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2011年09月08日

住宅医スクール東京 第四回目

[a-家づくりについて---house_making ]

昨日は「住宅医スクール東京」の第四回目。
第三回目に引き続き耐震改修のお話です。

<第一講義 構造的不具合の原因と対策-3 講師:鈴木竜子さん>
山辺さんの事務所でご活躍しておられる、鈴木竜子さんのお話です。
今回の東北を襲った地震は周期が1秒に満たなかった。木造に被害が出るのは周期が1秒前後で阪神淡路の地震の周期は1秒だった。そのために、東北では地震の被害は大きくならなかったとのこと。
そして、きたるべき地震に対応するためには地震で起こるうる被害について良く知ることが大切だということで、阪神淡路・中越地震での被害を写真でみながら解説。中越地震で崩壊した酒蔵が屋根面の水平剛性が足りないことが原因だったことなど。
また、そもそも、耐震診断は大規模の地震が起きたときのことだけを考えたものであり、新築の場合の構造設計が中規模地震の時のことも考慮するので、考え方が大きく違うということです。
耐震改修としては接合部にかかる引張力で、接合部が外れてしまうことが一番怖い。そのため接合部の補強は大変重要だということです。
あと、柱の根継ぎをしているところでは筋交いによる補強を避けて構造用面材を使うべきだとか、実用的なおはなしも数々あって、大変有意義な講義でした。

<第二講義 既存住宅改修の実践-1 講師:豊田保之さん>
京都で活躍されている建築家の方で、今回の講義はもっぱら実践にそくしたものとなっていました。
伝統木造住宅の実例では、延べ床面積で100坪の大きな古民家を二世帯住宅に改修する工事で行われた耐震補強について。事前の詳細な調査では、24人日の作業量がかかったとのこと。0.24人日/坪です。その多くが学生のボランティアだったために、専門的な知識を持った経験者が集まれば労働時間はもっと短縮できるということです。それにしても、調査にかける時間がすごいですね。
現代木造住宅の実例では、延べ床面積35坪の一般的な在来工法の住宅で築年数も30年です。詳細調査委にかかった労働時間は16人日。伝統木造に比べて規模が小さいので時間はその分減っていますが0.46人日/坪と規模による割合からみると2倍弱です。逆に一般的には35坪程度の物件が多いでしょうから、この規模での調査にかかる時間を基準にして考えたほうがいいでしょう。
質疑でも、この点が取り上げられていました。

<第三講義 既存住宅改修の実践-2 講師:鈴木竜子さん、佐藤孝浩さん、豊田保之さん>
第三講義は趣向を変えて、豊田さんが構造設計者のお二人に、耐震改修に当たっての実践的質問コーナー。佐藤さんは第二回でも講義をされていた桜設計集団で構造設計をやっておられるかたです。
実はこの第三講義が一番面白かった。日頃、耐震改修についてどう判断したらいいのかと悩んでいた事柄が数多く出てきていて、そのひとつひとつが興味深いものばかり。その質問に対する専門家の回答も大変面白かったです。

というわけで、次回10月の第四回目は、温熱改修についてです。こちらもとっても楽しみです。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2011年09月08日 12:10

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