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2010年10月27日

VOYAGE---Stan Getz

[ジャズ--jazz ]

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VOYAGE---Stan Getz
1986年録音
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あのいまわしかった熱い暑い夏もようやく終わり、秋と初冬がせめぎあうようにやってきたような肌寒い日。と思っていたら北海道では雪が振り関東地方は凍えるような寒さ。そんな時、ふと、晩年のゲッツが、無性に聴きたくなりました。

スタン・ゲッツはプレスティッジに残した「カルテット」など1950年代の華やかな姿も良いし、60年代になってボサノバやっているのも良いのですが、実は晩年の演奏もよろしい。それぞれの時代でそれぞれの顔があるのですが、あのゲッツ独特のトーンはいつの時代にも健在なり。音やフレーズを聞いただけで「おや、ゲッツじゃないの」とすぐわかる。

ジャズを聞く裏の楽しみは、ブラインドテストよろしく、ふと流れてきた演奏を聞いて奏者を当てること。当てやすい個性的な人は、やはり人気がある。唯一無二。
その個性が醸しだす空気を美味しくいただくのがジャズなのかもしれません。
だから、今日はコルトレーンだなとか、その日に合わせて聞きたい奏者が決まってくるというのもジャズならではかもしれません。
というわけで、この頃はスタン・ゲッツ。
まあ、少し前にはコルトレーンばかり聞いていたりするわけで、節操がない。
でも、そういう節操のない聴き方というのは、実に今風、と自己弁護。
その裏返しとして、ひとつの個性を押し通すような奏者は、同時代人としては求められていないのかもと、思ったりします。
菊地成孔が人気なのも、たぶんその辺のことが関係しているのではないでしょうか。

そういう意味では、私たちの時代は、膨大な過去のアーカイブを、聞く者が自由に編集・取捨選択して個性的なアーカイブを培うことが個人の存在証明になっている時代なのでしょう。

もう、スタン・ゲッツのような人は現れないのでしょうね、きっと。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2010年10月27日 10:35

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