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2004年08月17日

next,and...--そして設計が始まる

[00-家づくりについて---house_making ]

設計の相談のはじめは
何回か会ってお話をすること。
書いてもらった「設計ノート」を開くと
面談でのインタビューではでてこなかったような話もでてきます。
さまざまなご家族、さまざまな家。
さまざまなアプローチ、さまざまな価値観。

10人10色です。

そして、そのご家族の生活の様子が少しずつ僕の中にイメージされてゆきます。
その段階になって、初めて家の「かたち」を描き始めます。

その時、僕の目の前には敷地の測量図があります。
現地を見て、周辺の様子を調査して
役所の問い合わせて、法的な規制を調べておくこと。
敷地の写真は出来るだけたくさん撮ります。
そして、いただいた「設計ノート」をながめながら
そのご家族の、それぞれの距離や動き、行動、表情を思い浮かべます。
それが、そのご家族のもっている空気というかイメージです。

この敷地は道路からこういうふうにアプローチして
玄関はこんな感じで、
この敷地では2階に居間をもってくるほうが良さそうで
家族の集まるのは居間というよりも食堂みたいだから
食堂はちょっと広めで、のんびりくつろぐ居間ともほど良い距離をもってつながっていて
そこからさらに、居間につながってこれだけの広さのルーフデッキがあって・・・・。

僕の中で、ぱっと広がるその家のイメージ。
ふんわりと柔らかいそのイメージが湧いてきたら
ちょっと遠くから眺めて、構造的にはここに壁が欲しくて
柱はここの柱が大切で、配水管はここを通して、電気の配線はこんな具合で・・・・、
という具合に、一気に現実的な世界に投げ込んでみます。

そこからまた、「設計ノーと」を読み返し
ご家族のもつ空気をイメージして
もう一度、家のイメージを膨らまして・・・・。

何度も何度も描き直して、一枚のプランが出来上がります。
これは書いていただいた「設計ノート」の
僕からのお返事です。

その一枚のプラン。
そこから依頼者との具体的なかたちについてのキャッチボールが始まります。
設計の始まりです。

さて、僕らは設計を仕事としてやっています。
設計という仕事に対して報酬を得ています。

僕は、依頼者の生活がイメージ出来ない状態ではプランをつくりません。
これは、誰のためのプランなのか、ということなのですが
住宅はそこに住まう人のためにつくられるものです。
そこに住まう人のことがわからないで、プランは作れません。
住まう人のことは少なくとも三回くらいはあってお話してみないと
正直いって、よくわからないというのが僕の本音です。
そのご家族のことがわからないで
プランを組み立てるための最初のイメージの種を得ることは難しいでしょう。
というわけで、初対面の方にプランを作ってもらえませんかと言われても
僕はお断りしています。
一方で、三回くらいあってお話しすることは無料で行っています。
まずは、会ってお話しましょう。
何度かお話して、ちょっとピンと来なかった、そんな時は
お断りしていただいて結構です。
そのくらい、楽な感じで考えていただければと思っています。

さて、何回か会ってもらって、なんとなく僕のことをわかっていただいたら
設計を依頼していただくかどうか判断していただいています。
そして、「それではお願いします」というところから
設計という仕事は始まります。

先ほど、書きましたイメージを膨らませて最初のかたちをつくり始めるのです。
最初のかたちは最初のかたちでしかありません。
そのかたちが、ぴったりはまってそのまますすめる場合もあります。
いやいや違う、といって最初からやり直すこともあります。
あるいは、奥様はO.K.だったんだけれども、ご主人が「ちょっと・・」と言われることもあります。
住宅の設計ではそこで一緒に住まうご家族のコンセンサスをとることがとても大切です。
そして、住まう人の希望が、全部出し尽くされるまでプランは変更されてゆきます。
これが、住宅設計です。

苦しくもあり、楽しいプロセス。

ぜひ、ご一緒に、良い家づくりをすすめてゆきたいですね。

first time--初回面談のとき
second step--設計ノート

投稿者 yasushi_furukawa : 2004年08月17日 18:12

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