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2005年11月08日

「新シルクロード 第4巻 -青海・カラホト」

[books ,報道・TV--topics ]

「NHKスペシャル 新シルクロード 第4巻 --青海・カラホト」
編:NHK「新シルクロード」プロジェクト
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今年の初めから始まった「新シルクロード」は様々な論議を呼んでいます。
そうした人たちの声を聴くこと(読むこと)が出来るのも
ブログが僕らの生活にいかに浸透してきたかということの証なんだけれども
第7集の「青海 天空を行く」には、厳しい声が多かったですね。
かくいう僕も、厳しい言葉を選んでしまった方です。

今回の「新シルクロード」では、番組の放送と平行して
このような副読本が発行されています。
いままでも、毎回買ってきては読んでいるのですが、その目的は図版や写真が豊富に掲載されているので資料的な価値があると思ってのことでした。しかし、この副読本は、実はとても大きな意味を持っているのだと
特に、今回の第四巻を読んでそう思いました。番組制作側の本音が、テレビでは決して語ることの出来なかった本音が語られていたからです。

何の根拠もないのですが、こうした昔から変わらない生活をしている人びとの精悍さに接して、彼らの内部にある民族のプライドのようなものを感じました。

本文にある、担当ディレクターの矢部裕一氏の言葉です。
彼は、今回の取材で多くのチベット族の人たちと出会い、彼らの生活にふれます。

彼の言葉はつづきます。

中国とチベットの関係はとても難しい政治的な問題をはらんでいて、現在中国において、いわゆるチベット問題を私たち外国人が取材することはきわめて困難です。
こうして何気なく出会ったチベット族の普通の人びとが、そうした政治的な話をすることはありませんし、彼らが現在の暮らしにおいて、何を楽しく思い、何を困難と感じているのかを、正確に聞き出すことは感歎ではありません。 ただ私たちがわずかな出会いのなかで感じたままを無責任に言えば、彼らチベット族は、自分がチベット族であることから離れないように意識的に生活をしているように見受けられました。 決して漢民族に同化されないように、自分たちの昔からの生活を変えないように、淡々と暮らしているように見えました。 声高に語るのではない、静かな低い調子のチベット民族のプライドを、そこに垣間見た気がしました。

僕は、このディレクターの言葉を読んで、いろいろ考えさせらました。
ひとつは、彼の言葉に共感している自分がいたと言うこと。自分がチベットを旅して感じたこと、帰国してから考えたことが彼の言葉と重なったということ。
しかし、その一方で、大きな落胆も感じざるを得なかったのです。
なぜならば、放送された番組からは彼のこのような声は一切聞こえてこなかったからです。
テレビというメディアをとおして語ることの難しさがそこにはあるのかもしれません。
その難しさが、彼の言葉に端的に表現されているとも思いました。

完璧なメディアなんてあり得ない、それはそうでしょうが
僕らはあまりにもテレビから受け取る情報に偏った生活になってはいないでしょうか。

映像の説得力に活字の説得力、どちらも必要だとあらためて感じています。
特に「新シルクロード」をご覧の方々は
この本を手にとって読まれることをおすすめします。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2005年11月08日 09:40

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