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2010年05月14日

「寝ながら学べる構造主義」---内田樹

[books ]

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「寝ながら学べる構造主義」
著:内田樹 文春新書
amazon

どのくらい前だろう、
自他共に認める売れっ子インテリアデザイナーがTVに登場していて
じゃらじゃらアクセサリー過剰のその男性デザイナーは
お世辞にも印象が良かったとは言いにくいのだけれども
売れるものはどういうものですかという問に
「イケてるかイケテないか、じゃない」
と言っていました。
見た目や言い方はともかく「なるほど」と少しだけ合点した私でした。

やはり、人気があるものには
何かこう「イケてる感」というのがあるものです。
「正しい」とか「間違っている」という基準とはレベルと言うか次元の違う「イケてる・イケてない」。
逆に「イケて」いれば何でもいいのか、という反論もありますが、「イケてる」ものの進撃を食い止めることは、ちょっと難しいから、ここはひとつ「イケてる」ということのポジティブな意味を受け取った方が精神衛生上も良いのではと思ったりします。
まあ、一時的な「イケてる」では当然生き残れないのですけれどもね。

というわけで内田樹は「イケてる」のであります。

この本は、私が現代思想にかぶれていた学生時代に、何書いてあるかわかんないよ、とギブアップしながらも字面だけおっていた本の中に出てきた、いくつかの言葉が、目に張り付いていた鱗がするりと取れるように、ああ、こういう事だったのかと見えてくる、という、実に「イケてる」本なのです。

とくに「エクリチュール」という言葉については、初めてわかった、と膝を打つことになりました。なるほどなるほど。

こんなに、わかりやすい本はなかなかない。こんなにわかりやすくて良いんだろうか。おすすめの本です。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2010年05月14日 10:50

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トラックバック時刻: 2010年05月14日 20:39

コメント

1日遅れましたが、誕生日おめでとうございます!

イケてるとイケてないの境界線、曖昧で難しいですね。
時代や文化によっても変わってしまうし。
私達のイケてるは日々テレビなどの情報に少しずつ洗脳(?)されて作られてるのかしら(^^ゞ

投稿者 あずき : 2010年05月14日 13:29

あずきさま
ありがとうございます。
ところで、私も含めて、社会で生きてゆく以上、誰もがみな洗脳されているといえばいるのだと思います。
でも、人間、100%洗脳されるってこと、ありえないんでしょうね。
だから世界は面白いのだと思います。
おお、こういう話もこの本のテーマでした。笑

投稿者 fuRu : 2010年05月14日 14:48

なるほど!

投稿者 iw-jun : 2010年05月14日 23:47

そうなんです!

投稿者 fuRu : 2010年05月15日 13:20

フルさん、ご無沙汰です。私もこの本を半年ほど前に読んでとても感心しました。

投稿者 komachi : 2010年05月17日 17:04

komachiさま
読んでおられましたか。
良い本ですよね。
komachiさんほどの編集の達人が感心するのもよくわかります。

投稿者 fuRu : 2010年05月17日 17:06

当方はものぐさが高じてBLOGも開店休業状態ですが、この本を読んだときはちょっと感激して書こうかと思いました。結局書いていませんが、フルさんがエントリーしているので、我が意を得たりです。タツル氏のベストセラー日本辺境論より私にはこの本の方が面白かったです。とにかく文章がうまいですね。マルクス、ニーチェ、フロイトからソシュール、そしてレビーストロース、フコー、デリダまで自意識を超える旅を目から鱗が落ちるように語ってくれます。最近、亡くなった井上ひさしさんの座右の言葉が「むずかしいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを面白く」だそうですが、このように語れる人は希有だと思います。内田樹さんもその一人ですね。

投稿者 komachi : 2010年05月18日 09:20

komachi さま
わたしも「日本辺境論」よりこちらの方が面白いと思いました。おっしゃっておられるようにわかりやすい。
でも、「日本辺境論」はあの語り口(エクリチュール)が戦略的に仕組まれていて、その巧妙さに脱帽しました。どちらにしても、文章のうまい人ですね。

投稿者 fuRu : 2010年05月18日 10:44