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2012年02月25日

「小屋と倉」---安藤邦廣

[books ]

2月18日の土曜日(2012年)、学士会館で行われた、安藤邦廣先生の建築学会賞受賞を祝う会に末席ではありますが参加させていただき、先生の受賞をお祝いさせていただきました。

安藤先生の恩氏である内田祥哉先生を始め建築界のビッグネームが集まる盛大な集まりでした。私は武蔵野美術大学の建築学科を卒業したあと筑波大学の大学院に進学。そこで安藤先生と出会うことになります。今から25年も前のことです。

もともと、民俗学や文化人類学に興味があった私は安藤先生に誘われ民家の調査に出かけるようになりました。今回の学会賞の授賞対象は、ちょうどその頃から先生が始められた民家の壁について構法の点からまとめられた一連の著述に対してということでその成果は「小屋と倉」という一冊の本にまとめられています。

その本のなかに「八溝山地のせいろう倉」というのがあります。巻末に調査年が書かれていて最初の年が1985年とでています。まさに、1985年頃とは、私が安藤先生に同行して北茨木へせいろう倉の現地確認を行った時なんですね。その時は予備調査という感じでしたので正式な調査協力をしたというわけではないのですがそれでも、本で紹介されている倉を見てとても懐かしくなったのでした。

安藤先生がパーティの中でご自分の現在にいたるまでのお話をされたのですが、八丈島の台風被害の調査に行ったことが原点であったということを言っておられました。八丈島の被害にあった民家の被害の状況を調査している時に、村人が集まってきて、みんなで 一軒づつ茅葺の屋根を葺き直していったのだそうです。その村中総出で力を合わせて作っている様子を見て、民家のそれも茅葺屋根に興味を持ち茅葺屋根の研究に進まれたとのこと。その後、興味は屋根から壁に移り、板倉などの民家の壁の研究に進まれます。

八溝山地のせいろう倉はその研究のほぼスタート地点だったというわけです。私は、そんな転機に安藤先生に出会い、民家を教えてもらったわけです。

安藤先生からはなんども民家調査のお誘いを受けて同行させていただきましたが、そのなかでも、気仙沼での調査が未だに忘れられません。
気仙大工というのは独自の世界を作った興味深い大工さんたちなのですが、その大工さんが昔ながらにやっている上棟の様子を記録するのがその時の調査の目的でした。私はビデオカメラを担ぎ上棟の様子を映像に収める役割。とったビデオは編集して、後日大工さんたちにお渡ししました。

気仙沼というと震災で大きく被害を受けたところ。その時の大工さんたちはどうしたのか、気になっていたのですが安藤先生にお聞きしたら無事だったとのこと。

本当によかったです。(アトリエフルカワ通信 Vol.443 より一部修正のうえ転載。)


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2012年02月25日 11:01

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