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2006年02月10日

「マイ・アーキテクト」

[建築--architecture ,映画・ドラマ・舞台--movie/play ]

060210-my_architect.jpg

ルイス・カーンに関する映画
マイ・アーキテクト
MY ARCHITECT A Son's Journey
を見てきました。

この映画を教えてくれたのは
iGaさんのブログ「MADCONECTION」。
ちょっと前の記事だったので上映の予定を確認しようと
公式HPをチェックすると、なんと10日までとの記載が。
あわてて、今日のモーニングショーに駆けつけたというわけですが、
どうやら、上映時間が確定しているのが今日までだということだったようで
引き続き上映はされるようです。

渋谷で上映中

さて、映画ですが
ルイス・カーンに子供がいっぱいいた、というのも変な話ですが
本妻のほかに二人の愛した女性がいて
その女性たちの子供がいるわけです。
映画のなかで、その三人の子供たちが、フィッシャー邸で語り合うシーンというのもでてきますが
そのひとり、ナサニエル・カーンは
造園家のハリエット・パティンソンの息子です。
この映画は、その彼が、亡き父の姿を追い求めて
カーンが設計した建物と
カーンを知る人々を訪ねて回るというロードムービーになっています。

キャンベル美術館工事中の現場でヘルメットをかぶっているカーンの姿なんていうのも登場して、そういう意味でも愉しめる映画なんですが、そこで語られるカーンの姿が興味深い。

ペンシルバニア大学リチャーズ医学研究棟(1964)では、使っている人たちが口をそろえて、使いにくいとか、暑いとか、寒いとか、さんざんなことを言っているんだけれども、翌年のソーク生物学研究所(1965)では、こんなに使いやすい建物はないとか、機能性に優れている、という讃辞の言葉がたえない。このギャップがまた面白い。

元所員の口からは
「彼は所員達の家庭生活をまったく気にかけず、数人の所員の私生活をメチャクチャにしたんだ。」
なんて語られる。

だから、この映画では、カーンの建築の「崇高性」の謎が解き明かされるなんて言うことは全くなくて、生身の人間、ハリエットの父としての人間が浮き彫りにされるのです。

でも、フィリップ・ジョンソンは、自分がいくらたくさんの建物をつくってもカーンの一つにはかなわない、というようなことを語り始めるときに、カーンの崇高性が僕らの前に現れるんですね。

そんなわけで、映画を見終え、会場で一緒になったiGaさんとお昼を食べて
映画の話などを、とりとめもなくして帰ってきたのでした。

<蛇足>
ソークの中庭でインラインスケートはないよなあ。

○「ナサニエルの失われた時を求めて」(MADCONNECTION)

<追記>
TBとコメントをさせていただいた
建築ライターreikoyamamotoさんの記事
巨匠とエディプス、ほか--映画『マイ・アーキテクト』


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2006年02月10日 13:47

コメント

先ほどはどうも、
なかなか面白い映画でしたね。

投稿者 iGa : 2006年02月10日 21:45

iGaさん
おつかれさま。
>なかなか面白い映画でしたね。
いやはや、まったく。

投稿者 fuRu : 2006年02月10日 22:00

「マイ・アーキテクト」を観た!
素晴らしい映画で感動しました。
トラックバックさせていただきます。
よろしくお願いします。

投稿者 tonton3 : 2006年02月23日 15:46

tonton3さん こんにちは
カーンの建築は良いですね。
映像で見て、もう一度感心しました。
本物が見たいです。
映画の方は2児の父としては複雑な気持ちもありますが
人のあり方として、とても肯定的な映画ですよね。
すばらしいと思いました。

投稿者 fuRu : 2006年02月23日 15:56

はじめまして。
興味深く読ませていただきました。
私のブログでも『マイ・アーキテクト』に関する記事を書き、そこでこちらの記事をご紹介させていただきました。どうぞよろしくお願いします。

投稿者 umikarahajimaru : 2006年02月24日 22:04

umikarahajimaruさん
こんにちは
TBとコメント、ありがとうございました。
umikarahajimaruさんが書き留められている
映画の進展を箇条書きは
映画を追想するのに役立ちますね。

投稿者 fuRu : 2006年02月25日 21:31

ちょっと前の記事ですみません・・・
私も見てきました。
マイ・アーキテクト。

写真で見るのとは違っていいですよね。
一度ソークはやはり見てみたい。
夕焼けのシーンが最高でした!

TBもさせていただきま〜す。

投稿者 akatuki : 2006年02月26日 13:55

akatukiさん こんにちは
TBがまだきていないようですが
この映画をネタに
建築家、あるいは設計事務所にとって
家族とは何か?という議論をしたら面白いかもしれませんね。
世代別対抗戦とかやったりして。

投稿者 fuRu : 2006年02月26日 21:28