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2010年04月09日

Brucknerを聴く

[音楽--music ]

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すでに散り始めておりますが、桜の花が咲き乱れていた頃
私はブルックナーを聴き続けていました。
それがどういうことなのか,さっぱり分かりませんが
少なくともタワーレコードで見つけた
この11枚組みで、なんと1780円(!)の交響曲全集との出会いも
何かの必然で結ばれているのかもしれません。

若き頃からワーグナーに傾倒していたブルックナー先生ですが
1876年に第1回バイロイト音楽祭にでニーベルングの指環の初演を聴くことになります。
その衝撃たるや大変なものだったようで、すでに発表していた今まで作品を全面的に見直して書きなおすことを決意するのです。1824年生まれですから、すでに54歳になっておりました。

ブルックナーの作品にはその後何度かの改訂がなされます。

執拗に、というと表現が悪いかもしれませんが、自分の作品を手直ししてゆく姿勢は、彼の音楽にもそのまま現れているような気がします。

私の超個人的な見解では、スティーブライヒ、テリーライリー、フィリップグラスらなどの、ミニマルミュージックの元祖は、ブルックナー先生です。単純な話で、フレーズの繰り返しが作品の中でとても印象的に現れてくるからです。繰り返すということが表現であることをブルックナー先生は強く意識していたと思います。
しかし、現代音楽のミニマルは、あくまでも高い塀に囲まれてしまった「音楽」という権威を、繰り返されるフレーズのズレによって解放してあげようという運動だったのに対して、ブルックナー先生のミニマルは、うちに内にどんどん閉じこもってゆくような、ヒキコモリ的な求心力によって成り立っています。「音楽」を高い壁で覆い尽くしてしまうような勢いです。その点では、まったく対照的で正反対の音楽とも言えるのです。

ブルックナー先生の音楽を聞いていると厭世的な気分になりますよね、といわれた方がいたのですが、それはブルックナー先生の音楽が「ヒキコモリ音楽」だということでしょう。

桜の花の咲き誇るあふれるばかりの生命力に圧倒されていたときに、その力をそっと受け止めてあげるナイーブな感性がブルックナーの音楽にあったのかもしれません。

amazonでもありましたが,ちょっと高い。



※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2010年04月09日 11:30

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コメント

これは昨年(あまりにも廉価のため)話題となった全集盤ですね。
ところでブルックナーの音楽がミニマルの元祖とは言い得て妙ですね。
確かに反復進行と全休止の連続。然もそれらが巨大管弦楽によって為されることに、わたくしはへこたれてしまうのです。ワーグナーもマーラーも、そしてミニマルも好きなのですが、どうもブルックナーの交響曲は苦手です。(宗教曲のテ・デウムは好きなのですけれど。)
実際、現在手元に残っているディスクも4番と8番の各1組、実演も同じ2曲を一度づつ聴いたのみです。

投稿者 M.Niijima : 2010年04月12日 21:53

M.Niijimaさま
私もブルックナーは、これからしばらくは、あまり聞かなくなると思います。
桜の花が散るように、ブルックナーの時間は過ぎてゆきました。

投稿者 fuRu : 2010年04月13日 01:13