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2005年01月17日

Berg: Violin Concerto / Perlman, Ozawa

[音楽--music ]

Berg: Violin Concerto / Perlman, Ozawa
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Alban Bergは1885年(120年前!)2月9日生まれの作曲家。
Arnold Schoenbergの弟子で
師匠のSchoenberg、Anton Webernとともに新ウィーン楽派のメンバー。
このヴァイオリン協奏曲は実に美しいなあと思う曲です。

Schoenberg(シェーンベルグ)については「十二音技法」で知られています。
水野氏、松平氏および飯田氏による「新ウィーン楽派」のサイトの
シェーンベルグのページによりますと、シェーンベルグの時代、すでに音楽の「調性」は崩壊しており、そうした混乱の局面に対して憂慮したシェーンベルグが整理してまとめた作曲技法が「十二音技法」だったとのこと。
しかし、「十二音技法」で作曲された新ウィーン学派の音楽に、表現としての力は感じても、それが純粋に音楽として楽しめるものかというと、それはちょっと難しいかもしれません。
そんななかで、このベルグのヴァイオリン協奏曲は、かなり異質な美しさを誇った作品になっていると思います。

ベルグの人生は、女中に子供を産ませて田舎の両親にあずけていたり、熱烈な恋愛のもと、両親に猛反対されながら結婚したヘレーネがいながら、ハンナという女性と不倫に落ちたり、とかく週刊誌ネタになりそうな話題が多いのですが、そんなこと、この曲の美しさの前では何の意味もないでしょう。

この美しさは「No Music No Inspiration」のiidaさんが書いておられる(ベルクのバイオリン協奏曲)ように
純粋なレクイエムとしての美しさなんだと思います。

ちなみに、マーラー亡きあと未亡人だったアルマを迎え入れたのが
バウハウスを創設したことで有名な建築家グロピウス。
そのグロピウスとアルマとの間に出来た子供がマノン・グロピウス。
しかし、マノンは幼くしてこの世を去ります。
ベルグはこのヴァイオリン協奏曲を「ある天使の思い出に」としてマノンに捧げたのでした。

僕は、今日、被災10年をむかえた方々のことを思いこの曲を聴いています。

<蛇足>
同曲の録音としてはクレーメルがコリン・デイヴィスと組んだもの(→amazon)が有名です。
クレーメルの演奏は凄い演奏ですが、かなり厳しい演奏で、けっこう重いので個人的にはあまり好きになれません。
追悼ということで心安らかに聴くという意味で、こちらの演奏でエントリーしました。

投稿者 yasushi_furukawa : 2005年01月17日 00:30

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コメント

バイオリンで一番最初に勧められたのが、パールマンの協奏曲(モーツァルト)でした。同じ”トルコ風”をアーノンクールとクレーメルで聞かされて、最初は色の濃さに腰が引けましたが、
だんだんにパールマンを聞かなくなってしまいました。事務所を縮小して機械をばらしてからはどちらともご無沙汰です。

投稿者 kawa : 2005年01月17日 12:39

kawaさん こんにちは
クレーメルとパールマンは素人の僕が聴いても音色といい演奏といい対照的です。で、なんでもパールマンが良いと思っているわけでもなくて、パールマンのモーツアルト、って言われると僕の方が腰が引けてしまいます。
ベルグのヴァイオリン協奏曲は、曲が甘美さを秘めながら、甘ったるくないので、パールマンもうまく響いているのではないかと思っています。
ちなみに、クレーメルの演奏を久しぶりに聴いてみましたが、以前に感じたように冷たい機械のような印象を受けませんでした。聴く方も日々変わってゆくと言うことでしょうか。

投稿者 fuRu : 2005年01月17日 20:47

TBとコメント感謝です。じつはこの曲、何か大変淫靡なものを感じるのですが思い過ごしでしょうか?。マノンのエピソードはよく知られているのですが、なんとなくそれだけとは思えない気がするのですが。

投稿者 yurikamome122 : 2005年12月15日 15:13

yurikamomeさん コメントありがとうございます。
「大変淫靡なもの」
確かに、何か、大脳奥の「淫靡な」ものを司っている部分が刺激される感覚がありますね。
怪しいフェロモンの香りする音楽。
興味深いですね。

投稿者 fuRu : 2005年12月16日 09:39

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