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2008年03月13日

「花さき山」---斎藤隆介

[books ]

「花さき山」
著:斎藤隆介 絵:滝平 二郎 出版:岩崎書店
amazon

ある日、家に帰ると、家内が「斎藤隆介の全集がでているんだよね。欲しいんだよね。」と言うではないですか。日頃から欲しいものなんて口にしない家内ですから、どれどれといろいろ探してみたのですが、どうやら全集は絶版となっていて、古本でも高値で取引されているようなのです。1800円の本が5000円ではちょっとためらってしまいますし、そんなものを買ってきたところで家内が喜ぶはずもありません。
それにしても、どうして斎藤隆介なの、と聞けば、娘と一緒に図書館で借りてきた「花さき山」を、私のところに差し出すではありませんか。

読んでみれば、心にぐさりと刺さるお話です。
こんな童話を書いた斉藤隆介とはどのような人物かと調べれば
「ベロだしちょんま」を書いた人ではありませんか。
小さい頃に読んだ「ベロだしちょんま」は強烈な印象が今でも心に残っています。

さらに調べていると、職人からの聞き書きをまとめた「職人衆昔ばなし」というのも書いている。
私も建築の設計を生業としているため、職人さんとの付き合いも深いし、彼らの世界にシンパシーを持っていますから、さっそく買って読んだのでした。
読んでみると、そこには職人の深い心の痛みが描かれていたのでした。

人の心の痛み。

それは、この「花さき山」に通じるものです。

斉藤隆介が書き留めておきたかったものも
心の痛み、その一点を軸として読むものの心に響いてくるのですね。

ちなみに、斎藤隆介全集の方ですが
まめに探していたら定価程度で買える古本もいくつか発見。
というわけで、わが家の本棚です。



※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2008年03月13日 10:20

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コメント

斎藤隆介、なつかしいです。
「花さき山」も好きだったけど「ベロだしちょんま」は小学生の時、読書感想文を書いたのですが、年末に片付けをしていたらそれが出て来て思わず読み直してしまいました。
「職人衆昔ばなし」は未読ですが興味深いですね。

投稿者 スナフキン : 2008年03月13日 17:19

スナフキンさま
やっぱり「ベロだしちょんま」は心に残っていますよね。
こういう心に響く文章を書ける人はすごいなと思います。
「職人衆昔ばなし」は、聞き書きなんですが職人達がまるで自分の目の前で語ってくれているように読むことが出来ます。おすすめです。

投稿者 fuRu : 2008年03月13日 17:56

「もちもちの木」は読んだ記憶があるのですが、
「職人衆昔話」というのは知らなかったです。
大人になってから読むと子供の時に気づかなかったこと、
発見できたりするかもしれませんね。
逆もあるのかもしれませんが。

小学生の時に一番心に残った絵本は、「スーホの白い馬」ですね。

投稿者 reirei : 2008年03月13日 18:29

reirei さま
「職人衆昔ばなし」は雑誌「室内」に連載された頃には大変な反響があったようで、単行本としてまとめられた時も相当数の売れ行きだったようです。でも、今ではほとんど知られていないし売っていない。寂しいことですが、幸いにも古本が結構出回っていますので入手が容易なのは救われます。

「スーホーの白い馬」は私も印象に強く残っています。モンゴルの大平原を夢想したものです。

投稿者 fuRu : 2008年03月13日 19:16

fuRuさんこんにちは。
私も小学生の時に「花さき山」を読みました。
私の通った小学校の渡り廊下には、その入り口付近に天井まで高さのある書架が並んでいて、高い棚には上級生向けの本、低い棚には中級生向けの本がありました。
廊下の中央の窓の下には、絵本を集めた背の低い本棚があり、赤いマットが敷かれてました。
授業が早く終わった日の午後、私はこのマットに座り込んで、花さき山を読みました。
その時、渡り廊下には、誰もいなかったと思います。
山の中に咲き誇った花畑のシーンに出くわした時の気持ちを、今でもよく覚えています。
幻想の世界に触れた感触は、なんともいえず、心地よいものでした。
その後もずっと、そのシーンのことを、私は忘れませんでした。

それから20年くらい経って、花さき山を本屋で見つけて、立ち読みしました。
あの時の感触は、あの時だけのものでした。
あの夢と現実がいっしょになったような恍惚は、まるでサンタのプレゼントのように、子供だけが受け取ることのできるものなのかもしれません。
挿絵は、滝平次郎という人なんですね。
私はあの時まだ文章の読解力が低く、絵の魅力にばかり取り憑かれていましたが、
あの絵のおかげで、とても幸せな時間を過ごすことができました。

・・・・って、全集は絵は付いてなかったりして・・・・

投稿者 noz : 2008年03月15日 01:28

noz さま
そうなんです。全集にも挿絵は付いているんですが申し訳程度。
ですから、やはり絵本も欲しいと思うのでした。
紅い花の色が忘れられない、ですよね。

投稿者 fuRu : 2008年03月16日 00:44

こんばんわ、

突然ですが(寒い母)という話をご存知でしょうか?
わたくしは長いこと韓国の話だと思ってました。
ご存知でしたら教えてください。
お願いします。

私は(モチモチの木)豆太のファンです。

投稿者 ryo- : 2008年12月20日 18:48

ryo-さま
私の持っている全集は1巻から4巻まで。
それと単行本で「職人衆昔話(正・続)」です。
調べてみましたら「寒い母」という短編は
全集の第12巻に収録されているようです。
12巻は「大人の童話」とあります。
というわけで、私も知らないのですが気になりますね。
艶話なんでしょうね。

投稿者 fuRu : 2008年12月20日 19:06

寒い母は・・・斉藤隆介作品とは思えないような微妙な作品です。
好きな方がいたらごめんなさい、、性描写のようなものもあり
どうも好きになれませえんでした。読み聞かせで読んだ方がいらっしゃいましたが
そのかたいわく涙が出る感動のお話しとの前触れでしたが、どうも微妙な性描写に
涙もでなく韓国と日本の文化の違いを知るだけの作品でした。

投稿者 Anonymous : 2010年03月07日 23:19

Anonymousさま
一つ前にいただいたコメントで気になったものですから
ずいぶん前に探してきて読んでみました。
背中を掻く、という表現が何を連想させるのか、というようなことかなと思いました。
私はもっと大胆な表現があるのかと思っていたものですから、拍子抜けというと怒られますが、ごく普通に読みました。
人によっては、拒絶されるのでしょうね。

投稿者 fuRu : 2010年03月08日 12:00