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2004年05月24日

新選組!

[映画・ドラマ・舞台--movie/play ]

NHKの今年の大河ドラマを欠かさず見ている。
大河ドラマを欠かさず観るのは初めてかもしれない。
三谷幸喜の脚本が気になったのがスタート。古畑任三郎シリーズなど三谷さんの書くドラマは、なんともいえないペーソスがあって好きである。ところが、今回は、いろいろ考えさせられる新選組という切り口が面白くてはまっている。

「幕末の会津藩」--星亮一、「戊辰戦争」--佐々木克(どちらも中公新書)を続けて読んだ。
新選組の時代背景を知りたいと思ったからだ。

おもえば、新選組について、僕は何も知らなかった。
近藤勇、土方歳三、沖田総司・・・名前はよく知っているが、新選組がなんだったのか全く知らないまま今まで過ごしてきた。お恥ずかしながら。
それで、何冊か新選組の解説本のようなものを手に取ると、幕末から明治維新にかけての時代の大転換という背景が浮かび上がってくる。土方にいたっては榎本政権について函館に新国家をうちたてようという動きに参加した、というのはかなりの驚き。

今回のイラク戦争について、封建国家から近代国家への移行のための戦争であると言っていた人がいるが、その真偽はともかくとして、この日本にもそういう時代の転換期があったわけで、その時代を生きたのが新選組なのだ。
とくれば、新選組という切り口で「封建国家」と「近代国家」を論じることも出来そうだ。でもいまはまだ撲の中で問題が整理されていない。そういう大テーマはまたの機会にエントリーしたい。

そこで重要なキーワードは尊王だと思う。日本という国は、この尊王ということばが象徴するような二重国家で、それは今でも続いている。新選組は、徳川幕府が天皇を重んじるから自らの立場を「尊王」とした。徳川についているのか、天皇家についているのか。

尊王というのは庶民の文化にもしっかりと根付いている。
浄瑠璃、あるいは歌舞伎の「熊谷陣屋」では、天皇家の血筋を引く子供を助けるために、自分の子供の首を切り落として、それを身代わりにする熊谷直実の心中が描かれる。そんな芝居が何百年も、そして今でも人の心をとらえている。うーん、尊王というのは根が深い。

先に挙げた本でも、ベースとなっているのは尊王。みなそれぞれが尊王というキーワードを持ってその時代に参加している。もちろん、天皇をたてておけば口出しするものはいないと、天皇家を切り札に使うという策略もある。これは南北朝の時代から変わらない。でも、その手口が何百年もの間、ずっと有効だったと言うことが尊王の根の深さを裏付けている。

時代は尊王を盾にめぐりにめぐる。幕藩体制が脆弱化し、そこに薩摩、長州藩が徳川に斬りかかる。そして徳川幕府の自滅(慶喜の逃亡)。ところが、この流れの中で反尊王を名のる一派が主導権を握ったと言うことがない。王政復古のクーデターとは言っても、それってクーデターじゃあないよね、と、市民の革命の欧州の国の人々は思うのじゃあないかって、ね。

そんななかでも、まじめに徳川方についた新選組、というよりも徳川方についた会津藩、そしてその会津藩おあずかりになった新選組は、自らの存在意味をどこに求めていたのだろう?
三谷-新選組がどういう切り口でそのあたりを語るのか、今から楽しみである。

ドラマの方は、史実と異なる部分も少なくないようで、なんだか不思議な雰囲気を見せ始めている。
今日の放送でも、桂小五郎と芹沢鴨のやりとりは見応えがあった。三谷さんの筆もさえている。
来週はどうなることか。相撲とりとのいざこざがとりあげられるようだが、はたして。


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投稿者 furukawa_yasushi : 2004年05月24日 00:36