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2005年11月25日

sayuri_House 墨付け

[0504---sayuri_House ,c-森林をいかす家づくり--moriiki ]

今日は、sayuri_Houseの建て主であるKさんと
墨付けの様子を見学に行った。

すでに世の中の主流はプレカットになっている。
そのことについては以前書いたように様々な要因がかさなってのことだ。

木の家と大工さんとプレカット

一本一本の材料を棟梁が吟味して墨付けをして人の手で刻む。
手刻みには手刻みの良さがある。

まず第一は、木は生き物で一本一本違う、その違いを一軒の家の中で適材適所生かして使える。
これに対してプレカットでは、
一本一本の違いなど何も考慮されず、機械が自動的に加工してしまう。
これでは、長い年月をかけて木を生かしてきた大工の知恵が死んでしまう。
第二に、手刻みという仕事は若手の大工を育てるためにとても大切だ。
大工の見習いは、この刻みの作業をやりながら、木という生き物を少しづつ体で覚えてゆくと言っても過言ではないと思う。

しかし、プレカットが巨大産業化して、スピード・コストともに手刻みを寄せ付けないという現状。
加えて大工さんの高年齢化。

手刻みがすべてではないとは思うのだが
生き物としての木を、生かして使う木の家づくりを考えると
まだまだ、手刻みにかなう方法はないのでは、と思う。

森林をいかす家づくりの会」でサポートする家は
斉藤造林さんが出してくださる千葉県産の杉材でつくっている。
顔が見える関係。それが大切だと思う。
工事を請け負ってくれた(有)タケワキ住宅建設さんの作業場に
今回使う柱や梁の構造用の材料が斉藤さんから届いていた。

今回は、斉藤さんのアイデアで
まずは伐採後に葉枯し乾燥をして
その後、一度粗挽きで製材した後に、自然乾燥1ヶ月ほどを行い
さらに低温(50度)による長時間(1週間)乾燥をかけてくださった。

杉材の乾燥は大変難しい。
芯の部分と周囲の部分で水分の含まれている割合が極端に違うのが杉材。
基本的には外側から熱を当てて乾かすのだが
そうすると、乾いて欲しい真ん中は乾かずに周辺の乾燥だけが急激に起こる。
木は乾くと縮むからその縮み方の差が一気に出てしまう。
その結果が乾燥による割れだ。
その割れをいかに起こさないで材木を乾燥させるかは大きな課題だ。

幕張のTaketo_Houseでは梅雨時の上棟と言うこともあって
含水率30%くらいの乾燥で作業を進めた結果
上棟から完成までの4ヶ月という時間をかけてゆっくりと木が乾燥してくれた。
そのために、大きな割れは生じなかった。

今回は、一番乾燥する時期に上棟だ。
いろいろ思案した結果が先ほどの斉藤さんのアイデアだった。
搬入された材木を見ると、ほとんど割れが生じていない。
斉藤さんのアイデアがうまくいった証拠だと思う。

上棟は年明けになる予定。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2005年11月25日 13:58

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今日から、秋山組の墨付け指導が始まった。 若い大工さんのたまごたちは、真剣なまなざし・・・緊張感も漂う。 これから8日間、秋山棟梁の指導の下、墨付け〓き... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2005年11月26日 20:46

コメント

墨付け見に行くのって楽しいですよね♪
建前の次ぎに好きかも♪

投稿者 ひなよし : 2005年11月25日 16:57

ひなよしさん
僕も墨付け見るのは好きですね。
板図を用意してくれている棟梁と話すのも好きだし
刻みの作業中は、切ったり削ったりで木の匂いでぷんぷんですから
そういうのが好きなのかもしれませんね。

投稿者 fuRu : 2005年11月25日 18:05

僕もコストだけでプレカットを選択するのは、間違えだと思います。
反面、最近のプレカット技術は、丸太梁まで刻める技術力になっています。
先日も大工と話していて、10000円/坪以下でプレカットできるなら、手刻みはかなわないと言っていた。
プレカット工場には専属の大工が何人かいて、特殊納まりは手刻みで行っています。

プレカット普及の一番の問題点は、大工技術の伝承。
首都圏では既に、階段を刻めない大工が過半数を超える現状、危機感を募らせます。
このままでは、構造が絡むリフォームやメンテナンスが出来なくなってしまうのではないだろうか。
私たちは、若い大工の育成も、自分達の仕事を守るために必要と考えています。
多分ここが、メーカー住宅と地域工務店の大きな違いになるでしょう。
その様子をTBさせて頂きました。

投稿者 mukaegawa : 2005年11月26日 20:45

迎川さん
コメントとTBありがとうございます。
日本の木造在来工法の最大の利点は
メンテナンスおよび増改築の容易性だと思います。
そして、それは日本の大工技術と、書院造りに始まる、敷居や鴨居という構成を完成させた、いわゆる社寺建築・数寄屋建築に対するものとしての町屋のシステムに裏付けられていると言えます。
吉村順三展のシンポジウムで、藤森さんが言っていた
「吉村は書院を発見した」という言葉は
そういう意味での町屋のシステムに、美しさ、つまりは美学を発見したということに違いありません。
裏を返せば、その美学のためには大工の技術が必要だったわけです。
もし、大工の技術が失われたとしたら、その時に、その美学を受け継ぐシステムはいかなるものか?
これは、なかなか面白い議論だと思います。
自分の中でも整理して記事を書いてみたいと思っています。

投稿者 fuRu : 2005年11月27日 00:07