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2014年02月13日

吉野の森と杉

[c-森林をいかす家づくり--moriiki ]

先週になりますが(2014年2月7日)京都・奈良に行く機会がありましたので、少し足を伸ばして吉野の林業と製材所を見学してきました。

吉野と言えば吉野杉。木材に詳しくない方でも名前だけは聞いたことがあるだろう杉のブランドです。

吉野杉は手塩にかけて一本一本の杉を真っ直ぐに節がないように育て上げます。
今回は70年生の森と300年生の森を見せていただきました。
写真は300年生の森。

こんな感じです。
https://theta360.com/s/7g8

美しい森です。
正確に言うと300年足らずなんだそうですが、その美しい姿に深く感動して帰ってきました。

森を案内してくださったのは桜井で製材業を営む泉谷さん。
泉谷さんは製材業を営みながら
子供たちや学生を森に引率する学習会を毎月のように企画運営されています。
木を愛してもらうには森を知ってもらうことが大切だと
地道な活動をして地域の人にも親しまれているのは泉谷さんの人徳でしょう。

70年生の森は手入れが細かにされていて大変素性の良建築用材が持続的にとれるそうです。
経済的にも十分運営が出来る森です。
素晴らしい財産です。

戦後、日本中で雑木林を伐採して杉の苗を植えました。
戦後の拡大造林と呼ばれる植林事業で日本中に杉の林が出現したのです。
しかし、林業は過酷な労働であり、木材の輸入の自由化があって材木の値段が下がったために
林業従事者は激減し、植林された森は放置林となり手入れされることなく今にいたっているところが
日本各地にあります。
いや、ほとんどの日本の植林地は見も無残な荒れ果てた姿になっているというのが現状でしょう。
もし、放置せずに手入れを続けていたら
材木の価値も上がり、経済的にも運営可能な森となっていたはずなのです。
放置された植林地の木は材木としての価値を失い、どう使ったらいいのか あちこちで議論されています。

ところが、吉野の森は放置林が生まれた空白の時間を乗り越えて
しっかりと手入れが施されて、優良な材木を産出し続けているのです。

奥多摩、埼玉、山武、長野、静岡、宮崎、高知などなど
数々の木材の産地を訪問しましたが、どこでも山は負の遺産として肩に重くのしかかっていました。
吉野のような経済的に自立できている森はじつに少ないのです。
しかし少ないながらも、いまもなおちゃんと自立している林業があったことに大きな刺激をいただいて帰ってきたのです。 


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2014年02月13日 17:39