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2007年01月31日

「環境問題のウソ」---池田清彦

[books ]

「環境問題のウソ」
著:池田清彦 筑摩プリマー新書029
amazon

昨年出版された本のなかから、様々な人に3冊紹介してもらうという記事が年末の毎日新聞にありました。
そのなかで、藤森照信さんがこの本を紹介されていました。
語り口には癖があり、時には棘もありますが、環境問題に関して、いかに我々が正しい考え方が出来なくなっているのかを教えてくれる本だと思います。

ここで取り上げている環境問題は四つ。

1、二酸化炭素問題と地球温暖化は本当に関係あるか?
2、ダイオキシンの問題は本当に問題なのか?高度な焼却施設は本当に必要なのか?
3、外来種が増えることはいけないことなのか?外来種を駆逐することは正しいのか?
4、自然保護という名のもとで自然との接触を失ってしまうことは大いなる損失なのではないか?

なにせ、新書なのでページ数が少ない中に、ぎゅうぎゅう詰めの大問題てんこ盛りで、詳細な論議を期待できるわけもなく、この本に対する批判はそこに集中しています。

たとえば、地球温暖化の件に特化しているのですが、こんなページがありました。

「環境問題のウソ」のウソ市民のための環境学ガイド

読んでみれば、確かに、というところです。

ただし、この本の著者である池田氏が言いたいのは、ただひとつ、マスコミで流されている情報を鵜呑みにしたり振り回されるな、ということだと、この本を読んで私は感じました。それにしては、書き方がニヒルすぎるのですが。

一方、こういう本もありました。

こちらも、二酸化炭素は地球温暖化に大きく関係していないとしながら、二酸化炭素問題はエネルギー問題だとして論を展開しています。

この本で興味深かったことは、地球上における「海」の存在です。

まずは、熱の保管庫としての「海」。
「海」は、底なしの熱容量を持った場所であり、「海」の温度を上げるのにどれだけのエネルギーが必要か、それには驚くほど大量のエネルギーが必要になるということが着目されます。つまりは「海」が地球の温度調整の役目を果たしているというのですね。

また、地球上の二酸化炭素の動きを探ってゆくと、どうしても収支が合わずに足りなくなるのだそうです。その失われた二酸化炭素はどこに消えたのか、いまだに謎のままなのだそうです。著者である小島氏は、実は海水に溶け込んでいるのではないかと仮説を立てています。つまりは、二酸化炭素の保管庫としての「海」ということなのですね。

こうして、地球上の特に人間が生活している空間の熱と二酸化炭素の収支のバランスは「海」の持つ包容力でもって保たれているのではないかと説いています。

うーん、そういうことってあるかもしれない。

しかし、その「海」が、いまバランスを崩し始めているわけで、それを考えると恐ろしい限りです。

どちらにしても、環境問題はひとつの見解にいたっていないわけで、我々としてはより多くの人の意見を学び、自分でどうすればいいのか考えてゆく必要があるわけです。

アル・ゴアの「不都合な真実」という映画が公開されています。
まだ未見ですが、ぜひ見てみたいと考えています。
見ましたら、また感想など書かせていただきたいと考えています。

江 坂 健 さんの書評(esaka takeru's memo)


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2007年01月31日 11:00

コメント

自分の著書と同じ筑摩プリマー新書を宣伝し編集部に恩義を売るなんぞF森教授も中々の世渡り上手とお見受けします。
この本で取り上げている四つの環境問題に対して異論もある事はフツーの人でも認識しているものでしょう、よーするにヒステリックな原理主義的環境問題運動家が、でー嫌いなんでしょうね。だからと云って環境問題を全否定するこの本のタイトルは大人げなく無責任。そんなデーガク・キョージュの戯言が本人が嫌っている輩にまで利用されかねないことまで考えていないのか、何か裏があるのかどっちかでしょう。
昨日のCBSドキュメントでも地球温暖化問題を扱ってましたが、ブッシュ政権は科学的調査にかなりの金額を投資していますが、NASA等の政府機関の科学者がそのまま発表することに対して検閲を掛けています。まさしくホワイトハウスにとって「不都合な真実」なのでしょう。科学者の報告を改竄しているのは、政治家、弁護士、ロビースト、といわれる連中で、危険と云う語意は「かも知れない。」「不確実」という表現に置き換え、ブッシュに「科学は不確か」言わせています。そうすると、このデーガク・キョージュもなにやらブッシュ政権の幇間にみえてきちゃいますね。

http://blog.livedoor.jp/environment_network/archives/50301969.html

私も地球に対して環境負荷を掛けている加害者の一員であり、環境問題について唱えたりしても免罪符にならないことは重々承知ですが。

投稿者 iGa : 2007年02月01日 17:26

iGaさま
「環境問題を全否定するこの本のタイトル」
これがやっかいです。
なんだか、やはり、ひねくれた印象をぬぐえません。
実際に、この本を読んでみて、もっと、ストレートに切り込んだ方が良いという印象を持ちました。
とはいえ、こういう斜に構えた本を読んでみることは、テレビから垂れ流しにされている情報に足下をすくわれない一助になるのではと思って、ここで紹介させていただきました。
わたしも、この本をきっかけに何冊か読みましたが、そういう意味では刺激的な本であると言えます。決して、正しい本だとは言いませんが。

投稿者 fuRu : 2007年02月01日 17:38

>やはり、ひねくれた印象をぬぐえません。
ググってみて彼の言葉を読んでみてもそう思います。環境問題・感情論に転化することを危惧しますね。

投稿者 iGa : 2007年02月01日 17:55

iGaさま
>環境問題・感情論に転化することを危惧しますね。
その視点、私も肝に銘じておきます。

投稿者 fuRu : 2007年02月01日 18:00

はじめまして。
不都合な真実をみて、科学的な事実から科学者で温段化に異論を唱えている人間が皆無だと知りました。
日本もCO2排出大国であり、日本の国民の大多数に危機感を持たせるには、感情論に訴えかけるまたは環境税などで財布に訴えかける必要があると感じました。
「本当に、こりゃ、やばい」という感覚を一人でも多くの人が持つ必要があり、
それは早ければ早いほうがよい。
CO2排出量を少しでも多く、少しでも早く減らすためには、科学的根拠だけでなく、人の感情を動かさなければ。

投稿者 fumi-yuka : 2007年02月08日 16:38

fumi-yuka さま
はじめまして、そしてコメントありがとうございます。
私は「不都合な真実」は、未見です。
来週中には見に行きたいと思っているのですがどうなることやら。
また、見てきましたらコメントのお返事をちゃんとさせていただきたいと考えています。

投稿者 fuRu : 2007年02月09日 17:43