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2008年06月17日

「生物と無生物のあいだ」---福岡伸一

[books ]

「生物と無生物のあいだ」
著:福岡伸一 講談社現代新書1891
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とにかく面白い本です。
興味深くて深甚な表現の妙も豊富に蓄えた素晴らしい本であることに間違いありません。
そのいつくかを覚え書きしておきます。

(前略)DNAこそが遺伝子の物質的本体であることを示そうとしたエイブリーの確信は、直感やひらめきではなく、最後まで実験台のそばにあった彼のリアリティに基づくものであったのだ。そう私には思える。その意味で、研究とはきわめて個人的な営みといえるのである。(p.56)

この言葉は、研究という世界だけのものではないですね。
私たちの建築設計にも通じるものが強くあると思います。

エントロピーとは乱雑さ(ランダムさ)を示す尺度である。(p.147)

生命現象を説明するための「負のエントロピー」という概念。
シュレーディンガーの誤り。

生物とは要素が集合して出来た構成物ではなく、要素の流れがもたらすところの効果なのである。(p.154)

ここにある生命観は仏教の存在論にとても近いと感じます。

それにしても、面白い本です。

研究という世界の人間劇。
生命観を語る著者のすがすがしい語り口。

面白い本=たくさん売れる

良いですね。

生物と無生物のあいだ(CHRONOFILE)
生物と無生物のあいだ(MADCONNECTION)
生物と無生物のあいだ(aki's STOCKTAKING)


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2008年06月17日 10:30

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コメント

福岡先生の本はとても面白い! 分子レベルの話を私たちの生活や命と直接結び付けているので、ひじょうにわかりやすいです。狂牛病の専門家として、私の所属する研究会でお話をお願いしたこともありますが、たいそう好評でした。命や、食べ物を大切にしなければいけないと、しみじみ考えるようになりました。「もう牛を食べても安心か」(文芸春秋新書)、「ロハスの思考」(木楽舎)はお勧めです。
ある面、国産材を応援してしっかり使っていこうということと、きちんと牛を育てている生産者を応援して、それなりのコスト対価をお支払いして命をいただこうということは、共通した問題ではないかと思います。

投稿者 H.Suzuki. : 2008年06月17日 18:23

H.Suzuki.さま
福岡さんの本はもう何冊か読んでみたいと思っています。
>「もう牛を食べても安心か」(文芸春秋新書)、「ロハスの思考」(木楽舎)
参考にさせていただきますね。

衣食住、どれも同じ問題を抱えていますね。食に関しては「静かな津波」とよばれる食糧問題も考えさせられます。もともと、その場所にあった食材や建設材料を工夫して使ってきたのが文化なんですよね。儲かればどこにでも運んでしまう経済のパワーは人間をどこにつれて行くのでしょう。

投稿者 fuRu : 2008年06月17日 19:25