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2005年07月01日

ヴェンダースとオースター

[books ,映画・ドラマ・舞台--movie/play ]

空腹の技法」の最後の最後に
オースターがヴェンダースから手紙をもった話が出てくる。
手紙の内容は、ヴェンダースからの熱烈なるオースター小説へのラブコールだ。
そして、二人は出会い友達となる。
当時、ヴェンダースは「夢の果てまでも」の撮影でオーストラリアにいた。
そして、まったく別のつながりで(雑誌エルの企画で)、オースターは「夢の果てまでも」に出演していたジャンヌ・モローとの対談をおこなうことになる。
オースターはわれわれの日常にいつでも起こっている、こうした偶然に注目する。
そこにあるのは、偶然に振り回されるのではなく、偶然の喜びを享受するという生き方だ。

それにしても、オースターとヴェンダースのつながりを知って、僕は本当にびっくりした。
だって、「ムーン・パレス」にしろ、「偶然の音楽」にしろ、オースターの小説のほとんどすべてにおいて、
僕は読んでいる時に、ヴェンダースの映画を、映像を連想していたんだから。
ましてや、ヴェンダースの「ミリオンダラー・ホテル」は、オースターの世界そのまんまじゃないか。

インタビューによると、二人は現在映画をつくろうということになったという。(2005年現在、それに関する情報はない)
この二人がどんな映画を作るのか。
でも、オースターはすでに何本かの映画制作に関わっている。
どれもヴェンダースと関係はない。
はたして、二人の映画はできるのだろうか?

それにしても、ヴェンダースとオースターがつながったことの驚き。
この偶然に僕は、いわれのない感謝の気持ちで一杯になった。

そして、オースターに魅かれるのは、偶然を語ることの喜びがそこにあるからだ。
○おとぎ話を語ること--「空腹の技法」から

Paul Auster The Defintive Website(公式サイトではないようだ)
WIM WENDERS the official site(こちらは公式サイト)


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2005年07月01日 16:50

コメント

はじめまして。

僕もこの『The Art of Hunger』(「空腹の技法」)に収録されているインタビューを読んで驚きました。
何とヴェンダースとオースターに繋がりがあるとは知りませんでした。
実際、インタビュアー(Mark Irwin)も以下のように述べています。

"Your work resembles, or at least shares an obsession with the nomadic road films of the great German filmmaker Wim Wenders, with whom you now work."(同書p338より)

ロード・ムービーにロード・ノヴェル。
彼らの共通点を指摘され僕も驚きと同時に彼らの作品に期待を寄せました。

しかし、残念な事に彼らは作品を作るに至りません。
このインタビューの収録は1992年。
後日、彼らは構想を練り金集めまで行ったようですが、お金がうまく集まらなかったそうです。
(NPRのプログラムで耳にしました)

誠に残念でなりません。

投稿者 かず : 2005年07月13日 03:16

かず さん はじめまして
>後日、彼らは構想を練り金集めまで行ったようですが、お金がうまく集まらなかったそうです。
やっぱり座礁していたんですね。
この二人がつくる映画、とても興味があります。
いつか実現して欲しい物です。
これからもよろしくお願いします。

投稿者 fuRu : 2005年07月13日 15:11

TBありがとうございます。
私はオースターも好きなのですが、二人が友人であることは知りませんでしたので、とても興味深く読ませていただきました。

投稿者 emiu : 2005年08月24日 20:15

はじめまして。
ヴェンダースとオースターの結びつきについて書かれているページを検索していて、
こちらを見つけました。
私もオースターの小説を読んでいる間、ヴェンダースの映像を頭に描いていたクチです。
同じように感じていた人、やはりいるのですね!
そうしたことに共感したと同時に、
ヴェンダースとオースターの関連についてこちらの記事がわかりやすく書かれていましたもので、
TBした私のブログ記事(先日行なわれたヴェンダース写真展や講演について書きました)中で、
こちらの記事を勝手ながらリンクさせていただきました。

両者の映画企画が実現するものかどうか、ご本人には聞きそびれてしまったのですが、
それはそれでまた先のサプライズ&楽しみにしておくことにしましょうか・・・。

投稿者 sesami : 2006年05月08日 04:20

sesamiさん
 コメントとTBありがとうございました。
ヴェンダースが奥様と一緒の写真展をやっているというのは知りませんでした。
表参道ヒルズかあ。
時間を見つけて行ってみたいと思います。

投稿者 fuRu : 2006年05月08日 09:37

fuRuさん、
こんにちは。-hiraku-です。
うろ憶えですが、「ルル・オン・ザ・ブリッジ」は当初、ヴェンダースが監督するはずだったという話をどこかで読んだような気がします。私はヴェンダースは「ベルリン天使の詩」しか見たことがないのですが。。
今回、「空腹の技法」について記事を書いてみました。よろしかったら遊びに来てください。

投稿者 -hiraku- : 2006年06月26日 08:15

-hiraku-さん
「空腹の技法」は、面白いですよね。ちょっとマニアックかもしれませんが。
それにしても、新しいオースターの邦訳が待ち遠しいですね。

投稿者 fuRu : 2006年06月26日 12:25