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2006年02月23日
「夢十夜」---夏目漱石
[books ]
「夢十夜」
著:夏目漱石 岩波文庫、新潮文庫、角川文庫
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ついに明治の木にはとうてい仁王は埋っていないものだと悟った。
と、終わる、第六夜が好きだ。
10話とも珠玉の逸品なんだけれども、
高校生の時に読んで、それ以来、この短編集に心惹かれているのは
この第六夜があったからだと思う。
明治の代に運慶が門前で仁王を刻んでいるのを見物にゆく。
同じく大勢の人が詰めかけている。
その彫り方たるや見事なものだ。
よくああ無造作に鑿を使って、思うような眉や鼻ができるものだな
そんな独り言を聞きつけた男が言う
なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋っているのを、鑿と槌の力で掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出すようなものだからけっして間違うはずはない
なるほどと思い
家に帰り、適当な木を掘ってみるのだが
そこから仁王は現れなかった。
ものが生まれる「その時代」というものが
ついに明治の木にはとうてい仁王は埋っていないものだと悟った。
という一言に描かれていると思った。
というわけで、平成の木のなかにはどんな仁王が、いやいや、すまいが埋まっているのだろうか?
<蛇足>
どうやら映画化されるらしい。
○弐代目・青い日記帳「ユメ十夜」
投稿者 yasushi_furukawa : 2006年02月23日 09:40
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» ユメ十夜 from 弐代目・青い日記帳
コメ十夜ではないですよ。「ユメ十夜」です。
また漱石です。今日も。
「夢十夜;草枕」夏目 漱石
第一夜
こんな夢を見た。
腕組をして枕... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2006年02月23日 21:32
コメント
タイトルも気に入りました☆
私はまだ読書は若葉マーク。
何を読もうかと悩むことも多いので
とても参考になります!
『眉や鼻が木の中に埋っているのを、鑿と槌の力で掘り出すまでだ。』
思わず木を掘ってしまう気持ち、わかります!
映画化もされるんですね。
この本を読んでみたいと思いました。
投稿者 ヘルミーネ☆ : 2006年02月23日 12:04
ヘルミーネ☆さん こんにちは
とても素敵な本ですよ。
なんと言っても、著作権が切れてますので
青空文庫で、ただで読めるのがすばらしい。
短編、というよりもショートショートが10個つまっています。
すぐに読めると思います。
投稿者 fuRu : 2006年02月23日 12:27
こんばんは。
「夢十夜」のままで映画化して欲しかったですね。
「ユメ十夜」だと随分受ける印象違ってきます。
名は体を表す。ですからね。
それでも楽しみでワクワクしてます!
投稿者 Tak : 2006年02月23日 21:33
Takさんの記事で
この小説の映画化を知りました。
ブログは情報網ですね。
タイトルのカタカナはちょっと気になりますね。
独自のアレンジがされている・・・ような、そんなことでしょうか。
でも、期待度は高いですね。
投稿者 fuRu : 2006年02月24日 08:15