。
詳細は、このブログで、あらためまして告知させていただきます。

いっしょに、家づくりの原点を考えてみませんか?


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2009年02月23日 11:55

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コメント

fuRuさま

とっても興味があります 早速注文したいと思います。読後またコメント出来ればと...。

講座の方もすごく興味がありますが、物理的に無理なので別なカタチのネット公開講座のようなものにも、期待いたします。

投稿者 go-shiyo : 2009年02月23日 12:51

go-shiyo さま
この記事で意見させていただいた点以外は、とても良い本だと思います。
ぜひ、お読みになって感想などお聞かせください。

投稿者 fuRu : 2009年02月23日 13:05

講座、是非行きたいです!!!

本も読んでみますね。

投稿者 コメイノチ : 2009年02月24日 10:35

コメイノチさま
講座参加 大歓迎ですよ。
ただ、今のところ、平日の夜なんですよね。
どうでしょう?
開催日時については参加希望者の要望も聞かないといけないのではとも思っています。

投稿者 fuRu : 2009年02月24日 10:43

もし可能なら、土日の昼にして頂けると参加できるんですけど・・・

中古を自分で改築、というのもありかなと思っていますが、その勉強にもなりそうですよね。

投稿者 コメイノチ : 2009年02月25日 03:49

まずは、平日の夜で進んでいますが
様子を見て土日開催というのもありだと思います。
少し待っていてくださいね。

中古住宅のセルフリノベーションというのは可能性が大いにありますよね。
私は誰にもできる耐震補強も教えることができます。

投稿者 fuRu : 2009年02月25日 07:45

屋根、壁の作り方、材木の組み立て方など図面を見て作りかたがわかるないようですか

投稿者 高橋国生 : 2009年04月14日 16:43

高橋国生さま
家づくりの知恵は深くて広いものですから、そのすべてを網羅することは誰にも出来ませんが、この本では要領よく家づくりのポイントがまとめられていると思います。
あるセルフビルダーはこの本の情報だけでかなりのものを会得していました。

投稿者 fuRu : 2009年04月14日 16:50

本を見て、ドアを作るときの材料の組み立て方、木材の組み合わせ方が解るのであれば買いたい

投稿者 高橋国生 : 2009年04月14日 16:57

高橋国生さま
残念ながらこの本にはドアの作り方はのっていません。
ドアはすべて既製品を使っています。

投稿者 fuRu : 2009年04月14日 16:58