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2009年11月24日

「小さな家の気づき」---塚本由晴

[a-家づくりについて---house_making ,books ]

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「小さな家の気づき」
著:塚本由晴 発行:王国社
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建築家の塚本由晴氏は発見します。
敷地に対して家を十分に小さくすると得られる自由を。
私はこの本を、その発見のプロセスのドキュメンタリーとして読みました。
そんなのあたり前のこと?
しかし、現在の家づくりは、家を十分に小さくすることが難しくなっています。

家は大きい方が良い。
だから、法律で許される限りあらゆる手を使って大きく大きく作ろうとする。
土地の値段が高価だからそれに見合った大きさの建物を造らないと損をする、etc....

また、建物の配置についても縛られている。南面信仰。猫も杓子も敷地の南側を開けて建物を北側に寄せて大切な部屋を南向きに配置している。南向きが絶対に良いという考えです。でも、そんなことはないのです。夏の日差しは避けた方が良い。南向きの部屋は夏の暑さから逃れられない。夏場の北側の部屋の快適なこと。
南から直接入ってくる強い日差しの魅力もありますが、北側の窓からの回り込んでくる優しい光も魅力的。昔から、あえて北側に庭をとったりしてきた日本人の光に対する感性、さらには、明るいばかりではなく薄暗さの魅力も感じていた感性。

敷地に対して法律で許される目一杯の大きさの建物を北側に寄せて建てる。画一化されてしまった家づくりのそのような考えから自由になること。実は、そうした画一化された考えが日本の街並みから魅力を奪っているのではないかということ。

塚本氏の現在に至る言説をトレースしているわけではありませんので、その後、どのように彼の論理が展開していったのかを私は知りませんが、ここにある発見の大切さは、今こそ重要な意味を持ってきていると感じているのは、私だけではないと思います。

<蛇足>
アトリエワンとの家づくりドキュメントの本も読みました。
大学の研究室で設計活動をしている彼らですが、担当した大学院生の座談会もあって、何も知らずに担当して苦労している様子なども語られていて、面白い。工事担当者の言葉も載っている。
アトリエワンの家づくりの大変さ、面白さがわかる本です。



※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2009年11月24日 10:00

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コメント

この文章、そのまま今度出る本に、使わせてもらおうかな~。

使用許諾をお願いします・・・笑

投稿者 塩地博文 : 2009年11月24日 22:21

塩地博文 さま
「今こそ重要な意味を持ってきていると感じているのは、私だけではないと思います。」
ですよね。

投稿者 fuRu : 2009年11月24日 22:32