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2010年12月02日

「経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか」---C.ダグラス・ラミス

[books ]

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「経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか」
著:C.ダグラス・ラミス 平凡社ライブラリー
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なんだか難しそうなタイトルですが、内容はいたって平易で、特に本書の前半は面白かったです。あまりにも面白く、誰が書いているのかも確認しないで読み進めていって、読み終わる頃に、作者がアメリカ人であることを知ってびっくり。そう思って読み返すと、こういう本は日本人には書けない本かもしれません。

経済学の本かというとそれだけではなくて憲法9条についての鋭い分析があります。

経済については、トルーマン大統領が開発の進んでいない国々に手を差し伸べて発展させるという政策を打ち出した、という話から「発展」という言葉の持つ意味を掘り下げることで、アメリカの政策が、しいては経済先進国が何を目的としていたのかを分析しています。

そのなかで、「経済発展」と「自給自足」が対比されて書かれています。
経済発展主義が歴史を豊かでもあるが問題を多く抱えてしまった現代社会に導いたのです。
著者は、経済発展主義は必然でもなんでもない、特定の要求で推し進められたもので、それが常識であるとするならば、現代の常識とは現代の常識でしかない、と言います。

経済発展の名のもとに地球の資源を使い尽くそうとしている人類。
著者は、その姿を沈没するタイタニックにたとえています。
沈没するのを知っていながら誰も止めることができない。
考えてみると怖い話です。
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というジョークがありましたが、横断歩道ならば車も止まってくれますが、真冬の海に飛び込めば全員凍死してしまいますね。

豊かさとはなにか、どういうことか?経済発展は豊かさの一つかもしれませんが、その問題点もある。では、どうしたらいいのか?

「自給自足」が対比されているのは言い得ているなあと、私は膝をたたきながら読んでいました。

ここには、私が考えている家づくり、参加するハーフビルドの家づくりに通底している考え方があると感じました。

これについては、改めて書いてみたいと思います。

みなさんにもおすすめの一冊です。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2010年12月02日 10:35

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