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2004年07月19日

「世田谷のアウトレット住宅」

[a-家づくりについて---house_making ,報道・TV--topics ]

世田谷区のS_Houseが、本日、テレビ東京の「快適!住まいるナビ」で紹介された。
テーマは「アウトレット住宅」と「施主直営」。

ところで、「アウトレット住宅」ってなんだろう?

ようするに、工務店さんやハウスビルダーなどが
間違って発注したりしてメーカーに返品が効かなくなった商品を
まとめて引き受けてくれるお店(建材市場)があって
そのお店はそうした商品を格安で一般の人に売っているのです。
「アウトレット住宅」というのは
そこで見つけてきた格安品を使って家をつくったということです。

当然、設計者の意図とは関係なしに
格安品がそこにあるわけで
だから、欲しいもの、設計上必要だと思うもので設計をするのではなくて
そこで手に入るもので設計をするという具合になります。
具体的には
都心の狭小地なので
隣地からのプライバシーを確保したいと思い
そのために窓なども水平に細長い窓にしたいと思っていたのですが
そういう窓は数がそろいませんでした。
そこで必要な数がそろう上げ下げ窓に設計を変更しました。

ジャズのアドリブみたいな感じで
家づくりが進んでゆきました。
これはまあ楽しくて良い経験になったわけです。

そういうアドリブが可能だったのは
「直営式」にしていたためです。
これが工務店などへの「請け負い」でつくっていたら
こういう楽しいことは実現出来なかったでしょう。

「施主直営式」というのは
建て主が自ら家づくりに関わるそれぞれの職人さんに
工事の発注をして家づくりをすすめる方式。
たしかに、工務店の利益分がなくなるので
全体的なコストは下がりますがリスクは反比例して増えてゆきます。
「直営式」をやりとげるには
それなりの覚悟が必要。それは心得ていてください。

まあ、世の中にはそういう家のつくり方があるということ。
その可能性について、みなさんに少しでも知ってもらえたら良いなあと思っています。

ただ、一方で
値段が羅列される演出には閉口してしまいました。
あれでは「建材市場」の宣伝に終始してしまった印象もあって
そのへんはとても残念。

それから、コメンテーターの国広ジョージさん(建築家)が
「施主直営式(番組では施主直営制と間違えていた)」について
工務店がいらなくなる、なんて発言をしていたのも、どうかとおもいます。
工務店さんは各職種の職人さんをとりまとめているわけで
それはとっても重要な仕事です。
そういう大切な仕事をしている工務店がいらない、
なんて簡単にいって欲しくないですね。
日本全国には良い家を造ることにまじめに情熱を傾けている工務店さんが
少なからずいます。
そうした家の作り手を探し出すのも僕らの仕事です。

ともかく、「施主直営式」ということが成功するかどうかは
各職人さんと建て主さんとのコミュニケーションが
いかにうまくできるかどうかにかかっているわけで
お互いの信頼関係が築けなかったら、良い家が出来るはずもないのです。
そこのところがとても重要です。
取材の時には、そういう点でもS_Houseは成功していると言うことを
テレビのディレクターに伝えたのですが
そこのところがすっかり抜け落ちていましたね。
とっても、残念です。

「施主直営式」については別のエントリー
「施主直営」と「family」
を参照してください。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2004年07月19日 23:33

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コメント

見ました。
いかにもテレビ的に情報を料理し消費していっているだけでしたね。
古川さんがおっしゃる通りですが、たくさん紹介された中で、あたりまえだけど、一番まともな世界を感じましたよ。

投稿者 AKi : 2004年07月20日 07:19

AKIさん。
そう言ってもらえると、何だか少し救われますね。
ありがとうございます。

投稿者 古川泰司 : 2004年07月20日 10:04

出張中だったので、放送の録画を本日職場で見ることが出来ました。いやはや…「K市場のCM」と化していましたね…。演出を選べないテレビの問題点・本当の意味で我が家が苦労して(悔いなく)汗したことがバッサリ抜け落ちていました。「ヤッパリ…」というのが正直な感想です。古川さんと同じ想いです。この頃の各種の報道にも思いますが、テレビというメディアは偏向をウリにすることによっているのかなあ…と。現場で汗して収録をしたりしている人もいる中でのあの取り上げ方は、どうにも納得のいかない気持ちだけが残りました。

投稿者 H.Suzuki. : 2004年07月23日 19:02

2004.08.28.
このエントリーを全面的に書き直しました。

投稿者 古川泰司 : 2004年08月28日 16:43