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2010年02月22日

「オン・ザ・ロード」---ジャック・ケルアック

[books ]

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「オン・ザ・ロード」
著:ジャック・ケルアック 訳:青山南 出版:河出書房新社
amazon

この本の新訳が出ていることを知ったのは玉井さんのブログでした。
ブログで玉井さんはこの本の素敵な紹介をされていますが、その記事が書かれた2008年の2月11日にすぐさま私はamazoneで注文。しかし、読むきっかけを失い、なんと2年後の2月13日に読み終えたのでした。
読み始めると早い。なんといっても、疾走しています。文章も文体もストーリーも疾走しています。

「旅」と「旅行」は違うという話があります。
「旅行」はスケジュールをたてて、宿泊先や行き先もおおよそ決めて行動します。
一方、「旅」はもっと自由気ままなもの。行った先で現地の人や文化と出会うこと。現地で交流するためには時間が必要です。予定通りにも行かない、偶然の助けも借りる必要があります。また、見ず知らずの土地に身をおくことで自分のことなどいろいろ考えるキッカケをもらえるのも「旅」の魅力でしょう。

この本の主人公たちは動きまわります。アメリカを横断し、縦断し・・・。しかし、彼らの行動には大きな目的地はあったとしても、それはどうでもよかったりします。ようは、移動することこそが彼らの目的なのです。

だから、どちらかというと「旅」になるのですが、現地の人との交流を求めているわけでも、現地の文化に触れたいと思っているわけでもありません。いろいろな経緯で現地の人との交流も描かれていますが、それはやはり副産物。彼らは「移動すること」、それも長い長い距離を移動することを、求めています。スピード、流れてゆく景色、も大切です。

移動し続けること。

本の中でジャズが印象的に登場します。

ジャズは即興演奏が命です。特にバップの時代。ジャズミュージシャンは毎夜毎夜ジャムセッションを繰り広げ、いつ終わるとも知れない演奏に明け暮れていました。

人は生きている証が欲しいと思います。でも、そもそも生きていなかったら、証なんてない。そして、ふと立ち止まった時に、過去を振り返って回想するからこそ、生きている証を確認できる。だから、生きている証が欲しくて、ついつい立ち止まってしまう。立ち止まってばかりだと、生きている時間を失う。

「オン・ザ・ロード」というタイトルは、まさに生きているということです。立ち止まるな、まず生きろ。
私たちが生きていることに対しての真摯なメッセージがこの本には込められていると思います。

<蛇足>
最後の旅でメキシコに行きますが、現地の人の目を見て感動するディーンの姿が印象的でした。

旧訳はこちら。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2010年02月22日 11:10

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コメント

関係ないけど、20年くらい前に青山にサル・パラダイスというクラブがあって良く行っていました。

投稿者 スナフキン : 2010年02月23日 01:06

スナフキンさま
そんなコアな名前のお店って・・・
そうそう、On The Roardの会 っていうのを 一緒に立ち上げませんか!

投稿者 fuRu : 2010年02月23日 01:39

そうそう、On The Roardの会 っていうのを 一緒に立ち上げませんか!
いいですね。協力します。
サル・パラダイスは当時、みんなサルパラと言っていたけど、この小説からきたと知っている人はあんまりいなかったと思います。実施、コアな名前ですよね。

投稿者 スンフキン : 2010年02月25日 02:18

スンフキンさま
「On The Roardの会」は
新たな建築のありかたの会ですね。
やりましょう!

投稿者 fuRu : 2010年02月25日 10:16