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2005年02月10日

Live at the Fillmore East --Miles Davis

[ジャズ--jazz ,音楽--music ]

Live at the Fillmore East --Miles Davis
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ロックの殿堂、フィルモアイーストでの1970年6月のマイルスグループのライブ。
チック・コリアにキース・ジャレット、ベースがデイヴ・ホランド、ドラムスがジャック・デジョネット。
メンバーも凄いが演奏はもっと凄い。

1969年の「ビッチェズブリュ」が偉大なるブラックミュージックを称える呪文のような演奏だったが、こちらは、超過激なエレクトリックファンク。火を吹くようなマイルスのトランペット。
1970年当時、そのあまりの過激さからだろうか、4日間のライブを曜日ごとにまとめて編集。編集したのは、あやしいおじさんであるテオ・マセロ。マイルスをそれほど過激な道に走らせたのがジミ・ヘンドリックスといわれているがその真偽は定かでない。
ちなみにジミは1969年の大晦日から1970年の元旦にかけて年越しライブをこのフィルモアイーストで行っていて、こちらも最近完全版CD2枚組みで発売されたが、これを聴くとジミのエネルギーの凄まじさに圧倒される。そのエネルギーはおそらくジミ一人によってもたらされているからだ。そんなライブをマイルスが耳にして触発されたとしてもおかしくない。


Live at the Fillmore East
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さて

ジャズは即興演奏が命。ライブが命。だからライブ録音のジャズには生命の息吹がある。
となると、このレコードみたいに演奏を切り刻んで編集するなんてもってのほかだ、ととなえる人がいてもおかしくない。編集されたものなんて不純だ、といわけだ。そうなってくると、編集されていない元の演奏を聴いてみたくなる。
そんなあなたに、というわけでもないが、このライブの3ヶ月前、場所も同じ、メンバーもほぼ同じという無編集のライブ録音が、わりと最近発売された。

miles-fillmore_march_1970.jpg

Live at the Fillmore East, March 7, 1970: It's About That Time
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過激さは同じ。しかし、編集されていない分だけ、こちらの過激さの方が生々しく迫ってくる。
そして、ここで聴かれる演奏の素晴らしさに余計な言葉は不要だ。

マイルスグループが凄かったというひと言につきるのだが、その凄さは、あやしいおじさんの編集で切り刻まれても、その本質は何も変わらないということを、この無編集のライブは証明してくれている。

凄いもの、メッセージがちゃんとあるものは、編集されても僕らにストレートに訴えかけてくる、ということを、あらためて気付かされたわけである。

それにしても、マイルスのこの頃の演奏を聴くたびに思うのは、
人間って「過剰」なものだなととうことです。はみ出しっぱなしだということです。
こういう人間の「過剰さ」を意識しないで(受け入れないで)環境問題もへったくれもないということだと思います。

<蛇足>
一方、ビル・ラズウエルという人が、マイルスの音源をリマスターしたCDがある。


Panthalassa: The Music Of Miles Davis 1969-1974
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僕の知人はこのCDを聴いてマイルスに目覚めた。

しかし、これはいったい何なんだろうか?
マイルスのようでマイルスでない・・・・。
録音したテープを切り刻むことも編集だが
こうしたリマスターも編集だろう。
うーむ。これは評価の別れるところだと思う。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2005年02月10日 09:40

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コメント

イギリスのワイト島で、ジミヘンとマイルスは同じステージに立ちましたね。
といっても、共演ではなく競演でしたが…。そのVTR欲しさに、おカネをた
めた記憶があります。(笑) こちらもすごい演奏でした。
「アット・フィルモア」もそうですが、「アガルタ」と「パンゲア」もLPで聴きな
れていたわたしにとって、CDの元音源によるリマスタリングは衝撃的でした。
いかにスタジオで編集されているかがわかりました。テオの好みなのか、
編集に立ちあったマイルスの好みなのか、CDの音に馴れるまで、しばらく
時間がかかったのを憶えています。

投稿者 Chichiko Papa : 2005年02月10日 17:01

Chichiko Papaさん こんにちは
僕は「アガルタ」も「パンゲア」もLPではなくて最初からCDでした。
この「フィルモア」もそうです。
同じくマイルスの「カインド・オブ・ブルー」はLPから聞きましたから、CDを聞いた時は違和感を感じました・・・って、それは、マスターのピッチが違っていたんでしたね。思わず脱線。

投稿者 fuRu : 2005年02月10日 19:26

ニューヨークタイムズにマイルスの記事
http://www.nytimes.com/2006/03/13/arts/music/13mile.html?_r=1&8hpib&oref=slogin

投稿者 iGa : 2006年03月14日 10:08

これは、マイルスがロックの殿堂入りした、っていうニュースですよね。
やっぱり、ロックンローラーだったんだ、マイルスって。
ちょっと、でなくて、かなり、納得。

投稿者 fuRu : 2006年03月14日 14:29