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2006年07月11日

まだまだ知らないことは多い。

[a-家づくりについて---house_making ]

今日は、関係者からは「そんなことも知らなかったの?」なんて
突っ込まれそうな話題です。

先日、設計者仲間のご自宅を見学させていただいたときに話題に出ていたので、いろいろ調べてみるとこういう報告書が見つかりました。

廃石膏ボードのリサイクルの推進に関する報告書

この報告書は、石膏ボードのリサイクルが推進されなくてはならない、という報告書です。
建築材料として、石膏ボードほどよく使われている材料はないと思います。それは、逆に言えば、新築工事中に端材として出る廃棄物の量が多いということであるし、古い建築物を解体したときにも大量の廃棄物として発生すると言うことでもあります。

今までもリサイクルに努めていたのですが、あまりの廃棄量の多さに、すべてをリサイクルすことは難しく、その分は埋め立て処理で処分をしているのだそうです。
それを、なぜここに来て、リサイクルを推進しなくてはならないかというと
報告書に一文のみでふれられているのですが
埋め立て処理された廃石膏ボードから「硫化水素」が発生するという事実が確認されたからなのです。

硫化水素 - Wikipedia

また、宇都宮の処分場から砒素が検出されたという報告もありました。

廃石膏ボードの処理について

硫化というからには硫黄分が関係しているのでしょうが
普通に考えると石膏ボードのどこに硫黄が使われているのか皆目見当が付きませんね。

一方、砒素が検出されたという後者の報告書では、特定の石膏ボード製品から「砒素」「カドミュウム」が検出されたという報告が載っていました。

さらに調べてみるとWikipedia(「石膏ボード」の項)の次の記述が見つかります。

建築物の建て替えに伴い発生する廃石膏ボードが、廃棄物処理場の地下水に生息する硫酸塩還元細菌の代謝を受けて硫化水素を発生させ、環境上の問題となっており、リサイクルなど廃棄物化させない処理方法が研究されている。

安全だと思っていた材料がとても怖い一面を持っていたということです。
この時、建築の設計に携わる僕らはどうしたらいいのでしょうか?

いきなり、石膏ボードを使わないと言っても、コストや資材調達の面で現実的ではありません。
まずは、廃材をつくらないこと。廃材がでないように気を使って設計するということが大切です。そして、すぐに壊して作り直すというような価値観を見直し、半永久的に使い続けられる、社会のストック(資産)として建物を設計することが大切です。そのうえで、石膏ボードをなるべく使わない設計に移行してゆくことを考える必要があるのだと思います。

つぎに、石膏ボードを使うとしたら、リサイクルしやすいような使い方を考えるべきだということです。
特に、石膏ボードに左官仕上げをした場合には、リサイクルはかなり難しくなるようです。

どちらにしても、設計者として総合的に考えてゆかなくてはならない課題であります。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2006年07月11日 09:40

コメント

左官で下地を杉の木小舞としたことありますけど
赤身のスギを使用するとアクが出てしまいますね。

最近はずっとPB+左官だから
リサイクル考えると問題ありか…、

リサイクル・易分解性・生分解性を想いながら
長寿命までを考えないといけないし、
考えると他にも関連することが多くて
むつかしいですね…。

今後の課題だ…。

投稿者 ひなよし : 2006年07月12日 15:57

ひなよしさん
「PB+左官」については、簡易な方法なので僕もよく使っていたのですが
こうしたことを調べてゆくと、大きく考え方をあらためないとと、思っています。

>今後の課題だ…。

上に同じ、です。

投稿者 fuRu : 2006年07月12日 17:01

そんな〜・・・
と言うのも、まさにこの石膏ボードを使おうと考えていたところなのです。
現在 施工中のログに、あとから間仕切りをする予定でした。
まだそこまで進んでいないので、ゆっくり考えてみます。
とりあえずトイレの仕切りに、ロッカーの棚を置き、トイレ側は、棚の裏が見えないように、
きちんと(?!)壁っぽくしたかったのです。
トイレの屋根も同じようにと考えていました。
それで、石膏ボードに珪藻土を塗る予定でした。
さあ、どうしましょう。

投稿者 かいぽっぽ : 2006年07月24日 21:07

かいぽっぽ さん
石膏ボードのリサイクルにはいろいろなことが言われていて、僕としても情報の整理がうまく付いていないというのが現状です。
まずは、使ってもいいのだけれども、なるべき端切れのでないように考えて使うこと。
そして、出来るだけ使い続けることだと思います。
石膏ボードに珪藻土や漆喰などを薄く塗る工法は、出来ればやめた方が良いとのことですが、全面にシーラーを塗って下地処理をしておけば大丈夫だという意見もあるようです。
僕もいろいろ調べてみますが、かいぽっぽさんも調べてみてください。
きっと、いい方法が見つかると思いますよ。

投稿者 fuRu : 2006年07月24日 22:13