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2010年04月10日

「日本辺境論」---内田樹

[books ]

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「日本辺境論」
著:内田樹 新潮新書
amazon

ベストセラー。新書大賞2010第一位。
しかし、内容はそれほど御手軽なものではなく、かえってどちらかと言えばとても難解な本だと思います。この本が、これほど多くの人に読まれているということが驚きでもあります。
ただ、「終わりに」で著者自身がいうように、この本は「日本辺境論」というよりも「日本属国論」としてあって、日本は古い昔から「属国」としての処世術で成り立ってきた、という、かなり衝撃的な論旨が一貫して流れているため、言葉にならないもやもやを抱えた日本人に、ひとつの明快な言葉を与えてくれる本として、大きな注目を集めていると思います。

内容については、これは読んでいただくしかないのですが、日本で特徴的に発達した武道のありかたに、「属国」としての処世術をポジティブにいかす道があるのではないか、というくだりには、目の覚めるようなところがあります。

内田樹の入門書として手にとられると、放り投げたくなるような手強い書物だと思いますが、その困難さは書かれている内容が、今までの自分の気がつかない生き方の側面を、暴きだすかのように強く照らし出しているからでしょう。

もうひとつ、特筆しておきたいのは文体です。
内田樹さんのブログでよく拝見する軽快な文体はここにはありません。です、ます、調ですし、私という主語のポジションがいつになく微細な立ち位置をとっていると思います。
この文体はどこかで読んだことがある、と思い出したのがこの本です。

韓国人から見た日本文化論。
内田樹さんがこの本を読んでいないはずはありません。
意識してこの本の文体を取り入れているのではと思いました。(私の個人的な憶測ですが)


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2010年04月10日 12:10

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コメント

私も読みました〜。

投稿者 わきた・けんいち : 2010年04月12日 22:35

わきた・けんいちsama
私は今「現代霊性論」を読んでいますよ。
1Q84の発売までに読み終える予定です。

投稿者 fuRu : 2010年04月13日 01:11

現代例霊性論も読みました〜♪

投稿者 わきた・けんいち : 2010年04月13日 01:58

1Q84 発売までに読み終わるぞ〜

ところで
レヴィナス は 読まれましたか?

投稿者 fuRu : 2010年04月13日 10:35

とてもとても…。
死生観に関心があるので、(絶対的)他者というキーワードをもとに読んでみたいですね。

投稿者 わきた・けんいち : 2010年04月13日 11:11

わきた・けんいち さま
内田先生のレヴィナス論 気になりますよね。
私はためしに近所の図書館にあった「ラカン・・・」を借りてきて、ちら読みしています。

投稿者 fuRu : 2010年04月13日 11:22

内田氏のレヴィナス論は読みました。これは、内田さんの読み方ですよね。フランス語を読めるだけの力がないので、翻訳でも、レヴィナスをきちんと読んでみたいとは思っています。

投稿者 わきた・けんいち : 2010年04月15日 14:08

私もちょうど今読んでいるところです。電車の中だけなので、なかなか進みませんが・・・「先人がすでに意見を言いつくしているが」と控え目に(?)始めておいて、次々に切り込んでいくやり方には、溜飲が下がります。

投稿者 Yukiko : 2010年04月15日 23:13

わきたさま
読まれていましたか。
本家は、難しいみたいですね。
内田さんのレヴィナス論は、ちらっと読んでみましたが、ひょっとしてわかりやすいかも、と思いました。
それよりも、まずは「1Q84」を買ってきたので、そちらからです。(^0^)

投稿者 fuRu : 2010年04月16日 15:18

Yukikoさま
「切り込んで」という表現が言い得ていると思いました。
鋭利な刃物というよりも、日本刀でバッサリ、っていう感じです。
此の本を読むと、体中傷だらけになります。(笑)

投稿者 fuRu : 2010年04月16日 15:21